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桃太郎  作者: ほのう
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はじまり

昔々、山の麓の村外れに小さな家が建ってあった。

そこには、おじいさんとおばあさんの仲のいい夫婦がいたそうな。


ある朝、おじいさんは山に畑の手入れをしに、おばあさんは家のそばにある小川に洗濯をしに行った。

お婆さんが少し早めに洗濯を終えて、家に帰ってくると、家の前に何かが置かれているのが見えた。


「あら、何か贈り物かしら?」


近づいてみてみると、少し大きな木の箱に赤ん坊が寝ていた。


「まあ!なんでこんなところに…」


おばあさんは驚いたが、赤ん坊が少し弱っていることに気がつき、急いで家の中に入れて赤ん坊の世話をし始めた。


そして少し日が傾きはじめた頃に、おじいさんが山から帰ってきた。


「ただいま。」


「あら、お帰りなさい。ごめんなさいね、まだ夕飯の準備ができていないの。もうしばらく待ってくださる?」


「どうした?忙しそうだが…何か大変なことでもあったのかい?」


「それが…今朝、洗濯をし終えてからあなたのところに手伝いに行こうと思ったのだけれど、家に帰ってきたら赤ん坊がうちの前にいてね。」


「赤ん坊が?どうゆうことだ。迷子ではないだろうし…今もいるのか?」


「ええ、今寝床のところにいるわ。泣き疲れて、さっきようやく寝たところなの。起こさないであげてね。」


「赤ん坊はなんでうちの前にいたんだ?」


「木の箱に入って寝ていたの。一緒に手紙が入っていたわ。」


おばあさんが見つけた手紙には次の文が書いてあった。


「はじめまして。事情があってこの子を育てられなくなりました。迎えにくることはないと思います。どうかこの子を育ててください。お願いします。」


これが全文ではないが、とても短い手紙だった。

しかし、短いながらも丁寧に書き上げられていた。


この手紙を書いた人は誰なのか、またなぜ自分たちの家の前に置かれていたのかはわからなかったが、おじいさんもおばあさんもこの赤ん坊を2人で育てることにした。


しかし、この赤ん坊を育てることはこの2人にとって大変なことだ。

2人とも70を越していて、子供や孫もいなかったからだ。


2人は近くの村の人に助けてもらうことにした。

この家に来てから近くの村にはとても世話になっていた。


この家にくる前は、2人とも農作業などをしたことがなく、料理も少ししか知らなかった。

村の人々は快く教えてくれた。料理の作り方、畑の耕し方、ひいては人間関係の築き方まで!

様々なことを教わり、村にも打ち解け、村全体で家族のようになった。

歳をとってからは村まで毎日行くことはできなかったが、村の人々は2人の住んでいる家に訪ねてきてくれた。


その中に2人が孫のように可愛がっている26になる娘がいた。

名前はひよ。

その娘には3人の子供がいて、一番上は5歳にもなる。


2人はひよに自分たちのところに来た赤ちゃんの世話を手伝って欲しいと相談した。

ひよは最初、驚いて少し困った様子でいたが、事情を話してみると笑顔で頷いてくれた。


「私もまだまだだけど手伝えることがあんならいつでも言ってよ!」


そしてこの赤ん坊はおじいさんとおばあさん、ひよの3人で育てる事になった。


「育てるんなら名前を決めなきゃね。何か考えてるの?」


「そうねぇ。どうしようかしら…あなた、何かある?」


「そうだなぁ………お前の好きな桃を名前に入れてやりたいんだが、どうだろう?」


「あら、素敵じゃない!おばあちゃん、それでもいい?じゃあ男の子だから桃太郎ね!」


「いいの?ありがとうね。うれしいわ」


こうして桃太郎と名付けられた男の子はやがて多くの人に見守られながら旅立つ時が来る。

しかし、今は3人の優しい顔に見守られ、包まれて穏やかに寝息を立てているのであった…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 流れがすごくスムーズでいいですね [気になる点] 村がどんなところなのかがもっとわかりやすいと嬉しいです [一言] これからも頑張ってください
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