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僕は、ダンジョンに入る  作者: Rapu
第一章
15/38

15 5月 焼き肉パーティー


 次の土曜日に、田中先輩の部屋で焼肉パーティーをする事になった。僕がダンジョンから帰ってきてから始めるそうだ。僕にオーク肉を取ってこいと言う事らしい……


「東山~、ビールを冷やして待っているからな!」


 田中先輩が僕にプレッシャーをかけて来る……


「田中さん、俺も狙ってきますよ!」

「及川さんも東山君も、夜7時に田中さんの部屋に集合ですよ」

「はい。二人ともオーク肉が出る様に祈っていてくださいよ!」


 オーク肉はドロップするだろうけど、一塊では足りないだろうな。念の為、冷凍肉を出しておこう……


 G.W明けの第2土曜日、20階にワープして19階で狩りをする。今日も朝8時に入り、4時間狩りをしてHPをチェックする。


名前  東山 智明

年齢   21歳

HP   69/161

MP  27/102


 盾スキルが上がったお陰か、HPの減り具合は少しマシになったな。


 4時間でオークを10体ほど狩った。そして、オーク肉は6個出たので十分だな。2個持って帰って後は換金しよう。う~ん、昼からどうしようかな。この前、スライムエリアで狩りをした時、MPは上がらなかった。11階辺りだと魔物のランクがDに上がるからMPもまだ上がるかもな。よし、キラービー狙いで11階へ行こう。


 来る時にコンビニで買ったおにぎりを食べて、11階に移動した。そして、4時間ほどキラービーを追いかけた。1階に降りて、ステータスを確認すると思った通りだ。MPだけじゃなくHPも少し上がっていた。よし!次もこれで行こう。


HP   58/163

MP   2/104


 受付に行くと、白石さんの前で後藤さんが待っていた。


「東山君! 毒消しは出たかい?」

「後藤さん、こんにちは。はい、1個出ましたよ。もしかして待っていたんですか?」 

「おお~! 東山君は凄いな~! やっぱり思った通りだ。ここで東山君を待つ方が、ダンジョンでカエル殴るより確実に毒消しが手に入る!」

「後藤さん、確実じゃないですよ……期待されると困ります……」


 後藤さんは、僕がDWAに換金してしまうと、手に入らないからここで待っていたらしい……


 本当は2本出たけど、いざという時の為に1本は持って帰る。ダンジョン産の何かを食べて腹痛を起こすかも知れないしね。この後、焼き肉パーティーがあるし。部屋にも置いてあるけど持って帰る。


「後藤さんが、ここで東山様の出した毒消しを全部買い取ってしまうと、本部に貯えられないんですよ? 程々にして下さいね?」

「白石~、大目に見てくれよ~」


 後藤さんに1個毒消しを売り、持ち帰るのはオーク肉2個・毒消し1個・蜂蜜1個、他のアイテムは換金してもらい登録カードに入金して貰った。今日は62,700円。うぉ~、1日6万って、凄い金額だよな。むふふ。


 寮に帰ってジャージに着替える。そして、時間になったのでオーク肉の塊を2個持って田中先輩の部屋に行くと、みんな揃っていて僕が最後だった。


「東山! 待っていたぞ~! 肉は出たか?」

「はい。田中先輩の願いが届いたみたいですよ。2個持って帰って来ましたよ!」


 及川さんが、ギョッと目を見開く。


「な、なんだとー! 2個だと……俺も1個出たぞ……」

「東山君、凄いね~」

「太田~、これは東山が凄いんじゃなくてな、先輩の俺! の日頃の行いが良いからだ!」

「「「なるほど……」」」


 田中先輩のお陰で、落ち込みかけた及川さんが復活した。流石にオーク肉3塊は食べきれず、残りの肉は田中先輩と太田さんで分けてもらった。


「太田~、講習は月曜日からだな。頑張れよ!」

「そうか! 太田は企業講習だから平日にやるのか。仕事として参加出来るのは良いな」

「それはいいですね。僕の時は、有休を使いましたよ」

「僕、頑張って来ますよ!」


 そうか~、また初心者エリアが賑やかになるんだ。今回は慌ててワープを取ったりしなくていいから良かった。


◇◇

 翌日の日曜、TVを見ていたら緊急速報が流れた。東京の恵比寿に新しいダンジョンが発生して、DEA(ダンジョン省東エリア)の攻略部隊JDAと封鎖・警備するDPが招集され、調査・攻略に恵比寿のダンジョンに入る事になったと報道されている。恵比寿の一部が封鎖・規制されるので、注意する様にと報道されていた。


 ダンジョンの規模にも寄るが、出来たてのダンジョンには魔物が少なく攻略しやすいそうだ。上手く行けばダンジョンを潰す事が出来るらしい。


「新しいダンジョンか……」


 母さんみたいに、落ちてしまった人がいるんじゃないのかと気になる……


◇◇

 週明け、太田さんは課長の佐藤さんと長谷川さんと3人で企業対象の初心者講習を受けに行った。講習は、東京の新ダンジョン発生で延期されるかと思ったけど、関係なく実施された。


 帰って来た太田さんは凄く興奮していて、講習での話を事細かに話してくれた。なんでも、佐藤課長は現役で剣道をやっていて有段者だそうだ。そして、奥さんは元警察官だとか……何か凄い夫婦だな……太田さんは、佐藤課長の剣裁きが凄くて目が釘付けになったらしい。これから、毎週金曜に3人でダンジョンに入る事に決まったとの事。


 へえ~、佐藤課長は現役で剣道をやっているのか。自分の腕を試せるんだから、ダイバーになりたがるのも納得だ。


「太田は、金曜にダンジョンに入るのか~」

「仕事として平日にダンジョンに入れるのはいいな。人少なそうだしな」


 興奮してした太田さんの表情が、少し固くなって来た。


「田中さん、及川さん、課長と一緒ですよ……」

「太田さん、週末は自由に出来るんでしょ? それに、有段者と一緒なら安全じゃないですか」


 企業ダイバーは、各社3名だったから自然と3人パーティーになるよな。


「うん。東山君、そうなんだけどね……」

「太田~、温厚な佐藤課長と長谷川なら、大丈夫だよ。無茶は言わないだろう」


 確かに、仕事として上司とダンジョンに入るのは気を遣うよな……僕もイヤだな、自分のペースで自由気ままがいいよ。


 金曜日の夜、太田さんは夜遅くに帰って来ていた。あれはダンジョンの後、飲みに連れて行かれたな……


 翌日の第3土曜日、僕はいつも通り朝の8時頃にダンジョンに入った。19階で4時間ほど狩りをして、11階でキラービーを追いかけた。前回と同じコースだ。狩りが終わり受付に行くと、後藤さんがいなかった。あれ?


「白石さん、こんにちは。今日は後藤さんがいないですね……毒消しは換金に出しますね」


 一瞬悩んだけど、後藤さんに毒消しを取っておかなくて良いよな。


「はい、ありがとうございます。後藤さんは、応援で恵比寿のダンジョンです」

「えっ、応援で東京まで行くんですか! 後藤さんって強いんですね……」

「ふふふ、そうですね。実力だけを見たらDWAでトップ10に入りますね」

「おおおー、トップ10! 後藤さんが!? 凄いな!」


 受付で白石さんに駄々をこねている後藤さんの印象が強くて、そこまで強い人だとは思わなかったよ。


 DWAからJDAトップの2パーティーが、応援で恵比寿のダンジョンに入っているそうだ。1パーティーは5人で、後藤さんが入っているパーティーは、攻略専門の精鋭部隊だそうだ。聞いているだけでワクワクする!


 後藤さん、応援で恵比寿の攻略ってヒーローみたいだな! ソロで30階に行くわけだ。





多くの作品がある中で、読んで頂いて……見つけて頂いてありがとうございます。


誤字報告ありがとうございます。

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