第一関門
この世界での俺の名前はミント。
因みに、兄の名前はレートだそうだ。
え、なに?この世界って物語の世界かなんかなの?
名前が兄弟揃って(チョコ)レート、ミントはどう考えても人為的じゃないのか?
もしやこれ、乙女ゲームとか言う世界なのか?
まあ、俺は実際に乙ゲーをやったことはないが漫画やら小説やらでよく「悪役令嬢に転生」と言うテンプレを見たことがあるので予習はできている。
こう言う時は大体ヒロインが性悪になっているに違いない。
まあ、一旦この話は置いておこう。まだ確証はしていない。
ところで、俺はとある山奥に住んでいる。
理由は知らない。
生まれてからずっとここにいる。
母は、俺を出産した時に逝ってしまったみたいで、父は借金があるせいでどこかへ逃げたらしい。
だから、今の俺の家族は兄1人だけだ。
.......そう兄だけ。
別に、両親がいないからと言う理由で悲しんでいるわけではない。
先に言わせてくれ。兄しかいなかったらそりゃあ立派なブラコンになるだろうと。
こればかりは仕方ない。そう、俺は今や立派なお兄ちゃんを守り隊になってしまっていた。
俺がこうなってしまったのはそれだけの理由ではない。
まず、超強い。かっこいい。背が高い。イケメン。優しい。料理上手。etc...と言うわけで超ハイスペックあにいだったのだ。
今、俺は4歳だ。あと、あにいは16歳。
あにいは、今現在学校にいる。
そして、今から重大プログラムを行う。
それは!
「あにいの弁当を学校に持っていく!」だ!
きっとあにいのことだからモテにモテまくっているだろう。
そう、そんな中あにいに無事の弁当を持っていくにはどうすればいいか。
俺は考えた。
そして俺は、4歳というなんとも絶妙な年齢を使ってくぐり抜ける作戦だ。
3歳だと、小さすぎる。5歳だと可愛げがなくなる時期。
なので、賢く可愛く懸命に!という目標を掲げ今、使命を果たすのだ。
因みにあにいの弁当は色鮮やかだった。
学校に着いた。
学校は王都と呼ばれる街の中心部付近にある。
そこには貴族平民問わず来れるらしい。
あと、家からは約30kmぐらい離れているが、異世界ではこれくらいが普通なのだろう。多分。
よし、まず第一関門。
学園の兵隊さん、だ。
ここは普通に通過しよう。
できるはずだ。まあ、できなかったら強制突破させてもらおう。
なにせ、あにいの空腹がかかっているのだから。
「すみません!ちょっといいですか!」
あくまで、4歳児っぽく振る舞う。
兵隊が気づいたようだ。
「誰だい?坊や。」
よしよし、ちびっことして見られている。
順調だ。
「ぼくは!あにいのおべんとうを!とどけにきました!」
「あにいって誰のことだい?」
「え〜と、おなまえは!れ〜とです!ぼくはおとうとのみんとです!」
ん?なんだ。気のせいかもしれないが、兵隊が青ざめた気がする。
すると、兵隊達は「どうぞどうぞ!!」と入れてくれた。
優しいな。
今は最初の休み時間で昼の前の長い休み時間だ。
その時間で渡そうと思う。
次!第二関門!
おや、どうやらあにいは弁当には気付かず女の子達に囲まれているみたいだ。窓から見える。
羨ましい奴め。
とりあえず、次は学園の校舎に入ってみよう。