1-6
カゲオVS冒険者!
ちなみにカゲオの会話に出てくる『・』はスキルで一瞬消えてる瞬間です。
◇ ◇ ◇ギルド掲示板前◇ ◇ ◇
「おい!見ろよ!」
「あん?良い依頼でもあったか?」
「これだよ!これ!見てみろ」
「急がせんなよ、えーっと、『この度、魔霧の森の魔霧を消滅させ、更にゴブリンの集落を発見し単独にてキングを含む71体を殲滅、更に貴重な資料を持ち帰った功績を讃える。功績を上げしカゲオは冒険者未登録だった為、特例として本日よりBランク冒険者とする』はぁぁぁ?実績は凄いがいきなりBランク?聞いたことももねぇよ!」
「だよな、しかも下の方を見ると『不満がある冒険者はカゲオとの対戦を認めるので、本日から三日以内に受け付けに申し出ること』だってよ、噂ではカゲオってヤツに勝てば昇格出来るらしいぞ」
「どんなヤツなんだ?実績を見ると化け物だぞ?」
「本当かは分からんけど偶然消えた魔霧を自分の手柄だと言ってるとか、倒されていたゴブリンを持ち帰ったとか、領主に賄賂を送ったとか変な噂も絶えないらしい」
「胡散臭いヤツなのか?」
「なんでも容姿は黒髪で170cmくらい、見た感じ強そうには見えないらしい」
「ふ〜ん、まぁ勝ったらラッキーくらいの気持ちでやってみるか!」
軽い気持ちな者、自分の方が強いと考える者、妬む者など様々な思惑を秘めた参加者が続々と集まっていった
◇ ◇ ◇対戦当日ギルド訓練場◇ ◇ ◇
はぁ〜面倒だ
セブン領に今いる冒険者は強くないらしい
最高ランクでBだとか
Bなら強いんじゃないの?
しかも支部長とマイルド様には
ボコボコにしろとか言われるし
あ〜面倒だ
「カゲオお待たせ、挑戦者達が待ってるから行こうか」
「支部長は楽しそうですね」
「あぁ!楽しいよ!君の実力が見れるからね」
「ちなみに何人集まったんですか?70人は集まら・ないって話でしたけど」
「えーっと、200人くらいだね、しかもAランクもいるらしい」
「はぁぁぁ?話が違いますよ!Aからは人外だって聞きましたよ!」
「まぁ、頑張ってくれ!行くよ!」
どうしよう大丈夫か?
「やあ!皆!お待たせ!主役の登場だ!」
煽るなよ
「はじめまして、カゲオです。よろしくお願いいたします」
「・・・・・」
皆さん無言は良くないよ!
ブーイングとかは?
無言が一番恐いよ!
「ちょっと、良いか?」
「どうかしたか?トール?」
「そのカゲオってのは本当にBランクになる力があるのか?たまたま収納魔法が使えて漁夫の利を得たって噂とか色々聞いたんだが、もし実力が無いなら今すぐ引け、この人数だぞ、死ぬぞ」
優しい人?
この人がAランク?
「まぁ、その辺は心配ないと思うよ」
「そうか、後悔するなよ」
やっぱり恐い人?
「で、どうする?全員一斉にやるかい?」
もう目立ってもいいから
さっさと終わらせよう
「良いですよ」
「「「「はぁぁぁ?嘗めてんのか?」」」
おぉ、やっとブーイング
「じゃあ、何でもありの対決、はじめ!」
え?いきなり?
じゃあスキルオートオフをOFF
他のスキルを全部ON
「な?消えた?どこだ?」
「高速移動?転移?」
酸素を指定《吸収》
おぉ酸欠で九割がた倒れた
後は刀で峰打ち19連撃
手間賃で魔力を貰おうかな
魔力を指定《吸収》
ストックOK
スキルOFF、オートオフON
ふむ、弱かった
「よし、終わりましたよ」
「は?カゲオ、君は何をしたんだ?全員瞬殺?」
「まぁ、色々」
「まさか私ですら感知出来ないとは、さっぱり原理がわからん」
「そういえばAランクの人ってどの人なんですか?」
「ん?んーん、あそこの赤いフルプレート着たデカいヤツだ、名前は岩砕のドッガだな」
「異名持ちか、あれ?あのトールって人は?」
「あいつは、ただの目立ちたいだけのEランクだ」
はっ?
あんなに堂々と喋っておいてEランク
「わかりました、それでは失・礼します」
「おいおい、そんなに急ぐなよ、圧勝したんだから誰も文句は言わないよ」
「これ以上はトラブルはゴメンなので・・・」
「ちなみに今の戦いは王国内全てのギルドで生中継したから」
「は?今なんと?」
「だから王国全ギルドに生中継したんだよ、なにせいきなりBランクからスタートの冒険者なんていないから、本部も含めて生中継しろって大変だったんだよ!まぁ、めちゃくちゃ高価な映像魔道具の費用は各ギルドで頭割り出来たから助かったけどね」
「国内に僕の姿が晒されたんですかぁぁぁ!」
「ははは!いきなり有名人だな!どこに行っても大丈夫だぞ!すぐに異名も付くな!」
余計なことおぉぉぉ
碓井景雄は影が薄いんだぞ!
目立ち過ぎやろがい!
「はぁ、もう良いですよ」
「黙ってた点は悪かったがB辺りからは顔が売れてるのが当たり前だから、あと今からこの前のゴブリン集落殲滅、集落の提供、魔霧の消滅の報酬を渡すから」
「報酬は領主様からだったはずでは?」
「今回はギルドとセブン領領主合同にて進呈する、まずゴブリンキング以下71体の討伐及び魔石と素材については大金貨5枚、集落の提供は大金貨1枚、魔霧消滅は白金貨5枚、そしてカゲオをセブン領名誉領民に認定する」
お、何時もより威厳を感じる
ちょっと空気もピリッとしたかな
ふむ、凄い金額なんだろうけど価値が分からん
「ありがとうございます。二つ質問良いですか?」
「あぁ、かまわないよ」
「まずは何故魔霧の件の評価が高いんですか?」
「それは魔霧がセブン領開拓以来の課題だったからね、本当はもっと多く支払いたいんだが何分、お金は有限だから、この程度って訳だね」
この程度って額じゃないよな?
予想だけど円なら
5,000万とかくらい?
「なるほど、あと名誉領・民とは?」
「名誉領民は魔霧の件で支払えなかった分を分割で補填する為の、新設した制度だよ、だからカゲオには元魔霧の森の開拓で出た利益の内1%が毎年入るようになるらしいよ、詳しくはマイルドに聞いてくれ」
毎年1%って凄いんだよな?
「なんか、凄いですね」
「まぁ、それだけの功績ってことだね」
「わかりました、色々ありがとうございます」
「さて、やっと全員目覚めたみたいだね、さぁカゲオに挑んだ冒険者諸君、まだ彼の実力に疑問を持つ者はいるか?何だったら個々で挑むかい?はっきり言おう元Sランクの私ですら彼が消えた後、感知することが出来なかった、つまり私が挑んでも君達と結果は一緒だろうね、だから彼に敵意を向けるのはオススメしないかな、むしろ彼の機嫌を損ねてギルドや領地、国に不利益が及ぶようなら・・・・賢明な君達ならわかってるよね?」
支部長Sランクやったんかーい
最後は脅しか
冒険者の人達黙りだよ
うむ、目立っちゃったけど
変な嫌がらせとかの心配はないかな?
「よし、異論はないようだね、それじゃ解散!」
やっと帰れる
「では、失礼します」
「あ、ちょっと待ってくれ、マイルドからの伝言で領主館に顔出せってさ」
「わかりました」
まじで疲れた・・・
◇ ◇ ◇領主館◇ ◇ ◇
「よく来てくれた、お疲れ様、圧勝だったそうじゃないか!私も見たかったな!」
「ありがとうございます、マイルド様に見ていただく程ではなかったかと」
「ほぅ、そこまで簡単な戦いだったのか!」
いや、コレは謙遜です!
「カゲオさん、お疲れ様です、お怪我が無くて良かったです」
「アリア様、ご心配いただきありがとうございます」
「カゲオ君、使用人から聞いたんだがアリアは君のことが心配で心配で、ずっと屋敷の中をうろちょろしてたらしいよ」
「!お父様!それは言わないって約束したではありませんか!」
「はははは!どうだいカゲオ君、怒ったアリアも可愛いだろ?」
「はい、可愛いと思います」
頬っぺた、ぷくーって
現代だったらあり得ないけど
アリア様はがやると嫌な感じしないな
うむ、可愛い!
「お父様もカゲオさんも、か、からかわないで下さい!」
「いや、本当に可愛いですよ」
「ず、ズルいです!」
やべ、つい本音が
あ、顔真っ赤にして行ってしまった
「カゲオ君、君も中々な男だな、返事は今でも良いんだよ?」
この流れはマイルド様の策略か!
優しい顔して
中々の曲者やで
「いえ、まずは旅に出ます」
「そうか、それは残念だな」
「ところで、マイルド様、お招きいただいた理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、そうだったね、つい楽しくて忘れていたよ、カゲオ君マルボから報酬は受け取ったよね?」
「はい、多大な報酬ありがとうございました、正直、あんなに戴いてよろしかったのでしょうか?」
「私としては、もっとあげたかったんだけどね、これからの開拓のことを考えるとあの金額が今の限界だったんだよ、だけど魔霧の森には手付かずの材木に広大な土地があるから、今後はより領地を豊かに出来るはず、いや豊かにしてみせる、だから君への報酬は年を重ねる毎に増えると約束するよ」
「十分過ぎる報酬を戴いていますが、更なるお気遣いありがとうございます」
本当にありがたいな
「それで、旅に出る前にお願いが有るんだが聞いてもらえるかな?」
ふむ、断れないし断らないかな
「はい、大丈夫です、それで内容はどんなもの・でしょうか?」
「実は極僅かではあるんだけど魔霧が発生しているようなんだ、だから魔霧の確認及び除去と原因の特定をお願いしたいんだよ」
「場所は特定出来てないんでしょうか?」
「そうだね、風で流れて来ているのか特定の場所ではないようなんだよ、すぐに消えているようだけど、今後を考えると心配でね」
「なるほど、わかりました、僕が離れた後に魔霧が再発して開拓に支障が出たら後味悪いので、すぐに確認してきます」
魔力補給になるかもだし
「ありがとう、よろしく頼むよ」
◇ ◇ ◇魔霧の森◇ ◇ ◇
さて、どうやって探そう
てか改めて魔霧が無い森を見ると
普通の森より木がデカイな!
魔霧の影響か?
開拓は大変そうだ
とりあえず走り回るか
ちなみにスキルはON
魔物にかち合うの恐いしね
ふ♪ふふ♪ふん〜♪
『ギャ』『ギュ』『ギョ』
「ひっ!ゴブリンの首が、いきなり切れた?しかも三匹同時?な、何がおきてるんだ?」
ヤベ鼻歌混じりでゴブさん
斬殺してたら人いたよ!
索敵だと魔物しか分かんないんだよな〜
とりあえずこの人はスルーして行こう
ゴブさん、オーさん狩れども
魔霧見つかんないなー
ん?オーガをオーさんだと
オークが出て来たら困るな
ん〜〜オークは金髪豚野郎だな
いや長いから豚野郎か
いやメスは野郎じゃないか
そもそもメスいるのか?
ま、どうでも良いか
ん?魔霧発見!
あっちから流れてきてる?
とりあえず魔霧《吸収》
お!地面に亀裂発見!
ここから出てるっぽいな
ふむスコップで掘るか
土魔法欲しいな
体力とか色々前より凄いけど
肉体労働はダルいな
ふーっ
包帯?みたいな布に包まれた何かがある
サイズは一升瓶くらい?
この布よく腐食しなかったな
とりあえず回収
布を取ってみるかな
・・・・・・げっ!
なんか干からびた足?が出てきたよ
ん?
人間のじゃない?
魔物のか?
なんか魔力?みたいなのが漏れ出てる
定番なら邪神とか魔族の足かな?
うーん
とりあえず魔力《吸収》
おぉー凄い量だ!無限に出てくる?
これくらいにしとくか
若干威圧感的なのが弱くなった気がする
なんかマズイ物かな?
まぁ影に入れときゃ大丈夫かな
とりあえず影に入れとこ
まだ時間あるし
開拓の邪魔になりそうな魔物狩っとくか
狩り狩り狩り狩り狩り狩り
カリカリウメ食べたい
ん!初オーク!
オーさん!首キリング!
じゃなくて豚野郎!
『プギィ』
やっぱり一撃か
どこまで一撃でいけるんだろ
腹減った
定番ならオークは美味いはず
見た目はデブなおっさんなんだけどな
うーん誰かに確認してから食べるか
これで不味かったら萎えるし
豚野郎少ないな
たぶんだけど
勢力分布的に
数の多いゴブさん五割
強いオーさん四割
よく分からん豚野郎一割
この感じだと、ゴブさんとオーさんの
集落は有りそうだな
豚野郎は少ないなから
もっと奥に行かないとダメだろうけど
ちょっと休憩して集落探すか
串焼きとスープにジュース
うん、美味い!できたては良いね!
マジ闇魔法様々ですわ
あとは生き物も影に入れられたら
更に便利なんだけどな〜
よし、贅沢ばっかり言ってないで
仕事しますかな
とりあえずオーさんの
集落でも、探すか
オーさんオーさん出ておいでー
むぅ無いな
それなりに探したけど
無いっす!
うーん、オーさんは
多少いるけどゴブさん程
多くないんだよな〜
集落はないかな
調子にのって
結構なスピードで移動したから
だいぶ遠くまで来ちゃったかも
んー、ん?
オーさん発見?
なんか、いつもと違う
体がデカいな
ハイオーさんかな?
鎧とか着てるし
棍棒じゃなくて
モーニングスターみたいなの持ってる!
おー、なんか強そう
しかも5体いて1体は体が赤いし
武器がバトルアックスじゃん
隊長的な感じかな
へぇ〜統率もとれてる
ちょんぱしないで
後をつけてみるか
よし!
オーさんと散歩だ!
早速横に並ぼう
「ジュース飲む?」
「・・・・・・」
わかってたけど、やっぱり無視か!
スキル恐るべし
ふん♪ふん♪ふーん♪
オーさん、オーさんどこ行くの?
楽しかったのは数分だったな
かれこれ30分は歩いとる
マジでどこ行くのー?
時折周囲を警戒してるから
巡回か?
お!石積の門発見!
門の前にオーさん!
門番か?
門番も赤いな
「ゴギュリョウ」
え?喋った!?
「イジャウナジ」
え??
今『ご苦労』と『異常無し』って
言ったよね?
でも森にいたのは喋らなかったし
赤いオーさんは
頭が良いのかもしれない
そうすると中には
もっと頭の良い上位種がいるかも!
オラ、ワークワクすっぞぉ!
さてオーさん達と
ヌルッとスルッと入門しますかな。
次回はショウとカナデとクリスティアのお話