心配
気長に読んで行って下さい。
俺は赤髪女に連れられ学校の寮の部屋に来てる。
部屋は広いと言えば広いのか、ベットが壁よりに一つずつあって、それ程間は空いてなく真ん中に四角形の机があって、あとはクローゼット以外何もない部屋だ。
いや、窓もあるか。
「どっち使う?」
「どっちでも」
俺がそう答えると赤髪女は右側のベットに腰を降ろしたので、俺は反対側のベットに寝転がった。
「ねぇ、えっと、ティアロスト………長い、ティアって呼ぶけど良い?」
「好きにしろ」
「なら、ティア、あなた特性持ちなのに何で平民なの?」
特性は十五歳を迎えた子供達が貰えるスキルとは違い、生まれてから持っているスキルだと思えば良い。
特性持ってる平民が居たらまず、貴族の偉い奴らに連れて行かれ、何処かの養子入らされる。
こいつに話す義理は無い。
「答える必要が無い」
「………そう。元貴族ね」
何故、分かった? いまの言葉に分かる部分なんて無かったはずなのに何でこいつは分かった………。
赤髪女は口をにやっとさせ、これは鎌をかけられた。
「へぇー。当たりか」
「………」
直ぐに顔に出した俺が悪い、失態だ。こんな奴に鎌をかけられるとは。
「まぁ、良いわ。あらかた予想はついたから喋らなくても」
腹が立つ、あの自信満々に言い当てたぞと言ってる顔が腹が立つ。
だが、怒っても仕方ないので表には出さない。
俺は赤髪女とは違う、壁側の方を向いて寝始めた。
「もう寝るの? もう直ぐ夕食よ?」
「………俺はいらん」
「あら、そう………」
それ以上話話し掛けて来ることは無く俺は眠くなり、寝た。
アルシェ視点。
「………本当に寝た?」
目の前で銀と黒色の髪をした以外大きな体をしてる男の子が寝てる。
ティアロスト・アストロ。私が初めて家族以外に負けた相手。
分からなかった。自分の力が跳ね返される様に逆に流れて来て吹っ飛ばされた。
雪花流は王覇流と相対する流派、私達兄妹に教えてくれたお父様は雪花流は強いと言っていた。
お父様は雪花流継承者十四代目バーバス・アストロ負けたと言っていた。
だから、私が雪花流の継承者に勝つと思ったけど、負けた。
それも経った一撃で………………。
こんな不様な姿を晒して家にも戻れないし、今はこいつに勝つことを考えないと。
その日は夕食を取って、部屋に戻り私も寝た。
☆
「ペアでランニング。ペアで組み手。ペアで模擬戦………」
先生から配られた紙に書かれたのはペアですることしか書いてなく。
何で、ここはペアでさせたがるんだろう?
そんな学校とは聞いたこと無かったんだけど………。
「おい、赤髪女」
「………………………………ん? まさか、赤髪女って私?!」
「それ以外誰がいる? はぁ」
はあ? 何こいつ………。失礼過ぎない? 王女の私に対して………。
「で、赤髪女、さっさと終わらせるぞ」
「………はいはい」
多分、こいつ何を言っても無駄だと思い、取り敢えず紙に書かれたことをペアのこいつとやり始めた。
「………」
負けた、また負けた………。模擬戦を何度もして負けた。
何で、簡単に跳ね返されるのよ。
剣は何とか見えるけど、気づいた時にはもう跳ね返されてる。
いまの私じゃあ、この男に勝てない………。
「はぁ。お前弱過ぎ。相手にならん」
「っ!………………」
何も言い返せない。本当のことだもん。
言い返したら更に不様になってしまう、この男には腹が立つ。
けど、何も言えない。
「………勝ちたいよな、勝てない相手に勝ちたいよな?」
「………」
「俺だって、勝てない相手には勝ちたいけど、未だに勝ててない、だからこそ、毎日剣を振り、腕を磨き、まだ挑んで負ける、そんな繰り返しだ」
何言ってるの? いきなり。
いきなり、何かを語りだしたティア。
「勝てないからこそ、そいつを観察して、弱点を見つける、見つけたら、それをどう突くか考え、挑む………まぁ、俺は負けてばかりだけど」
「………………その、相手って、貴方の師匠?」
「違う。師匠にも勝ったと言うより一撃も入れたことがない」
「何? 貶したいの? だったら、辞めてくれる?」
そんな俺に負けてる王覇流のお前はやっぱり弱いとでも言いたいのか、さっきから言ってることは全く意味が分からない。
「………だから、諦め無いで俺の弱点を見つけて、何度も挑んで来い」
「は?………………………。そんなの当たり前でしょ? 何言ってるの?」
「いや、だから、さっきから落ち込んだ顔してたから………………見てるとこっちがイライラして来るからだ!」
てことは、こいつ………私を心配したの?
「ぷっ! あはははははははは!」
「な、なんだ! いきなり笑って!」
私も分からないけど、なんだか笑えて来て、ほんっと何で私笑ってるんだろう。
「たっく、なんだよ。いきなり笑いやがって」
「そうね、なら、早速やりましょう、私が勝つまで」
「あぁ。来い」
それから他の訓練なんてほって、ずっと、私が勝つまで試合をした。
それを数日続けると。
「アルシェ、まだ甘い、もっと速くしろ」
「うるさいわね! やってるわよ!」
かきんっ。かきんっと金属が触れ合う音が鳴り響き、ティアにまたしても跳ね返されてアルシェは後方に下がる。
「はぁ。また駄目ね」
私は剣を鞘に納め、一息つこうとティアと木の下に座った。
ティアは最近やっと、赤髪女からアルシェと名前で呼んでくれる様になった。
それ以外にも少し距離も縮まった気もする、たまに頭を撫でてくれるし、夕食を作ってくれることもあった。
王女である私が食べるのに素朴だったけど、美味しかった。
「………はぁ」
「どうかしたの? 溜め息なんかついて」
「最近、セシアに会えてない。何で一年は夕方までやらせるんだ」
何で、いまセシアが出てくるの………。
あれ、何で怒ってるの私?
「ティア、休憩もう良いでしょ。やりましょ」
「ん? なぁ、セシアに会って」
「駄目!!」
「え。あ、うん」
肩を落としながら仕方なさそうに立ち上がるティアにまたしてもイラッとする。
そんなに、そのセシアって子が良いの………………。
それからムカムカしながらティアと試合をして。
「ふぅ。今日はここまでにするぞ」
もう夕陽が沈みそうなぐらい、辺りは薄暗くなっており確かに今日は辞めておいた方が良さそうね。
「分かったわ、なら寮に戻って汗流しましょうか」
「あ、そうだった。今日まで部屋ありがとな」
「え」
それって、どういう………………。
「家が出来たみたいだ。まぁ、今までありがとな、本当に」
「そ、そっか」
胸がもやもやする、なんだろうこの気持ちは。
「………」
「………」
「心配するんな、この数日でお前は悪い奴じゃないって分かった。だから、明日もこうして来てやる」
「………そ、そんなの当たり前でしょ? 貴方は私のパートナーなんだから」
最後に頭を撫でられ、ティアと今日はそれで別れようと………。
「ティア!」
私はとっさにティアを引き止めてしまった。
「ん? どうした?」
何で止めたの? うぅぅ、流石に止めたなら何か言わないといけないわよね。
「えっと、あの、ティア………今日はまだ、部屋でも良いんじゃないの?」
「まぁ、良いが。お前は俺が居たら嫌だろ?」
「………ううん。別に………私は嫌じゃない」
ティアは頭に手を当て少し困った顔をしてる。
「そうだな、今日ぐらいはそっちに泊まるわ」
その時、私の中で何かの気持ちが込み上げてきた。
顔が熱い、ティアの笑顔を見ると更に熱くなる。
胸もドキドキして落ち着かない、私どうしたんだろう?
このティアの選択がこの後、あんなことを起こすとはまだ本人は知らなかった。
誤字、脱字報告をしてくださると幸いです。