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試合

気長に読んで行って下さい。

「逃げずに良く来たわね」

「戯言はどうでも良い、さっさと終わらせるぞ」


良くありそうな台詞を吐いてくる赤髪女。


「っ!………………まぁ、そうね、どっちが強いかはっきりさせようじゃない」


赤髪女は剣を鞘からだし、一回、二回と綺麗に振り。


周りの観客達はおぉぉと言って驚いてる。


俺は腰に剣を差し、構えをとる。


手を柄に当て、少し背を屈ませ、相手が動くのをじっと待つ。


雪花流一の太刀は『反撃』だ。


「試合開始!」


審判の声と共に赤髪女は勢い良く俺に突っ込んで来て、鋭く繊細な剣突きを俺に向けてくる。


確かに、洗練された動きだ、こいつも俺と同じ様に修行を積んだんだな。


だが、甘い。俺は特性が使えないから、今回は一撃で決める。


そして、赤髪女の剣が俺の体に届く寸前、キィィィィっと金属音が鳴り響くと同時に赤髪女は後方に吹っ飛んで行った。


観客も唖然とした顔で見ている。多分、いま起きた事が見えなかったんだろう。


見えたのはごく一部だけ、セシアや師匠、それと同等に近い者や、それを受けた赤髪女しか分からないだろう。


今のは雪花流一の太刀『反の一』だ。

相手の力を借り、そのままその力で相手を飛ばす技。


これは相手の力が強い程、強化されて行くもので、いま赤髪女が吹っ飛んだ力はあいつ自身の力、かなり力を込めていたぽいな。


俺との距離は約五メートル、六メートルちょいぐらい、そこまで吹っ飛ばす力を入れてるとか俺を殺す気だったのか。


「じゃあ、終わりだな」


俺は剣を鞘にしまい後ろを振り向いた。


「ま、待って!あなた何したの!」


まぁ、それが来るのは当然だ、なんだって俺も最初に師匠やセシアに同じ質問をしたんだから。


「雪花流一の太刀は「反撃」の型だ、今のはお前の力を跳ね返したとでも思えば良い、と言うかそれ以外無い」


うん。間違ってないはず、俺もこうやって師匠から説明されたし。


赤髪女は納得してない顔をしてるが、それが真実なのでどうしようもない。


「ティア!」


小走りで俺に近づいて来るセシア。


俺の所まで来ると腕に抱きついて来て、セシアの柔らかい部分が触れて嬉しい気持ちになる。


「セシア、終わったから行こうか」

「うん! あ、その前に」


セシアは俺から離れ、地面に座り込んでる赤髪女の所まで行き。


「ねぇ、貴女、ティアと同室になるからってティアに手出ししないでね? それとティアが手を出すことは絶対無いけど、あったら私に言ってね。きつ~~~いお仕置きするからね!」


「あ、は、はい」


少しするとセシアは戻って来て何かご機嫌なお顔で戻って来た。


「何したの?」

「うーん。何も!」


何か隠したな………………まぁ、どうでも良いか。


俺は気にすること無くセシアと昼飯に行った。




          ☆


「………」

「ごめんね。来たいって聞かなくて」


俺の隣にセシアが居る。更に前にはセシアのペアと言う明るい茶色の髪をミディアムヘアにした女の子、マナ・アルシグナが居る。


せっかく、セシアと二人だと思ったのに………………。


「君が、セシアの彼氏………」


じろじろと俺を見てくる茶髪女。


「………おい、見るな、セシアの飯が不味くなる」

「え。あ、ごめん」


茶髪女は直ぐにじろじろ見るのを辞め、俺はセシアが作ってくれたレタスと潰してある半熟ゆで卵が挟まれたごく一般のサンドイッチだ。


それを一口、二口と食べて行き。


美味しい。


レタスのしゃきしゃきした食感に卵の甘み、普通のサンドイッチだけど美味しい。


「どう?」


セシアが心配する顔で俺を見てくる。


「美味しいよ」

「本当に?」


「うん。美味しいから、安心して」

「なら、良いけど」


これは、信じられてないな、今回のは自信無かったのかな? まぁ、美味しいのは本当だから嘘をつきようがない。


「おい、茶髪女、セシアにちょっかいだしてる奴は居ないよな?」


「………………………ん? 茶髪女って私!?」


何を驚いてるんだ、お前以外にここに茶髪の奴が居るわけないだろ。


「えぇ、さっき自己紹介したのに………」

「まぁ、最初だから、仕方ないよ、ティアは猫で犬だから」


何か、セシアが言ってるが気にしないでサンドイッチ食べよっと。


俺はセシアが作ってくれたサンドイッチを俺はパクパクと食べだし。


あ、さっきの質問の答え返ってきてないが、まぁ、良いか、今はサンドイッチ食べよ。


「猫で犬?」

「うん。最初は猫みたいに警戒して近寄ろうともしないくて、馴れてくれるとあっちから近寄って抱き締めて来るよ」


「へぇー。どうやれば馴れるの?」

「まぁ、地道にやるしか無いかな? 挨拶したり、一緒に稽古したりって、マナ? ティアと仲良くなりたいの?」


何かを怪しむ目でセシアはマナを見る。


「いや、まぁ、茶髪女から名前で呼んでくれるまでは仲良くなりたい」


「まぁ、そうだよね。私も最初は金髪女だったし」


「と言うか、呼び方酷くない?」

「それは、そうだけど、馴れてくれれば普通に名前で呼んでくれるから、大丈夫だよ」


「う、うーん。そうかな?」


マナは若干納得は出来てないが、これから馴れれば良いと思い。


「セシア、ごちそうさま」


俺はセシアが作ってくれたサンドイッチを食べ終わり。


「ティア、そういえばあの子と組むんだよね」

「あ、うん、ペアはあいつとだけど、安心して、部屋は違うから」


「え? そうなの?………………………なら、圧かけなくても良かったかな」


最後の方は声が小さくて聞き取れなかったけど、安心してくれたかな。


「師匠にどうにか言って、部屋は別々にして貰うことになったんだ。まぁ、試合に勝たないとそれは無かったから試合はやらないといけなかったんだけどね」


「なら、良かった。じゃあティアの部屋って何処になるの?」

「………それは、まだ内緒」

「ふーん。私に隠し事するんだ~」


うっ、それを言われては言わない訳にはいかないが、喋ったら絶対に駄目って言うからな。


「えっとね、まだ出来てないんだ、だから暫くは野宿って形かな?」


「………………………ちゃんとご飯は取れるの? お風呂は入れるの?」

「え。まぁ、大丈夫だけど」


それから色々聞かれ。


「………許す」

「は、はい」


なんとか許可は貰え、毎日体の調子を見させる条件で俺は帰された。



           ☆


「まぁ、これで君達はペアだ、頑張りたまえ」


俺は白髪のおっさん呼び出され、特にやることも無かったので来てやった。


赤髪女は終始納得してない顔で居るが、俺もそうなんだから我慢しろと言いたい。


「でだ、ティアロスト君はバーバス殿の意向で学校内にある森で家を作ることは認めよう」


師匠って、やっぱり凄い人だったんだな~。


「分かった、なら、俺は行く」


「え」


俺が行こうとしたのに対して赤髪女が反応して来た。


何か………………あったか。


「はぁ。俺はお前みたいな奴隷はいらん、好きにしろ」


これで、もう、関わることは無いだろう。


「ち、ちょっと待ちなさいよ!」


「まだ、何かあるのか?」


俺は肩を落とし、嫌々もう一度赤髪女の方に振り向いた。


「その、えっと、あの」

「………」


「その、あの、あの」

「………」


「えっと、その、えっと」

「………」


「その、あの、うんっと」

「………」


「そのね、あの」


そこで俺の我慢が終った。


「いい加減はっきりしろ!! 何回同じことを繰り返すんだ!」


「ご、ごめんなさい!」


はぁぁっと息を吐き、一旦心を落ち着かせ。


「で? なんだ、今度ぐだるなら、もう行くぞ」


「………その、家が出来るまでなら部屋に居ても良いわよ」


「………?」


何言ってるんだ、こいつ?


部屋に来いとでも言ってるのか? それとも俺からセシアの信頼を無くすために?!


俺はもう、セシアに野宿すると言っていて、それを何処かで、いや、それは無いか。気配しなかったし。


だったら、何で俺に部屋に来て良いと? 俺が居るのを嫌ってたのに。


校長をちらっと見ると、妙ににやにやした顔でこっちを見ていた。


なぜ、にやにやしてる?


「良い? 来るのよ。部屋に」


「いや、大丈夫だが」


「良いから! 来るの! 分かった?」

「え。あ、はい」


何で、俺はこの時にはいと返事をしてしまったんだろう。後でああなるとは思わなかった。

誤字、脱字報告をしてくださると幸いです。


これを読んで居るお方が居るなら、感想をくれると幸いです。

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