雪花と王覇
気長に呼んで行って下さい。
「君達なんで、呼び出されたか分かってるかな?」
俺の前に椅子座り顔前ぐらい手を組んで俺と、隣に居る赤髪ロングの女を睨み付ける様に見てる。
呼び出された理由………………。
思い当たらない。
「しらん」
「私も不服ですが、こいつと同じです」
俺をチラッと見て来てそう言う赤髪女。
「君ら? それ本気で言ってるの?」
「あぁ」
「はい」
校長は終始無言で呆れた顔で俺達を見てる。
「はぁ。君達が呼ばれたのはパートナーを付けてないからだ、入学式で言ったろ? 二人一組を作って貰う、まだ一週間、二週間ならまだ許せる。それが一ヶ月も続くとね? さすがに呼び出すしかないんだよ」
そう言うことか。でも、それなら俺にはちゃんとした理由がある。
「校長、それについては俺にはちゃんと理由がある」
「なんだね、言ってみな」
☆
入学式が終わり、俺は先程セシアの口パクで説明された場所に向かっている。
「~~♪」
鼻歌を歌いながらスキップして俺は向かう。
仕方ないことだ、セシアに会うのは一年近くぶりなんだ、こうなるのも仕方ない。
セシア、セシア、セシア、はぁ………。セシアに早く会いたい。
「おっと、通り過ぎるところだった」
浮かれ過ぎて、セシアに言われた学校の中庭を通り過ぎるところだった。
いかん、いかん、セシアに怒られてしまう。それも良いけど。
中庭は物は無く草が広がったり、良く誰かに使われた跡がある。
草が剥がれ、下の地面が見えるまでここを使い込んでる証がある。
そこは一定の距離しか剥げて無いのでこれは一人がここでいつも素振りしたりしている場所だと推定できる。
俺は直ぐ先にある中庭だけに一本ある木まで行き、まだ来てないセシアを待つことにした。
「ティア」
暫くすると、そう呼ぶ声が前から聞こえた。
とても懐かしく思える澄んだ綺麗な声。
セシアだ。
「セシア!」
余りの嬉しいさに俺は走り、セシアに抱きついた。
少し赤みのある綺麗な金髪、雪の様に綺麗な肌、背は俺より少し低いぐらい、透き通って見える翡翠色の瞳、間違い無くセシアだ。
「もう、ティアは」
呆れた声で言われるけど俺は辞めない、もうずっと離したくないぐらいに。
「ティア、一回離れて、伝えたいことあるって言ったでしょ」
そう言われたら離れるしか無いので嫌々俺は離れ。
やばい、可愛い、セシアの上目遣い+頬を赤くして俺を見上げる姿は可愛い過ぎる。
「ティア、私はあなたが………?」
俺はその続きを聞く前にセシアに待ったを掛けた。
「セシア、それは俺から言わせてくれないか?」
「………………………うん」
セシアから許可を取り、ふぅぅと息を吐き、心を落ち着かせてから俺は言った。
「セシア、俺と末永く一緒に居て下さい」
回りくどい言い方だけど、結婚をして下さいは何か違うと思いこう言ったのだが、言った後で思うと別に結婚して下さいと言っても良かったと思った。
「はい、末永くお願いします」
それでもセシアは答えてくれて。
俺は抱きしめると同時にセシアとキスを交わした。
味なんて良く分からないけど、とても甘く感じたキスだった。
「で、それからセシアとデートしたり、剣術を磨いたりしたから、仕方ないんだ」
「うん。惚気たね、おもっきり惚気たね、もう怒るより君には呆れるよ」
呆れられたか。まぁ、別に他人にどう思われ様が俺はしらん。
「はぁぁ。君らは成績トップ一位と二位なのに、癖があると言うか、なんと言うか」
校長は本当に呆れた顔をして俺達を見て溜め息をついている。
「あの、言っときますけど、私はこんな不潔な奴とは理由は違いますからね?」
「なら、言ってみなさい」
「私に合う相手が居ないからです」
「うん。そういう答えを来るのを待っていったんだよ」
校長は首を立てに振り腕を組んで待っていたという顔をしてる。
俺と反応が違う、少し複雑な気分だ。
「でだ。本題に入るぞ………と言うか、もう結論から言う、君達で組みなさい」
「嫌だ」
「嫌です」
二人揃って答えをだし。
「いや。まぁ、分からんことでも無いが、もう学年に余ってる者は君達しかいないのだ、よろしく頼む」
俺とこいつしか余ってないか………女だとなぁ、セシアに誤解されたら嫌だし、男ならまだ組んでも良いけど。女だと、やっぱりセシアに誤解はされたくないなぁ。
まぁ、誤解されることなんて一切する気は無いけど。
「………それって、上級生とは組んでは駄目なのか?」
「まぁ、駄目だとは言わないが、もう上級生全員、組んでいるから無理だと思うぞ」
セシアなら、多分いま組んでる子と変えないな、セシアは決めたことは曲げない頑固なところはあるから。
まぁ、そこも良いところなんだけど。
「私は嫌です。絶対に組みません。何で男と組まないといけないんですか」
「うーん。確かに女性の君からならそういう答えが来ると思ってたよ。でも、君なら大丈夫だろ。襲ってくるなら振りほどけるだろうし、それにさっきの話通りならティアロスト君には恋人が居るみたいだし」
「ん?………………………なぁ、待ってくれ、さっきから何を言ってる?」
話からするとなんかあるみたいな言い方だ、何か男女が一緒になちゃ駄目なことが………………。
「はあ? えっと、教室で説明受けたよね? ペアになった二人は同室でこの学校を卒業するまで一緒に暮らして貰うと」
ここを卒業、てことは三年間こいつと一緒………………………………。
「断る、同室になるならセシアが良い」
「うん。無理だね」
一瞬できっぱり断言づけられた。
えぇ、本当に嫌なんだけど。
「………あなたねぇ、普通なら喜ぶところでしょ? この私とペアになれて同室で三年も一緒よ? 私はごめんだけどね」
「はっ。俺だって嫌だわ、なんでセシア以外の女と一緒に暮らさんといかん。それにお前みたいな奴とペアを組んだら師匠の流派が貶される」
「な、なんですって! それは私が弱いってこと!?」
耳もとで叫びやがって、うるさい奴だな………。
「まぁまぁ、落ち着きたまえ。二人共」
「………し、失礼しました」
赤髪女は息を整えてから姿勢を綺麗に伸ばしさっきの状態に戻った。
「もう、二人で勝負して決めてはどうだ?」
「「勝負?」」
またしても赤髪女とかぶってしまった。
赤髪女は俺を睨み付けて来るが、まぁ、ほっとこう。
「勝負やはり、お互いの剣術でだ、ティアロスト君、君はバーバス殿から聞くからには特性を持ってる様だね、それは禁止とする、単純に剣術だけの試合をしてくれ」
特性は、禁止………まぁ、それでも良いか。
「分かった、俺は受ける」
「えぇ。私も受けるわ………それと、もしで、万が一私が負けたらあなたの一生奴隷になってあげる、その代わりあんたが負けたら私の奴隷になりなさい」
「は? そんなの受ける訳ないだろ」
「ふーん。負けるの怖いの? それとも剣術に自信が無いとか」
簡単な挑発。普段なら乗らないが、剣術をバカにされて引き下がる訳には行かない。
あれは、師匠やセシアの誇りでもあるから。
「分かった、受けてやるよ」
「承諾したわね? それなら早速やりましょうか」
☆
「てなことで、昼休みは一緒に居られなくなっちゃった、ごめん」
校長室から戻り、訓練の休憩がてらセシアに会いに来た。
俺達は中庭で木にもたれながら座っている。
「そっか、なら、応援に行くね!」
なんと言う、可愛い笑顔、やはりセシアは天使だ。
「試合は直ぐに終わりそうだよね、なら、お弁当を作っておくね!」
俺が勝つと信じてくれてるセシアのためにもこの試合は負けられないな。
「セシアのご飯か~! 久しぶりだな!」
「まぁ、簡単なサンドイッチとかだけどね」
それだけでも俺は有り難い、セシアの料理を食えるだけでも俺は十分だ。
俺はそっとセシアの頭に手を乗せ撫でて。
「………………撫でても良いけど、こっちもしてよ」
顔を上げ唇を少し上に向けて来る、しても良いなら俺はしたいのでセシアとキスをした。
「えへへ。ティア大好き!」
「俺もだよ、セシア大好きだ」
暫くイチャイチャしてから俺は試合に挑んだ。
誤字、脱字報告をしてくださると幸いです。
ティアは告白の回りくどい言い方をしましたが、あれはティアが格好つけたいために言ったのもありますので暖かい目で見てくれると幸いです。
まぁ、結局のところ作者の願望ですけど(●´ω`●)