表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ファンタジーなお話 ~少年少女は未来へ進む~

魔法に関するオリエンテーション

作者: RedSun366

私の名前は█████████!お父さんはギルドの狩人でお母さんも女戦士だけれど、私はあんな汗臭いゴツイ戦士になんてなりたくない!私は魔法使いを目指すの!学校の学科も魔法科を選択して、準備万端!今からでも魔法使いになるのは遅くないわ!……授業って、こんなにドキドキしたかしら?

あら、今日は魔法についての初歩の初歩なのね?…そっか、今日が初めての授業になるのか。

まずは、自己紹介からかな。私は、魔法科の講師である████████という。得意科目は魔法学の中でも属性学だ。まぁ属性学は魔法の基礎の基礎だから、いわゆる魔法学入門として位置付けられている事が多い。しかし、属性学ほど奥の深いものは無い。詳しくやれば分厚い教科書が出来上がる程だ。…しかし、うわべだけやればそうでもないからな。その辺りが入門編と位置付けられている理由だ。………そこの、赤毛のお前だ。話が長いからと言って露骨に退屈そうな顔をしない。表情が顔に出やすい奴はあまり出世しないという。以後、気を付けなさい。他の者もだ!授業中は眠くなるかもしれない。確かに私も学生時代は尽きる事の無い睡魔に襲われ続けてきた。しかし当時は眠気覚ましに使えるような便利な魔法は無くてな。気合で耐えていたよ。…まぁ、かといって私はそんな苦行を君たちに強いるつもりは無い。眠ければ遠慮なく寝るといい。…だが、最低限“私の”モチベーションを奪わないように、机の上に寝そべらない事。寝そべらない?…まぁ、言いたいことは分かるだろう。それと、万が一筆記し忘れた点は周囲の者を頼って写させてもらう事。そして、協力を要請されたら嫌な顔をせずに進んで協力する事。

…こう言う事でな?お前たちは出来るだけきれいにノートを書こうと心掛け、ノートの記入漏れは少なくなり、その結果お前たちの評定が上がるわけだ。感謝しろ。

では、さっそく本題に入る。質問があるなら挙手を。私語は特に制限しないが、あまりにうるさいと追い出す。可能な限り集中するように。




では、まずは属性の種類について説明しよう。属性には…知っての通り様々な種類が存在する。が、毎年数が更新されているように、未発見の属性が見つかる事もあり、正確な数は不明だ。代表的なのは、火、水、雷、土、光、闇、風。ついで多いのが木や天、毒、聖、重力、無属性。変わり種だと時、核熱、鉄、夜、狂がある。…はい、そこの緑髪。…君は土属性かな?違う…じゃあ、木属性だ。…魔力の属性は体毛に出てくる事が多い。…ああ、質問をどうぞ。ふむ、なるほど。確かに難しい。属性の違いについてだが、名前の通り属性が違う。火なら火が出て、熱を伴う。水なら水が出て、氷を出せたりする。…え、違う?…ああ、区別の話か。確かに、闇属性と夜属性とか、イメージが被っていて覚えにくい上に区別もしにくい。いつだったか、私は夜属性の魔法を見たんだが…ぶっちゃけ闇属性と変わらん。では何故存在するのか?それは、本来は二重属性として扱われるべきだった魔力回路が混合して、別の新たな属性を生み出してしまう事があるからだ。先ほど述べた夜属性は、闇属性と天属性の二重属性が交じり合っていた。このように、稀な属性の魔力は元を辿れば二つの属性であった例が多々ある。ここで勘違いしてはいけないのが、稀な属性の全てが二重属性ではないという事だ。闇属性と天属性の二重属性だからと言って、夜属性の魔法が使える訳じゃあない。むしろ使えない事が多い。…何というか、アレだ。二重属性=稀少属性ではないんだ。

そもそも魔力の属性は、両親の属性からおおむね決まる。例えば、火属性の母と水属性の父から生まれた子供の八割は火属性か水属性だ。残った二割は火と水の二重属性か火と水混合の…霧属性。このへんは遺伝子学が混ざってくるからややこしいんだが、教科書の33ページには今現在見つかっている属性の一覧と、両親の属性から生まれる子の属性の一覧表が載っているから、暇つぶしがてらに見ているといい。こういうのは図鑑みたいで面白いだろう。え、面白くない?…時代の違いか。

ああ、そこの。…あー、そうだな。ややこしいが、無属性は無属性という属性だ。ヒトに通う魔力にはおおむね属性…まぁ、色だな。色がついている事が多いんだが、無色の魔力が流れる者がいる。本来ならば無色の魔力が本来の魔力の姿なのだが、ヒトからの目線で言えば無色の方が異端であるから、無属性とカテゴリしているに過ぎない。ちなみに、無属性の魔法の方が破壊力は高いぞ。耐性を持っているマモノも少ないから、無属性持ちは大概良い戦士になる。




魔力の属性について誤解を持たれることが多いのが、属性間の優劣だ。

ぶっちゃけ優劣なんて無い。ゲームじゃないんだから殆ど無い。

確かに、火の魔法は水の魔法で無効化できる。しかし、水の魔法の一部とされる氷結魔法となると、簡単に火属性魔法で無害化できる。雷が土に弱いという事は無いし、聖属性は闇属性に強い訳でもない。強いて言うなら光属性と闇属性は互いに効力を消し合う性質を持っているから、優劣と言えば優劣なんだろうが…おおむね強弱は無い。それと、自分が水属性だからといって、雷属性の魔法が使えないわけじゃない。自分の属性と行使する魔法の属性が違うからと言って、その魔法が使えないなんて事はない。確かに少々苦労する事になるだろうが、おおむね普通の魔法と同様に習得できる。しかし、破壊力やらの威力の観点から言えば、術者の属性と行使する魔法の属性が一致した方が優れている。

ん?例か?…病院、一度は行ったことがあるだろう?医師や看護師の魔力属性は光や土である事が多い。治癒魔法は光属性と土属性のものしか無いからな。必ずしも医師看護士が光属性土属性、という訳ではないが…最近は職業選択の自由があるからな。だが、現場の声は土属性や光属性を求める声が多い。

また、魔法は職業にも生かされている。マモノ狩りや病院での魔法の有名さでかすみ気味だが、例えば―――




おっと、無駄話が過ぎたか。まぁ、今日の授業はオリエンテーションみたいなものだ。ざっくり魔法について知ってもらえたのならばそれで十分。では最後に、何か質問がある者。

はい、そこの。……ふむ、確かに、私も言葉を濁していたか。

では、話そう。狂属性についてだ。

狂属性はあまり研究が進んでいない。そもそも狂の属性を持つ者は総じて……致命的なまでに何かが欠けているからだ。知性、理性、常識、忍耐力、自制心、恐怖心…教師にあるまじき言葉で言うなら、狂属性の名の通り狂っている者が狂の属性を持つ。なおかつ、先天的に狂属性を持つ者は今のところ確認されていない。研究が進まない原因の一つだな。

狂属性は厄介だ。狂属性の魔法の殆どが、ヒトの精神に関わる魔法だ。術者は他人の感情を乱して狂気に堕とそうとする。相手のトラウマを掘り起こしたり、突拍子も無い幻覚を見せたり、非常に悪質な者ばかりだ。また、高度な術者ともなれば狂属性の魔力を凝縮させて水魔法のように扱ったり、凝固させて氷結魔法のように飛ばしたり、魔力を収束させてレーザーのように放ったり、狂属性でありながら他の属性魔術の形態をとる事が多い。…対人に特化した魔法といえる。…狂属性の魔法…狂気魔法を使う術者は、聖人協会への出頭を命じられる。そして、基本的に魔力を取り上げられる。…そいつらは狂っているから、魔法なんて言う飛び道具を与えておくメリットが無いんだな。だが、…未だ現れていないとはいえ、理性を保ったままの狂気魔術師なんて者が存在したら…聖人協会はどんな判断を下すんだろうな?

…おっと、時間だ。では、今日の授業はここまで。はじめの方にも行ったが、ノートも評価の対象になるから、写してないならしっかり写しておくように。落書きがあるのなら消しておくこと。…じゃあ、今日一日お疲れさまでした。

また明日。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ