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第4話


政府からの放送があった後、周囲は混乱というよりも悲しみや諦めのような雰囲気が漂っていた。


あの後、壊れた建物の撤去や遺体の埋葬など、しばらくは忙しい日々が続いていた。葬式が大規模に行われ多くの人の家族や友人、それ以外にも多くの人が参加した。

だがしかし、悲しみにくれる時間はあまりない。


この区画にはあれ以上はなかったのだが、あちこちの区画で攻めたり攻められたりが始まった。

おそらく、今までもどこの国でも疑心暗鬼になっていたのだろう。それが今回のことで起爆スイッチになった。

やられる前にやれ。仕方のないことかもしれないが、お互いを信じられなくなり攻め合いが今この時においても行われている。多くの犠牲者が出ていることだろう。


外のことだけでなく、この区画でもいつどこから攻めてくるのかと安心して過ごすことが出来ない。

幸い、学校には直接的には被害が無かったため、数日後には授業が再開することになった。それが今日だ。






「おはよう、咲良さん」

「おはようございます、溯摩君」


咲良は相変わらずだったが、他の皆の多くはそうではなかったようだ。当たり前だが、学校内には直接的な被害はなかったものの、身近な誰かはそうではないのだから。

一見普段通りに見えるが、皆がなんとなく暗い雰囲気なのは分かった。


「なあ、咲良。これからのことなんだが___」

「私は何もしません」

「え?」

「この件に関しまして、私が何かを行うことはありません。するつもりもございません」

「それは無責任じゃないのか」


本を読みながら当たり前のように放たれた言葉に、正直溯摩はあり得ないと思った。


「何と言われましても、それは今のところ変わることはありません」


誰かを助ける事ができるなら、それはすべきではないのか。命は大切だ。


「まあまあ、咲良も悪気はないんだよ」

「由佳!!」


突然突然後ろから現れたのは、由佳。正直、もう学校には来ないと思っていたから驚いた。


「悪気はないって……」

「まあ、こういう物だとでも思って。だからこそ私もいるんだし」

「どういうことだよ」

「だから、咲良を守るために私がいるんだってば。ほら、これで何があっても安心」

「安心じゃなくて、自分の身は自分で守るとかじゃないのか?」

「まあ、そこにはいろいろと理由があるんだよ」




政府の発表の内容によると、現在シングル、ダブルで区画の周りを囲み敵の侵入に警戒しているとのこと。だがしかし、現実的に考えればそれで安心出来ないのは分かりきったことだろう。

シングル、ダブルの人数は、合計で9人。そこに由佳がここにいることを考えれば、敵の侵入に警戒しているのはたったの8人という事になる。

たかだか8人ですべてを守りきるのは無理な話だろう。


どこの国でもそうだ。だからこそ、攻められる前に攻めようと焦っている。


だからこそ一番強いはずの咲良も外側に行くのは危険だとしても、何か出来ることがあるのではと思ったのだが、そうではないと咲良だけでなく由佳まで言う。

溯摩には、いや誰でも理解は出来なかっただろう。


シングルからトリプルまでの強さの目安


シングル3人=ダブル1人

ダブル3人=トリプル1人


です。

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