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プロローグ
ここはこの世やあの世、すべてを含めた空間で最も美しい場所。穢れも一切なく一点の曇りもない、そんな場所だった。
『これで120か。随分と増えたな』
そう言った男の口調は、心底どうでもいいというようないい加減な感じだった。
その独り言に答える者はおらず、男もそれを期待してはいない。
『そろそろ始め時か?ああ、いつでも同じだったか』
男はある一つの事を起こす。
『これで、後は17年後か』
17年前、それは何の前触れもなく突然の事だった。
どこからともかく現れた突然の壁。その壁は高さおよそ100メートルに及び、世界は12に分けられた。
電話によりお互いの状況は分かるものの、行き来が出来ない状態になってしまった。どういうわけか壁の上を通ろうとしても通る事ができなかった。この壁の事を調べようとしたが、結局どこの国も今まで17年間解明することはかなわなかった。
それから17年後。壁の事は一切分からないが、通れない以外は問題なく、17年も経てば人々には当たり前の事のように捉えられていた。
当時の混乱の余所に、平和な日々が続いていた。