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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
最終章 ミラの進む道
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撲滅の一手

今回はタカノ視点の話です。

 夏が終わり、秋が訪れた。

 水面下で細々と進めてきたワレナクシの密売人に関する捜査がついに実る時が来ようとした。


 「なるほど。ここで間違いないんだな?」

 「ああ、複数の売人がここに入っていったのを確かに見たからな」


 密売人が拠点にしていると思わしき場所をアルが見つけ出したのだ。

 これは大きな成果だ。


 「で、中の様子は?」

 「単独の偵察でそこまで見るわけないだろ。向こうの縄張りに突っ込むバカがどこにいる」


 ごもっともだ。

 わざわざ危険が及ぶ場所に一人で行くわけないよな。

 

 「これより突入作戦に入る。各自武装を行い次第出動だ」


 グレイさんの指揮の元、俺たちは密売人の拠点へ突入をかけることになった。

 久々の大規模な武装出動にいつにも増して緊張が走る。


 「ネコ、お前が先陣を切って中に行け。アレン含め九名をそこへ同伴させる」

 「任せろ!」


 アルが先遣隊として内部に突入することになった。

 万一の事態に備えて腕っぷしの強い輩を同伴させて十名での突入だ。


 「残りは入口で待機、有事の際の増援として備えろ」

 「増援の合図はどうする」


 グレイさんからの指示にアレンが意見を具申した。

 そうだ、増援が必要ならそれを示すサインがあった方がいい。


 「合図か……なにか案のある奴はいるか?」


 どうやらグレイさんは具体的には考えていなかったようだ。


 「中の様子が見えない以上は音で知らせた方が効果的と思われます。いざとなれば音を利用した威嚇にも使えます」


 他の機動隊員の一人が提案した。

 音か、確かにそれならわかりやすいな。

 でも何かいいものがあっただろうか。


 「そういえばこの前ウチの弟たちが地面にぶつけるとデカい音のなる玩具で遊んでたな……なんていう名前だったか……」

 

 あー、そういうのあったな。

 爆竹だったか癇癪玉だったか。

 そんな名前じゃないだろうけどこっちの世界にもあったのか。


 「それって爆ぜ玉か?」

 「あーそうそうそれだ!それ使えばいいんじゃねえの?」


 機動隊の若手隊員が食いつくと、アルは思い出したようにそれに同調した。

 どうやらこっちの世界では爆ぜ玉という名前らしい。


 「爆ぜ玉か、名案だな。それなら俺も使い方を知っている」


 どうやらグレイさんはそれのことを知っているようだ。

 となればそれで決まりだ。


 

 「いいか、爆ぜ玉は少し力を加えて地面にぶつければ爆ぜて大きな音が鳴る。使い切りだが効果は大きい」


 グレイさんが実演して爆ぜ玉を一つ地面に叩きつけるとそれは炸裂して見事に大きな音を立てた。

 なるほど、これなら多少離れていてもばっちり聞こえる。


 「全員に二つずつ支給する。一つは連絡用、もう一つは威嚇用だ。使用は各自判断に任せる」


 こうして俺たち全員に二つの爆ぜ玉が支給された。

 これでいよいよ出撃準備は完了だ。


 

 「出動!!」


 グレイさんより、機動隊の出動命令が発せられた。

 行くぞ、これで密売にケリをつけてやる。

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