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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第4章 おじさんと魔法戦争
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オズ、怒涛の攻勢

今回も三人称視点の話です

 夏の上半期、オズ派とエルリック派はついに正面から激突することとなった。


 攻め入るオズ派のゴーレムは総数数十、それを陣地で迎え撃つエルリック派のゴーレムの総数は数百。

 兵の量ではエルリック派が圧倒的に勝っている。


 「数で勝るこちらに利がある!オズ派を返り討ちにせよ!」


 エルリック派の指揮官が発破をかけ、魔法使いたちを奮い立たせた。

 激励を受け、士気を高めた魔法使いたちは味方のゴーレム軍団と共にオズ派のゴーレムたちに挑みかかった。

 ある者は焼き払い、ある者は砕き、ある者はゴーレムを強化して次々と撃破していく。

 進攻を仕掛けたオズ派の数十のゴーレムと魔法使いたちは数の差を補わんばかりの奮戦を見せるものの物量差を覆すには及ばない。


 「撤退せよ!撤退せよ!」


 置かれた状況を不利と見たオズ派の魔法使いの司令塔が撤退の指示を出した。

 指示を受け、魔法使いたちがゴーレムを残して次々とエルリック派に対して背を見せて撤退を始める。


 「オズ派の魔法使いたちがゴーレムを捨てて逃走を開始しました。追いますか?」


 エルリック派の魔法使いの一人が指揮官へと報告した。


 「追え。奴らを一人残さずここで片付けるのだ!」

 「奴らを逃がすな!追跡して殲滅せよ!」


 追撃の命令が下り、エルリック派のゴーレムたちがオズ派の魔法使いを追って移動を始めた。

 数メートルの巨体を誇る数百体のゴーレムたちが一斉に前進し、砂塵と地鳴りを引き起こす。


 一方その頃、戦地から離れた場所で様子を観察していたクラリスは地鳴りを耳にして軽く拳を握った。


 「クラリスお嬢様。エルリック派のゴーレムたちが撤退したこちらの魔法使いを追って移動を始めました」


 クラリスに同行していたバートが状況の詳細を報告した。

 分かっているというようにクラリスは小さく頷いた。


 「ここまではこちらの作戦通りね」

 「では、次の行動に移行いたしますか?」

 「まだ早いわ。あっちをもう少し動かすまで待ちなさい」


 オズ派の魔法使いたちが逃げ、それをエルリック派の魔法使いとゴーレムたちが追う。

 追撃開始から数十分、気が付けばエルリック派の兵たちは自らの陣地を完全に離れていた。


 「エルリック派の魔法使いたちが陣地を離れたのを確認いたしました」

 「今よ!別動隊を二手に分けて左右から挟み撃ちに、本隊はさらに間をおいてあっちの陣地に向かわせなさい!」


 すべてはクラリスの作戦通り。

 少ない戦力を追わせて相手をこちらの有利な場所まで誘き出し、相手の防御が手薄になったところへ奇襲をかけるのが狙いだ。


 時を同じくして、レイジはオズ派の動向に違和感を感じ始めていた。

 冒険者に傭兵、戦闘において高い実力を持つ者を多数抱えるオズ派にしてはあまりにも手ごたえが無さすぎるのだ。

 そしてこちらへ攻め込んできた魔法使いたちの中にあった女の影、あれはどう考えてもクラリスの物ではない。


 「クラリスはいったい何を企んでいる……?」


 レイジが疑り始めたときには時すでに遅し。

 オズ派は次なる行動へと踏み切り始めていた。


 「かかれえええッ!!」

 「うおおおおおおおおお!!」


 数百はあろう数で編成されたオズ派の別動隊ふたつがエルリック派の軍勢を挟み撃ちにし、反撃に転じ始めた。

 自らの陣地を離れて追跡をしていたエルリック派の魔法使いたちは一気に大混乱に陥り、兵量、実力どちらも上回るオズ派の魔法使いとゴーレムたちに次々と駆逐されていった。


 「レイジ様!オズ派の挟み撃ちを受けて追跡に出たこちらの戦力は全滅、さらにオズ派の別部隊がこちらの陣地へ向けてさらなる進攻を開始しています!」

 「おのれクラリスめ……」


  奇襲の報せにレイジは焦りと苛立ちを隠せなかった。

 ただでさえ各々の戦闘能力がこちらを上回っているオズ派の魔法使いたちが手薄になったこちらの陣地に攻め込もうとしている。

 こうなってしまうとこちらも自らが出ざるを得ない。


 「俺も出る!皆も続け!」


 レイジは礼装を纏った。

 杖を手にし、仲間たちを呼びよせる。


 「エルリック派の大将のお出ましだ!」

 「その首を討ち取れェ!」


 ついに姿を現したレイジを見たオズ派の魔法使いたちの士気がますます高まっていく。

 レイジは冷徹な視線を向けると、静かに杖を構えた。


 その夜、オズ派とエルリック派の両陣営は多大な犠牲を払いながらも陣地を守り抜き、痛み分けに終わることとなった。


 「まさかレイジが直接出てくるなんてね……」

 「まさかクラリスが出てこないとは……」


 思惑が外れたクラリスとレイジは互いにそのことを嘆いていた。

 両者共に戦力の大半を失った今、雌雄を決するのは大将同士の一騎打ちのみだ。


 そして、それがこの戦争の中で最も激しい戦いになることを誰もが知る由もない……




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