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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第14章 二人娘の成長
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魔法の発現

今回はタカノ視点の話です。

 「なんじゃこりゃ……」


 仕事帰り、俺は我が家の中を見て思わず絶句した。

 まるで嵐にでも吹かれたかのようにリビングが荒れている。


 「あー、おかえり……」

 

 声のする方を見るとオズがソファの上で干物になっていた。

 ひどく疲れているようだ。

 

 「何かあったのか?」

 「あー、それがね……」


 オズは干物状態のまま事の経緯を語り始めた。



 「アリスが魔法を使った!?」

 「信じられないんだけど、確かにあの子が使ったの」


 魔法使いの子だから魔法を使えるのは当然なんだが、まさかもう使うようになるとは。

 

 「いくらなんでも早すぎないか?」

 「アタシもそう思ったんだけどねぇ。この目で見ちゃったんだから信じるしかないのよね……」


 マジかよ。


 「で、アリスは今どうしてるんだ?」

 「沈黙かけさせて大人しくさせてるわ。そうでもしないといつ魔法を使われるかわからないから」


 そうするしかないとはいえ、自分の子供に沈黙をかけるとは事態は深刻だな。


 「事情はなんとなく分かった。とりあえず一緒に散らかった部屋を片付けるぞ」


 俺は普段着に着替え、散らかった部屋の片づけを始めた。

 散らばるような紙とかが少なくて本当によかった。

 埃の清掃と配置のズレた家具を修正する程度だ。


 「ただいまー!」


 片づけをしている最中、外出していたらしいミラが帰ってきた。

 いつもと違う我が家の様子にすぐに気が付いたようでこちらへと歩み寄ってくる。


 「……ケンカしたの?」

 「そんなわけねえだろ」


 オズとガチで喧嘩したらこんなもんじゃすまない。

 最悪、家一つ消し炭になって終わりだ。


 「じゃあ何があったの?」

 「アリスが魔法を使ったのよ。で、面白半分にやられてこの通り」

 「というわけだ。片付けるの手伝ってくれ」


 そんなこんなでミラにも部屋の片づけを手伝ってもらい、十分程度で部屋の装いはほぼ元通りになった。



 その日の夕食時、俺はアリスの魔法対策について考えることにした。

 まさか無自覚に魔法を使われるとは思いもしなかっただけに殊更悩まされる。


 「はい、あーんして」

 「あー」


 そんな俺たちの心労はどこ吹く風、アリスはオズに離乳食を食べさせてもらっている。

 元気に育っているのはいいことなんだがどうにも有効な対策が思いつかない。


 「なあミラ。確かミラって三歳ぐらいのときに魔法を使えるようになったんだよな」

 「うん、そうだよ」

 「オズはどうだったんだ?」

 「んー?アタシもだいたいミラと同じぐらいの時期ね」


 なるほど、平均的には三歳程度から魔法が扱えるようになるわけか。

 だがアリスはまだ一歳にも満たない幼児だ。

 二人と比べてあまりにも早すぎる。


 「俺が思いついた対策は主に二つ。魔法を不用意に使わせないように俺たちがリードしていくか、そもそも魔法そのものを使えないように拘束していくかのどちらかだ」

 

 それしか思いつかない。

 前者はアリスへのストレスは少ないが、俺たちへの負担が尋常ではない。

 かといって後者は俺たちへの負担が少ないが逆にアリスへのストレスが莫大になる。

 できるだけ子供へのストレスは減らしたい、だが俺たちが今以上の負担に耐えられる確証はない。


 「アタシに考えがあるわ」

 「と言うと?」

 「魔法を使ったという記憶をアリスの中から消すの。そうすれば使い方を思い出すまでしばらくは悩まされずに済むわ」

 

 記憶の消去か。

 それならどちらへの負担も少なく済みそうだ。

 

 「いつまでそれを続けるんだ?」

 「アリスが自制心を持てるようになるまで。長く見積もって二、三年ぐらいかしら」


 随分と長期的にものを見てるな。

 でも物は試しだ、一度やってみよう。


 「アリス、お母さんの方を見てー」


 オズが言葉でアリスの視線を誘導する。

 俺とミラはその様子を固唾を飲んで見守る。


 「そうそう、もうちょっとそのままねー。はい、よーし」


 一瞬の早業だった。

 まさか今の間にアリスの記憶を消したんだろうか。


 「これで今日一日の記憶は消されたわ。こっから先はまた後々考えていきましょう」


 マジで記憶消したのか。

 というかそういう魔法もあったんだな。


 

 俺たちの子が魔法使いとして覚醒の兆しを見せている。

 これからどう向き合っていくべきか、また真剣に考えて行かなければならないな。

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