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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第14章 二人娘の成長
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デートへ行く

今回は三人称視点の話です。

 とある日のメルクーア魔法学院の放課後。

 ミラは二人の友人に選択を迫られていた。


 「ミラちゃん、今度のお休みに一緒に服を見に行こう!」


 そう迫るのはユキノ。

 中等部に入ってからできた友人だ。

 彼女には心を読み取る能力がある。

 今のミラにとってファッションは興味を惹かれる事象、つまり最も乗せやすい誘いだ。


 「今度のお休みに勉強を教えてほしいんだけど……ダメかな?」


 一方でそう誘うのはイズナ。

 ミラが学院に入学して最初にできた友人だ。

 勉強もまた、ミラにとっては大好きなことである。


 「うー……」

 「むむ……」


 ユキノとイズナは顔を合わせて睨みあう。

 二人は先日の見舞いで顔を合わせてからというもの、ミラを巡っては小競り合いを繰り返している。

 普段は内気な二人もこの時ばかりはかなり前衛的になる。


 「「ミラちゃんはどっちにしたい?」」

 「どっちもじゃダメ?」


 ミラは何の悪気もなく二人に聞き返した。

 彼女にとって二つの選択に優劣はない。

 どちらもやりたくて仕方がないのだ。


 ミラの返答を聞いた二人は申し訳なさそうに顔を見合わせた。

 お互いに不本意だが彼女の望みとあらば断わることはできない。

 

 「じゃあ今度の休みは午前中に新しい服を見に行って、午後からは図書館で一緒に勉強ね。これで決定!」


 ミラは自分の思いつくままに即興でプランをまとめ上げた。

 こうなった彼女はちょっとやそっとでは止まらない。

 


 そして来る休日。

 ユキノとイズナな設定された待ち合わせ場所でミラの到着を待っていた。

 しかし予定の時刻が近づいてもミラが訪れる気配はない。

 予定された時刻は午前十時、現在は九時五十五分だ。

 

 「ミラちゃん来ないね」

 「あの子、休みの日は寝坊しがちだからね」


 そう、ミラは朝起きるのがとても苦手なのである。

 学校のある日はタカノが起こしてくれるのだが休日はその限りではない。


 「もしかしてまだ寝てるのかな?」

 「じゃあ一回ミラちゃんの家に行ってみる?」

 「そうしよう」


 普段はいがみがちなこの二人、妙に息ぴったりである。

 二人は一度ミラの家に赴くことにした。


 「すみませーん」


 家の玄関をノックし、ユキノは玄関の向こうへと呼びかけた。

 その十数秒後、誰かが玄関へと近づいてくる。


 「はいはい……あー、おはよう」


 玄関を開けたのはオズ家の当主クラリスだった。

 ここに住んでいるのは周知の事実だがそれでも彼女は魔法使いたちにとっての大権威。

 二人は思わず肩をすくめた。


 「あの……ミラちゃんいますか?」

 

 ユキノより先にイズナが要件を切り出した。


 「確認してみるわね」


 クラリスは二階の方へと目をやると、何かを思い立ったように魔法陣を展開してその中に腕を突っ込んだ。


 「いたわよ。この子になにか用だった?」


 クラリスのあまりに豪快な手法にユキノとイズナは目を丸くした。

 召喚魔法によってミラを直接玄関前へまで引っ張り出したのだ。

 そんなミラはクラリスにつまみ上げられたまま、寝間着姿で涎を垂らしながら睡眠を貪っている。

 普段は綺麗に整えられた長い銀髪が寝ぐせでボサボサに跳ねている。


 「今日一緒にお出かけする約束してたんですけど」

 「そうだったの!?ごめんすぐに起こすからちょっと待ってなさい!」


 約束のことを知ったクラリスは血相を変えると玄関を閉めてドタドタと家の奥へと向かっていった。

 彼女が中で何をしているのかは想像に難くない。


 そして待つことおよそ十分。


 「ふわぁ……おはよう……」


 いつも通りの装いに変わったミラが寝ぼけ眼を擦りながら玄関から現れた。

 普段の快活さなど微塵も感じられないほどのダウナー状態だ。


 『どれだけ朝に弱いんだ』

 二人はそう思わずにはいられなかった。


 「おはようミラちゃん」

 「じゃあ、一緒に出掛けよう」


 猫背でとぼとぼ歩くミラと歩幅を合わせ、ユキノとイズナは再びギルドへと足を進めた。

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