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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第14章 二人娘の成長
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大人への興味

今回はタカノ視点の話です。

 とある休日の昼頃のことだった。

 昼寝でもしようとソファの上で横になってまどろんでいると、ミラが俺の顔を覗き込んできた。

 この頃はそういうことがなかったからなんだが懐かしい気分だ。

 

 「どうしたんだ?」

 「ねえトモユキ……その……えっと……」


 ミラにしては珍しく物言いがはっきりしない。

 なにか言い出しづらいことでもあったのだろうか。


 「言いづらいことなら無理に言わなくてもいいんだぞ」

 「そうじゃなくてね、その……」


 一瞬言葉を溜めたかと思えば、ミラの口から衝撃の一言が飛び出した。


 「お姉ちゃんって、どんなパンツを履いてるの?」


 ついさっきまで俺にまとわりついていた少しばかりの眠気が一瞬で明後日の方向へ吹き飛んでいった。

 いったいどういう風の吹き回しだ。


 「なんで俺に聞くんだ?」


 そもそもの話だ。

 そういうことはオズに直接聞けばいいと思う。


 「だって今お姉ちゃんいないじゃん」


 そうだった。

 オズはアリスを連れてどこかへ出かけている。

 聞こうにも聞けないわけだ。


 「それに、トモユキはお姉ちゃんの夫だから何か知ってるかなーって」


 なるほど。

 そう考えると聞く相手としては間違ってはいない気はする。


 「残念だが俺はオズのパンツについては何も知らん」


 夫婦といえども踏み込まないことというものもいくつかある。

 下着の嗜好なんかもそうだ。

 オズがどんな下着をつけていようと俺が口を出すことじゃないし、知っていなきゃいけないわけでもない。


 「知りたきゃ洗濯物かクローゼットの中でも見てみればどうだ?」

 「そっか。それもそうだね」


 そういうとミラはいきなり外へ飛び出していった。

 恐らく干してある洗濯物を確認しに行ったのだろう。


 アレだ、一度興味を持ったら止まらないミラの癖が出ている。

 しかしなんでそんなことに興味を持ったんだ。

 まさかついにあの子も色気づいたか!?


 俺も外に出て遠目にミラの行動を見守ることにした。

 あの様子だとなんだか暴走しそうだし。


 「お姉ちゃんのパンツ……」


 干されていたオズのパンツを眺めながらミラがなにやらぶつぶつ呟いている。

 本当に何があったんだ。


 ぶつぶつ呟いていたミラはオズのパンツを手に取るとそれを自分の腰回りに当て始めた。

 まさかアレを履くつもりじゃないだろうな。


 「うーん……ちょっと大きい……」


 そりゃそうだ。

 オズは背が低いとはいえ、まだミラよりは身体が大きい。


 「他にはないの?」


 ヤバい、これは確実に暴走してるやつだ。

 流石にこれは止めるべきか。


 「クローゼットにあるとは思うがやめた方がいいぞ。勝手に物色されたらオズも流石に怒るだろうし」

 「うーん……」


 ミラは不完全燃焼を起こしたように唸っている。

 オズに怒られない程度だとこれぐらいしか確かめる方法がないからな。


 「あとはオズと一緒に風呂に入ったときに確かめてみるとかどうだ?」


 他にはこれぐらいしか思いつかない。

 ついでにミラが積極的に風呂に行ってくれれば一石二鳥だ。


 「わかった。そうしてみるね」


 俺はここで一つ学習した。

 ミラは好奇心を満たすためなら苦手なことも一時的に克服できる。

 これを利用すれば風呂に対するトラウマを払拭することもできるかもしれない。


 

 そしてその夜。

 

 「お姉ちゃん。今日は一緒にお風呂入ろ?」

 「えっ?ああ、いいわよ」


 夕飯時、ミラはオズに入浴の誘いを持ち掛けた。

 オズはあまりに突飛な発言に目が点になっている。


 「どういう風の吹き回し?」

 「さあな。何か気になることでもあるんじゃないか?」


 夕食後、耳打ちしてきたオズに対して俺は何も知らない風に装ってすっとぼけた。

 『オズのパンツに興味を持ってるから』とか動機が不純すぎて本人の前で言えるわけないんだよなぁ。


 「まあ。なにはともあれ、自分からお風呂に入ってくれるのはいいことよね」

 「そうだな」


 それについては同感だ。

 あまり待たせるとミラがしつこく催促してきそうだし、ちょっと早いけど風呂の準備をするか。

 

 そして来る午後八時。

 風呂場から温かい空気が流れてきた。

 よし、そろそろ呼んでもいい頃か。


 「もうお風呂入れるぞー!」

 「わかった!」


 ミラから元気のいい返事が戻ってきた。

 きっと数十分ずっとこの瞬間を待ちわびていたのだろう。


 「お姉ちゃん!早くお風呂行こ!」

 「はいはい。そんなに焦らないの」


 しきりに催促するミラを宥め、オズがアリスを抱き抱えながら階段を降りてくる。

 そして二人を連れ、脱衣所へと入っていった。


 どういう経緯でミラがあんなことに興味を持ったのだろう。

 俺は静かに近寄り、聞き耳を立てた。

 

 「ねえお姉ちゃん。ミラも大人になったらそういうパンツを履くのが普通になるの?」

 「えっ?んー、まあ、そうなるんじゃないかな」

 「じゃあいつかはミラもお姉ちゃんみたいにお尻や胸が大きくなる?」

 

 浴室から二人の会話が聞こえてくる。

 なるほど『大人の身体』に興味があるからミラはあんなことを口走ったのか。

 

 「どうだろう。成長の仕方って人によって違うから完全にアタシみたいになるかはわからないわ」


 当然のことだ。

 

 「でもね。近いうちに必ず身体が変わるわよ。アタシも今のミラぐらいの頃に成長期が来たし」

 「本当に?」

 「ええ」


 そろそろ話が生々しくなってきそうだ。

 俺はそっと引き上げ、その場を後にした。



 これでミラの好奇心が少しは満たされただろうか。

 少しばかり驚かされたがまだ微笑ましいもんだったな。

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