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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第2章 オズのホームステイ
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おじさん、家を改築する

 仕事の昼休み中、俺とアレンは飯屋で談合をしていた。


 「今家を改築してるって本当か?」

 「本当だとも。七万ルート飛んだけどな」


 現在、我が家は新たに居住空間を作るための増築工事をしている。

 費用はかなりかさんだが、それでも今月はまだ十四万ルートも残っている。

 未来への投資だと考えれば安いものだ。


 「しかしまた今の時期にずいぶんと思い切ったことをしたもんだな」

 「なんか関係あんのか?」

 「もうすぐ冬が来る。そうなるとめっきり冷え込むぞ」


 なるほど。


 「ってか季節変わるの早くね?」

 「ああ、お前は最近ここに越してきたから知らねえか。ここらへんは九十日おきに前触れもなく季節がガラッと変わるぞ」


 九十日というと俺の元いた世界とほぼ同じだな。

 こっちの方が若干早いぐらいか。


 そんなこんなで今日の仕事も終わりだ。


 「なあアレン、冬が来るまであとどれぐらいだ?」

 「二十日ぐらいだな。それがどうかしたのか?」


 マズい、このままだと改築が終わるまで数日は暖房なしに寒さに晒されるぞ。


 「いや、冬が来るまでに改築が終わるかなーって」

 「で、結果は?」

 「終わりそうにねえや」


 ざっと見積もっての計算だとそうなる。

 実際は大なり小なり誤差は出るだろうけれども。


 「そいつぁ大変だな。まあ凍えねえようにな」


 思ったより薄情な奴だ。

 もうちょっと心配ぐらいしてくれたっていいじゃねえか。


 そうか、もうすぐ冬が来るのか。

 明日は休みだし、冬に備えた準備をしよう。


 あれ?

 なんか家が一回りぐらい大きくなってるような気がするんだが。

 工事ってそんなに早く進むものなのか?


 「ただいまー」

 「おかえり」

 「ねえねえあれ見て!」


 ミラにそう言われて振り向いた先には……


 「おお!」


 なんと室内に階段ができていた。


 「もう上を見たりとかできるのか?」

 「できるわよー、見てみる?」

 「ぜひぜひ」


 オズ様に勧められるがままに階段を上がってみるとそこには昨日までなかったはずの二階が出来上がっていた。

 まだ部屋の仕切りはできていないが壁も床もしっかりと完成している。

 仕事めっちゃ早くない?


 「あー、まだ作ったばかりだから足は踏み入れないでね。固まるまで一晩は必要だってさ」


 「いやあ、それにしてもいい仕事してくれたな」

 「当たり前よ。アタシの息がかかった連中だし」


 おい、今なんて言った。

 アイツの息がかかってるって言ったよな。


 「何?アタシ変なこと言った?」

 「お前の息がかかってるってどういうことだ」

 「どういうことも何も言葉通りよ。今この家を改築してるのはアタシの部下たちなんだから」


 マジかよ。

 魔法使いはこういう建築土木の仕事はやらないと思ってたわ。


 「すごいでしょー!お姉ちゃんのお友達がやってくれてるんだよ!」


 魔法使いってすげえなあ。

 っていうか魔法使ってるならそりゃあ工事も早いわけだ。

 

 「よし、そろそろ飯にするか」

 「今日はアタシが作るわ」

 「マジで?ちゃんと食えるもの作れんの?」

 「バカにしないでくれる!?」


 オズ様がムキになって突っかかってくる。

 彼女はつい最近家事を覚えたばかりなのだ。

 料理の腕もまだまだ俺には及ばない。


 「とか言っても、この前のステーキみたいなものは酷かったよなぁ」

 「だからその話はもうしないでって!」


 なんだかんだ言ってオズ様をおちょくるのは楽しい。

 期待を裏切らないリアクションを見せてくれる。


 「ミラはお姉ちゃんの料理好きだよー。見た目が面白くて」

 「あー……褒められてるのか貶されてるのかわからないけどありがと」

 「えへへー」


 俺に対しては強気に出てくるオズ様もミラには強く当たれないらしい。

 やはり純粋無邪気な子供には誰もかなわない。


 そんなこんなで今日の夕飯はオズ様の手料理だ。

 この前は見事なまでに酷い出来だったが今回はどうだろうか。


 「なんだこれ?」

 「どう?今回は煮込み料理を作ってみたんだけど」


 それはわかるんだが……


 「すごいグロテスクな見た目してるな」

 「そういうこと言わないでくれる!?」

 「味見はしたのか?」

 「もちろん、食べられることは保障するわ」


 味の方も保障してほしかったかなー。

 まあいいや、とりあえず一口……


 「んぉ」


 普通だ、普通に食える。

 というか俺が作るのと大して変わらないような気さえする。

 この短期間でここまで仕上げてくるとは、実はアイツは相当な天才肌なのではなかろうか。


 「何?何か言いなさいよ」

 「普通に食えました」

 「ふふーん。だから言ったでしょ」


 なんでコイツは妙に勝ち誇っているのかが分からん。


 「ところで、話があるんだが」


 俺が切り出した一言でミラとオズ様はこちらへ視線を向けた。


 「あと二十日もしたら冬が来るそうだ」

 「えー、もうそんな時期だったんだ」

 「すっかり忘れてたわ」


 二人も意識していなかったらしい。

 ちょうどいい、これからのことを話し合おう。


 「そこでだ、冬に備えて何が必要かを知りたい」

 「まずは外出するときのために冬用の服が必要になるわね」

 「マフラーとか手袋もあるといいかも」


 そうだな、まずは冬用の服だな。

 他は何が必要になるだろうか。

 元いた世界で冬場に何を使っていたかを思い出せ……


 見落としていた。

 冬を生きる上でもっとも重要と思わしきものの存在を。


 「暖房……」


 そうだ、暖房器具だ。

 ストーブとかはこの世界にはないだろうか。


 「ダンボー?」

 「なにそれ」


 ミラとオズ様の二人は聞きなれない単語に首を傾げた。

 もしかして知らないのか。


 「アレだよアレ、部屋を暖かくできる奴」

 「あー!」


 ミラが大きな声を上げたがもしかして心当たりがあるのか?


 「わかった!暖炉のことでしょ!」


 暖炉とはまた中世的なものを。

 まあアレも暖房といえば暖房だな。

 どちらにせよそういうものを用意しなければ冬を快適に過ごすのは厳しくなりそうだ。


 「そういえばこの家って暖炉ないわよね」


 え?

 マジで!?


 「確かにそうだねー」


 ミラも部屋をキョロキョロと見回してそう言った。

 二人の言葉を確かめるため、俺は改めてこの家のつくりを見直してみた。

 確かに暖炉がない。


 「どうする?暖炉ぐらいなら改築ついでにアタシの部下にでも作らせるけど」


 なんだ、オズ派の魔法使いたちはそういう職人の集団なのか?

 人種は違うけどなんだか親近感が湧くな。

 

 よし、今日は夜も遅いしもう寝よう。

 今日も相変わらず床に毛布を敷いて俺は雑魚寝だ。


 オズ様が我が家に転がり込んできてからというもの、ベッドはオズ様とミラが使っていて俺が入る余地がなくなってしまっている。

 ベッドで睡眠できる日が待ち遠しい。


 

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