第34話 ミノタウルスと顔面偏差値2
魔王の怒りをかい瀕死の重傷を負ったアガレアだが、アガンの説得の甲斐あってミストが (しぶしぶ)治療を施し、一命を取り留めた。
「い、生きてる・・・俺、生きてる。」
「兄さんって本当に救いようが無いレベルで馬鹿だよね。」
「死にかけた兄にかける言葉じゃねえだろぉぉぉ!!!」
「・・・いや、漫才を見に来たんじゃねぇんだがな。」
「そうそう。おーい兄中毒者。」
「兄中毒者!?ちょっと待っ・・・」
「私のところに来たって事は、そういう事で良いんだよね?」
「スルー!?いやそうだけどさ!?」
「じゃ、さっさと実験しちゃうから動かないように。」
「会話しよう!?ってか今【実験】って言った!?」
ミストの発言に対し不満だらけのレプト。とは言え、日記の内容が内容であり、どっからどう見ても兄中毒者だとしか思えなかった故、ミストの発言もあながち間違いではないどころか寧ろ大正解である。
【実験】は・・・まあ、世の中深く考えない方が幸せな事もあるのだ。
そして今現在、ミストの頭の中はその【実験】の事でいっぱいだ。故にレプトの抗議は一切無視して
「【魔獣化】【反転】」
「うお!!?」
「え!?」
【魔獣化】。ゲーム時、あるイベントでランキング上位者のみが獲得できた特殊なスキルであり、効果は【5分間だけランクBの鳥モンスターに変化する】主に上位プレイヤーの移動手段として使われていたものである。
それに【反転】をかけると・・・【5分間だけランクBの鳥モンスターに変化する】は【5分間だけランクBの戦闘力を持った民に変化する】となり、ミノタウルス兄弟を人間へと変化させた。ちなみに【民】とは、人間やエルフ、ドワーフなど、そういったユグドラシルに住む者たちの総称である。
更に
「【解呪】【反転】」
【呪いを即座に解く】効果を持ったスキルを【反転】させ、【呪いの効果を永遠にする】ことにより人間の姿を固定させる。【魔獣化】は本来、呪いとしての効果があるスキルでは無い。が、ミストの【反転】によりその性質を呪いへと転じたが故に固定が可能だったのである。
「こんな・・・こんな、事が・・・。」
「うおおおお!!!人だ!人の顔だ!体だ!もう牛じゃねえ!!!」
異形へと堕とされていたミノタウルス兄弟の姿は、今や見る影も無い。兄弟は揃って涙を流し、互いに喜び合っている。アガンもその様子を軽く笑みを浮かべながら見ていた。が、
「あれ?片方人間じゃない・・・失敗?」
「成功してる!成功してるから、絶対に聞こえるように言うんじゃねぇぞ!?」
「え、でも、あれ・・・「いいから、空気読め!!」はい。」
雰囲気など何のその。後に「元からこの顔だあぁぁぁ!!!!!!!!!!」と、【!】割り増しの抗議を受けるのであった。
次回、吸血鬼登場・・・かもしれない。




