第32話 勇者パーティーとミノ兄弟
さて、お互い思わぬタイミングでばったり出くわした勇者パーティーの魔法少女とミノ兄弟だが・・・
「誰が魔法少女だこの筋肉ダルマ共ぉ!!!ミンチにしてやらぁ!!!」
「うおお!?」
「勇者様!?」
叫びと共に斬りかかる魔法少女・・・もとい、夏樹。自分の格好が問題である事は、今だけ忘れることにしたようだ。シャロンが止めようとするも無駄であった。
ちなみに、主だった他のメンバーは目下観劇中だ。と、そこでミストが
「ん?ミンチなら筋肉ダルマじゃなくてミートボ・・・ゴホン、ン、失礼だよ勇者。全身筋肉な筋肉ダルマなんじゃなくて、必要もなく筋肉なのはせいぜい頭の中だけだよ。きっと。たぶん。」
「オブラートに包み忘れて余計に酷いことになっていますよ!?」
そもそもの話、元々オブラートなんざ持ってないのがミストである。ミストは正直者なのだ。
「殺しちゃ駄目だからね?気をつけてよー?」
「お願いですから一緒に止めて下さい!!」
常識人は苦労する。
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夏樹とミノ兄が戯れている最中、アガンとミノ弟ことレプトは、一冊の日記を挟んで向かい合っている。互いに武器を抜ける状態ではあるが、戦闘にはなっていない。
「これ、お前の日記だろ?悪いがちょっとばかり中身読ませてもらったよ。」
「本当に【ちょっとばかり】なのか疑問ではあるけどね・・・で?それをどうするつもり?僕達に魔王の所へ案内しろ、とか命じるつもり?」
どうやら警戒心はレプトの方が上のようであった。確かに、この日記を使って脅しをかける事も可能であろう。だがしかし、アガンにそのつもりは無かった。これには兄弟への同情もあるが、最大の理由は「試したい事がある」と言ったミストにある。
「いや、そのつもりはねぇよ。俺の相棒がな、お前らで試したい魔法があるらしくてな・・・」
「成る程、実験動物って訳か。」
「あー、まぁ、そういう風にも言えるが・・・お前らにとっても悪い話じゃあねぇぞ?」
「は?」
怪訝な顔をするレプトに、アガンは決定的となる言葉を発する。
「戻りたくねぇか?・・・【人間】に。」
「!?」
こうして、真面目な話し合いが行われていった。
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戦闘継続中の夏樹とミノ兄ことアガレア。
兄弟で盾と槍を所持していることから、アガレアは防御、レプトが攻撃を、といった具合に戦うのが本来の戦闘スタイルなのであろう。故に、
「くっ!攻撃が通らない!」
「ははははは!!この程度かよぉ!勇者様ってのは!!!」
アガレアの防御に隙は無く、また夏樹の攻撃も息する間もないスピードと威力である。正しく膠着状態であった。・・・若干アガレアが調子に乗ってきた感がある。
ってか【!】が多すぎる。いちいち叫けばなければ気が済まないのだろうか。
「ふはははは!!!俺は防御力特化なんだよ!!【俺より硬いやつなんかこの世界にいねえ】!!!」
「・・・・・あ゛?」
「「へ?」」
アガレアが本格的に調子に乗ってきたその時である。不意に2人の戦闘を止めさせる程の威圧を含んだ声が響いた。視線を向けた先にいるのは、ユラリと顔を上げるミストの姿・・・心なしか周囲に瘴気が見える。
「私より・・・硬い・・・?」
「ミスト・・・ちゃん?」
「な、なな何だよお前は!?」
「フフフ、フフフフフ」
傍観していた筈が、突然に声を上げたミスト。顔は笑っているが目が笑っていない。瞳に宿るのは歓喜ではなく狂気だ。
人形屋敷で人形のような少女が紡ぐ笑い声・・・あまりにも不気味な展開に、男2人と女性陣の顔が青ざめる。
「ねぇ、本当に私より硬いの?盾なんか持ってるくせに?そんな紙クズが無いと防御できないくせに・・・?」
「え、や、あの・・・」
「試しにそれごと焼いてみようか?ねぇ牛さん?」
「ヒッ」
どうやら「世界一硬いのは俺だ!」発言が気に食わなかったらしい。ミスト、この世界に来て初めてのマジ切れである。
「表出ろや!死なない程度にミンチにしてやるよ!!!」
「それ死んでますからね!?」




