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第13話 戦闘スタイルと二つ名

「避けろミストぉ!」



再びアガンが叫んだ。しかし、ミストに動きは無い。そしてーーフォレストウルフの牙がその身に突き刺さった。



「っな!?」

「嘘だろ!」

「っ・・・」



周囲の冒険者達が思わず絶句する。つい前日出会ったばかりとはいえ、それなりにミストに親しみを覚えていたのであろう。怒りを瞳に宿したアガンが、フォレストウルフに斬りかかろうと動き出した。



「このクソウルフがぁ!!!」


「【聖光弾(ホーリー)】」

「は?」



ドパンッ


フォレストウルフの頭が消滅した。

アガンの動きが止まった。



「・・・は?」

「え?」

「嘘だろ・・・」


「何で生きて、ってか何で無傷なわけ?」



そこには、傷なんて一切ないミストがいた。



ここで改めてミストのステータスを一部確認してみよう。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ミスト(人間)


ジョブ:賢者 Lv174


物理攻撃力:12000

魔法攻撃力:1880000

物理防御力:2790000

魔法防御力:3560000

_______________


そしてこの辺のフォレストウルフ一般的なのステータスがこれである。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

フォレストウルフ


Lv25


物理攻撃力:7500

魔法攻撃力:150

物理防御力:3700

魔法防御力:2300

_______________


ただでさえ高かったステータスが、【魔王】の称号のせいでとんでも無い事になっている。フォレストウルフ程度の攻撃力では傷なんてつけようが無いのだ・・・つーか誰が倒せるんだこんな魔王(ばけもの)。

あまりの出来事に、冒険者達どころかフォレストウルフまでもが固まっている。と、アガンがある事に気づいた。


「ミストお前・・・わざと受けたな?」

「そうだけど?」

「わざとぉ!?」


そう。考えてみれば、上位プレイヤーであった筈のミストがフォレストウルフ程度の攻撃を避けれないはずが無いのだ、普通は。アガンからしてみれば、ランクC以上の実力があるであろうに避けれないはずが無い、と言ったところか。

だかしかし、ミストー霧屋(きりや)ーの動体視力はとんでもなく悪かった。それはもう回避行動なんて殆ど成功しないレベルで。反射で避けるにしても、そこに至るまでに時間がかかるし、限界もある。それなら一体どうしたらよいのか・・・簡単な話だ。避けられないのならば、避けなければいい。

一撃死さえしなければ瞬時にほぼ全快可能な回復力と、大抵の攻撃では傷一つ付かない防御力を生かした【被弾前提の特攻】。これがミストの戦闘スタイルである。

そうして付いた二つ名が【ネメアの獅子】。ギリシャ神話でかのヘラクレスが戦った、強靭な生命力と防御力を持つ魔獣。ユグドラシルにおいての戦闘力こそ上の下でしかなかったが、防御力だけで言えば間違いなくトップクラスのプレイヤーであった。



「・・・・」

「アガン?」

「・・・・・」

「おーい?」

「・・・はぁ。詳しい事は後で聞く。お前ら!惚けてないで今はこいつらの殲滅からだ!」

「お、おう!」

「あははは、もう訳わかんない。」


「飽きたからこのウルフ全部殺すよ。」

「へ?」


「【聖光豪雨(ホーリー・レイ)】」



つい今しがたフォレストウルフを1体、天へと還した光の球が雨のごとく降り注ぐ。40匹ほど残っていたウルフが一瞬にして殲滅された。



「・・・できるんなら最初からやれ。」

「ゴメンナサイ」





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