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Broken Time  作者: うぃざーど。
第3章 ボーイ・ミーツ・ガール
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3-24. 拠り所




「しかしまぁ、珍しいこともあったもんだな。フォルテから俺に話を振るなどと」



「必要なことですから」




明日、パトリックは往復で一週間かそれ以上かかるであろう道のりを行き、

遠くの町へ物資を調達しに行く。

彼は今までもポーラタウンでそのように必要なものを仕入れ、購入し、生活し続けてきた。

だが今ポーラタウンは存在しない、ゴーストタウンと化してしまった。

今まで通りの生活をすることは出来ない。

マホトラスという存在がウェールズ王国へ介入するようになってから、生活基盤が徐々に変わり始めている。

彼だけが感じていることではない。

その当事者としてマホトラスと身も心も戦い続けているアトリは、どう思っていることだろうか。

パトリックにとって必要な物を仕入れるということは、当然自身の生活に関わることで怠る訳にはいかないものだ。

そのために、たとえ一週間という長い時間をかけても、必要なものを揃えなければならない。



前夜。

夜も深まり自然の音が鳴る中で、突然フォルテがパトリックのもとを訪れた。

必要なことだと彼女は言い、パトリックに話を聞いてもらいたくて彼を尋ねた。

普段は自分の家に戻っている時間であり、彼女がこの時間帯にここにいることは珍しい。

彼女は相変わらずの無表情ぶりだが、その言動はやや表情には似合わない。

あらゆる物事が当然のごとく過ぎ、何に対しても興味を持たなさそうな表情をするフォルテ。

実際はそうでないことはパトリックも思っているが、そう思われそうな顔をしていることに変わりはない。

だが、そんな彼女も自ら話を聞いてほしい、とパトリックに言う。

だからこそ彼は、おかしなこともあったものだ、と思った。

一体何の話だろう、とフォルテを自室へと案内し、座らせる。




「で、話というのは」



「……、彼のことです。アトリの、こと」



「ほう?」





パトリックは、フォルテがアトリの名前を敬称もなしに呼んだという事実を聞き洩らさなかった。

特に彼女に聞く訳でも無いが、今までとはやや状況が異なる。

あの人、あの方、などという呼び方から、突然名前一つで呼ぶようになったのだから、違和感を覚えない訳が無い。

が、それもひとまず置いて、彼女の話を聞くことにする。





「最近の彼は、調子を取り戻しつつあります。鍛錬も、初日に比べれば慣れが出てきましたし、身体のキレもハッキリと見えるようになってきました」



「鈍らな状態なら、まともに剣が扱えるはずもないだろうからな」





その言葉は、二人がポーラタウンでマホトラスの兵士たちを撃退した意味を含めたもの。

フォルテが自ら人を殺める行為をする、その決断をするということに、パトリックも驚きはした。

だが、それでも「そのようなことをしても、不思議ではない」と思えてしまう。

彼女の表情や人となりがそうさせている、とも言えるが、理由はもっと別なところにある。

パトリックは、フォルテが投影という魔術行使が出来ることを既に知っている。

そのため、二人が戦う手段を共有する時には、まず彼女が剣を現実世界に精製するとことから始まる。

それくらいのことは、言われなくてもすぐに想像がついた。

彼女の話は続いていく。




「魔術の腕も、相当なものです。私たちが考えていた以上に、彼は強い。ただ適応力があり、応用が利くという程度の話ではありません」



「そんなにか?……俺は行使を見ていないから分からんが、んー……」




はじめてアトリを見つけた時のこと。

瀕死状態にあった彼に魔力石を使用して復活させた時のこと。

二人は目の前の少年が魔力持ちのどこかの兵士であることが分かっていた。

魔術師であるのなら、魔力の有無やその適性などを調べることも出来る。

もっとも、敵とそのような接触時間がないために、知らないことの方が多いというもの。

彼は彼女の持つ石の魔力を取り込むことをせず、自らの体内に固有の魔力があることを示した。

だが、魔力と魔術行使との適性が分からない。

それが二人にとってはあまりにも不思議なことであった。

特に、パトリックからすれば、可能性があるというもの、未知なる魔力適性の存在を目の前で見せられたことは無かったから、尚更不思議に思えてしまった。

彼に魔術の存在を明かす時、彼には前から固有の魔力があることを二人は知っていた。

そのため、もし魔術の鍛錬を行うとすれば、一から始める人間よりも早く適応するだろうということは、容易に想像がついていた。



だが、アトリのそれはその想像を遥かに超えている。

フォルテにはそう思える。




「彼の話、覚えていますか?」



「………?」



「兵士として、この手で護れるものを護りたい。そしてその結果が得られるまで、彼はそれを貫くという、理想です」




「……ああ、その話か。もちろん覚えている。あれが彼の覚悟と言うのなら、とても少年の抱くものとは思えない」




その考え方はフォルテも同様にあった。

まだ子供だという年齢、自分とそう大して変わらない年齢の少年が、国の民の為に戦っている。

何も兵士であるのなら、たとえ子供とはいえ国の為、人の為に戦うのは理解が出来る。

彼はその眼に映る多くの、本当に多くの人を護るために戦おうとしている。

そして、自分の行いに対して見返りや要求をすることが無い。

死地にある民を護るために国から派遣され、派遣された先であらゆるミッションをこなす。

兵士として派遣を要求すると、国としてはその見返りを求めることになる。

農作物や資金の一定量の納付。

自治領地としての機能を失ってしまった自治領地には、国が直轄地としての認定をその要求に加えることがある。

国としては派遣と防衛という「結果」の達成で、必要なものを得ることが出来る。

だが、彼にはそれが一切ない。

「自分が誰かの為に戦うことで、その誰かが笑顔で幸せに暮らしていけるのなら、それが自分にとっては嬉しいこと」などと彼は言う。




「誰かの為になることが、自分にとっての見返り、か」



「彼には、力があります。充分に、誰かの為になるほどの力が。ですが彼はそれ以上の力を今も求め続けている……それも、自分の手で誰かを護るために、それに必要な、不毛な戦争を終わらせるために」





彼はきっと止まらない。

アトリはこのまま進めば、更に多くの人々を救うことになるでしょう。

決してその行為そのものが間違いだとは言えないと思います。

救いを求めている人もいるでしょうし、護られる命があれば救われる者もいる。



………だけど………。





「………だけど?」



「そんなものに、終わりがある訳がありません。求められればそれに応じるなど、そんなことを繰り返せば、いずれ王国という枠を超えてしまう。そうなれば、アトリは必ず世界に利用される兵士になってしまう。だから……」





王国という枠組みを超えた、世界にさえ利用される兵士。

この大陸は広く、まだ見ぬ世界が至る所に存在していることだろう。

人々の生活は大地がある限り、際限なく無限に営まれている。

そのすべてを把握することは出来ず、いまだに誰も知らない大地があっても不思議ではない。

だが、確実に言えることは、この大陸には大勢の人間がいて、

そしてその大勢の人間は、時に楽しく、時に悲しく、時に苦しく、時に辛く、その生を送っていく。

数えられるはずの無い大勢の人間の生活にも干渉してしまうような、そんな遠い理想。

誰かを助けたという事実があって、誰かを護ることが出来たという事実があったとしても、その誰かがいつまでも幸せに暮らしていけるとは限らない。

その結果が、護られたから、救われたから、訪れるものとは限らない。

そして、そうした人類の救済の枠組みに入る人々の数は、決して少なくない。

そうなれば、彼は求められれば求められるだけ、その才を発揮することになる。

戦いではなく、ただの救済というようなこともあるかもしれない。

だが、この世界は戦争続き、争いの無い場所などどこにもない。

毎日、毎時間を過ごすごとに人々が争い、恨み合い、憎しみ合い、そして引き裂き合う。

そんな世界がどうしようもないと分かり切っていても、彼は護られる命があるだろうと、突き進む。

王国という枠組みを超えた兵士、各地を転々としながら死地で役割を果たす、「傭兵」のような存在になり、その生涯を過ごす。

そのような男の行く末など想像しただけでも、恐ろしいものだ。






「………私は、彼に魔術を教えることが正しいかどうか、分からなくなりそうなのです」






そう。

だから彼女は、今自分が彼に魔術を教えていることが、本当に彼にとって良いことなのか、迷いが生まれてしまっていたのだ。

魔術を極められるかどうかは別にして、彼の身体能力と魔術とがかけ合わされば、間違いなく強者となる。どんな相手でも、という訳にはいかないだろうが、恐らくは敗北というものから離れた存在になることは出来るだろうと思う。

誰にでも立ち向かい、この戦いを終わらせ、そして今度は各地の自治領地に出向く。

その力を充分に持っている彼は、それを遂行するだけの必要な条件を満たそうとしている。

いや、既に満たしているのかもしれない。

だが、彼がその道に取り込まれてしまえば、もう取り戻すことが出来ないかもしれない。

こんなどうしようもない世界などという存在にさえ利用される、そんな人になってしまえば、もう後戻りも出来ないかもしれない。

もし、その道が間違いだというのなら、彼に魔術を教えることなどすべきことでは無い、と彼女は思う。

だが彼の望みを叶えるために今の自分は毎日を過ごしている、その気持ちに嘘偽りは無い。

彼の為になりたいとも思うし、出来る限りで協力はしたい。

だが一方で、彼の生涯を考えるとそれが間違いではないかと思ってしまう。



パトリックは、フォルテの意図が読めてきた。

自分が彼に魔術を教えることで、アトリは取り返しのつかない道に歩んでしまうのではないか、と彼に対して心配をしていた。

パトリックからすれば驚きの話だ。

彼女が、他人事とは言えあの少年に対し心配するという一種の感情を抱いているのだから。

分からない話ではない。

世界に利用されるかどうかは別として、間違いなく大勢の人間を救う一方で、大勢の人間から散々に利用されることになるだろう。

今の問題は、彼がそれを良しと思い、結果を得ようとしていることだ。

極端な話を言えば、すべての人間に争いが無くなり、毎日を過ごすことが出来るのなら、そしてそれらを護ることが出来るのなら、彼の求める結果は近い形で成就することだろう。

だが、そのようなことは絶対にありえない。

全ての人間が幸福であるなどということは一切存在しない。

楽しく毎日を送る人間がいれば、毎日を生きるのがやっとだ、という苦しい毎日を送る人間もいる。

両者がすべて平穏になることは無い。

それは生まれた土地や家族のみならず、その地域や地方にも影響し、世界全体がそのような均衡を生み出すことは無いと確定させているようなもの。

だから、彼が目指す「この眼に見える者たちを護る」ということは、すべての人間が平穏で平等で自由な毎日を送ることを前提とした話ではない。

しかし、一度護られた、救われたから永遠に幸せであることなどあり得ない。

だから彼女は無限に繰り返すと言い、それを加速させるかの如く魔術を教える自分自身に疑念を抱くようになったのだろう。



正直、パトリックには答えづらい話であった。

何故なら、彼自身アトリを止めることは出来ないだろうと思っている。

彼の行為を否定することは、彼の今までの歩みを否定することにも繋がるし、彼のしてきた行為でさえ否定することにもなってしまう。

人助け、人を護り救う。

これは決して悪いことでは無い。

その行為そのものを否定することは出来ない。

たとえ力づくでその道を止めさせようとも、それこそが彼の為にならないことになる。

それでは、彼と交わした言葉に偽りが出来てしまう。

自分たちも彼の協力を受ける代わりに、彼が再び復帰するまでの面倒を見る。

その過程に、魔術という付加価値を蘇らせる。

だから、パトリックからしても、彼のその行いを別の道に逸らすことは出来ない。

彼女が魔術を教えることを止めれば、彼は自分自身で魔術の道を往くことだろう。

更に、すぐにでもこの家から離れて行くことだろう。







「……フォルテ。その気持ちは俺にもよく分かる。教えの担い手として間違った選択肢を選ばせる訳にはいかない。だが、彼の決意は固い。それに、彼は自分からその道に進むと決めた」




「………」




「そんな生活をして、もう4年以上だと聞く。殆ど一人で戦場を駆け、不可能な要求にまで挑み続け、たとえ護るはずの人たちに罵られようとも、その人たちの為に戦い続けてきた。そうまでさせる彼の理想は、相当に重い。いいか、フォルテ。今……いや、これから彼に必要となるのは、彼を成り立たせる為の支えだ」




しかし、そのまま彼が道を進み続ければ、どうなるのか。

今までの彼に、彼を止めてくれるような人はいなかったのだろうか。

いや、いなかったからこそ、彼はこのような人間になってしまったのではないだろうか。

あらゆる疑念、あらゆる懸念がありつつも、彼はその経緯を辿り続けた。

誰に止められる訳でも無く、自分の理想に反することもなく、ただひたすらに。

フォルテが言うように、いつしかそれが世界に利用されるというのも、分かる気がする。

だが、そんな人生は道具。

人の世はどうしようもないものだと分かりながら、どうしようもない人間を救うということを、彼は道具のように繰り返される。

その道が酷なものであるとするならば、その現実を引き起こさないために必要なのは、彼を支えることの出来る存在。





「支え………?」



「ああ。あの少年に必要なのは支えだ。彼の生き方は変えられないかもしれない。だが彼が道を外れる可能性は充分にある。自分が正しいと思うことに疑念を持つこともあるだろう。そんな苦境を経験してもなお、彼は彼らしくあり続けたいと思うはず。それを成り立たせるのに必要なものは、支えだ」



「………」





パトリックも、彼が彼の生き方を止めることはしないだろうと考えていることを、フォルテは知る。

兵士として戦い続け、平和をもたらそうとするその姿。

普通の人、ごく自然に毎日を過ごすような人から見れば、その姿は到底容認できないものだろう。

彼の姿形は異質そのもの。

何があろうとも普通の人の行うこととは言えない、現実離れしたかのような生活。

それを支えるというのであれば、支える側の人間も相当の覚悟をしなければならないだろう。

彼がもし、道を誤り自分が間違っていたなどと思う時があれば、その後の彼はどうなるのか。

自らの否定を行い、その否定の末にどこへ向かっていくのか。

そうなってしまった時、そんな彼にどのような言葉をかけてあげれば良いのか。

それらは起こってみなければ分からないこと。そして起こって欲しくないと願う願望でもある。

出来ることなら、そんな彼を見たくないと。





「フォルテと、少しだけ状況が似ているかもしれないな。お前さんもかつては、誰にも支えられない状況で、それでも壊れたままの自分を成り立たせようとしていた。せめて自分そのものを失わないようにと」



「……パトリック。私の昔話は良い。耳が痛くなります」



「あ、あぁ、そうか。悪かった」





彼の話のつもりが自分の話に傾き始めようとしていた時、彼女は改めて舵取りをし直す。

自分の話が思い出されるのを嫌って。

アトリと状況が似ているのかもしれない。

その言葉は、無論彼女の過去を知るパトリックだからこそ言えること。

彼女自身が思う以上にパトリックは二人の距離感、関係を洞察していたのかもしれない。

支えとなる存在が居ないまま、時は進んでいく。

そして、その時は訪れた。

この点においては、二人とも似た者同士ではないか、と。





「まぁ色々と言いたいことはあるんだが、俺たちはまだアトリの過去を知らない」



「アトリの過去?」



「そう。何故あの少年がこの道に進むことになったのか。あれの人となりの形成は、必ずその根源にある。人間は多くの時を自分の為に使う。だがアトリくんはその時の多くを他の人の為に費やしてきた。命懸けでな。兵士としての道を歩むキッカケになったところに、アトリくんという存在の鍵がある」






――――――――言葉を交わさなければ、分からないこともある。相手の懐深いものなどは、特にな。







分からなくはないが、理解し難い彼の過去。

兵士としての道を歩み始める、前のこと。

彼がまだ今よりもずっと子供の頃の話に繋がるもの。

それを知って、自分は何か出来ることはあるのだろうか。

パトリックは訴えている。彼の懐の程度を知らないと、簡単に決断を下すことは出来ない、と。

この場で魔術を教えるのを止めれば、彼はここをすぐにでも離れていく。

今すぐにでも多くの人たちを護りたいと思っていることだろう。

彼女がその決断を下し魔術鍛錬を止めるかどうかは、彼女だけの判断では通すべきではない。

何故なら、彼はこの力を使い自らの理想を追い求めようとしているのだから。

儚く尊き理想、しかし願いの成就は果てしなく遠い。

その理想の為に魔術の鍛錬を続ける彼には、それを必要とする理由があり、その理由の根源となるものに、彼の過去の物語が連ねられている。

パトリックは、それを彼に聞いてみてはどうだろうか、と彼女に訴えていたのだ。





「明日から暫くはここを離れる。一応10日程度で戻るつもりだが、なんとか二人でな」



「はい。確かに」



「必要であれば、食材庫から引っ張り出してきても良い」





話はその辺りで終わりとなった。

パトリックが示した一つの見解を彼女が理解し、後はそれを彼女が実行するかどうか、というもの。

彼は一つの道を示したので、それ以上のことは彼ら自身に委ねようとしていたのだ。

自分自身に決定権はない。元よりこの鍛錬は彼らの為にある。

表向きに見れば、彼の理想のため、国に戻るためにに力をつけるという、鍛錬。

だが、表面以外ではそれ以外の意味を含む。

特に彼女に対しては。

彼女がここに来てから、パトリックという歳の離れた男としか関わることが無かった。

ポーラタウンで町の民たちを話す機会はあったとしても、アトリのように歳が近い少年と会うことは無かった。

彼女がアトリ以外で最後に同じような年ごろの少年を見たのは、恐らくここに来る前のことだろう。

だから、これはフォルテにとっても転機となる機会がある。

ただの話し相手ではなく、剣や魔術を通じてお互いのことを知るようになる。

それはアトリだけでなく、フォルテにもよき影響を与えることだろう、と。





「パトリック」



「………?」




「………いえ、何でも。今日はこの辺りで、失礼します。ありがとうございました」





部屋の出入り口、フォルテは話を聞いてくれたパトリックに最後、何かを言いかけたのだが、その言葉を出すことなく礼をし、部屋から離れて行く。

ドアが静かに閉じる、その静かな音がこだまするかのように聞こえた、そんなようだった。

フォルテが自ら相談事を持ちだしてきた、というのは既に彼との生活で影響を受けている部分と言うことが出来るだろう。

フォルテが自宅に戻っていく最中、パトリックは自身の内だけで考える。

何の解決にもならないような言葉を連ねただけだが、彼女がそれで行動の指針を決めるキッカケになるのであれば、多少は役に立ったかもしれない。





「……アトリくんの過去、か。俺も知りたいものだな。それにしても………」






どうしてこう、俺の元にはこうした子どもたちが来るのだろうか。

今も、昔も。






それは、この二人に限った話ではない。

彼がこの五十年余りを過ごしてきた、その前の前の記憶を遡る、これもかつての出来事の一つなのだ。







3-24. 拠り所






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