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Broken Time  作者: うぃざーど。
第3章 ボーイ・ミーツ・ガール
73/271

3-18. 本質




残された髭面の男は、突然現れたあまりにも強い一般人を前に恐れる。

しかも自分が追い詰められ、そのように言葉をかけられたのは女性の方だった。

フォルテの瞳は鋭く眼光を放ち、髭面の男を今にも殺しそうな勢いであった。

ただ無表情で寡黙な女性であるが、敵と認識した相手を無差別的に殺そうとしている訳では無い。

まだ町長の家に残されているであろう敵兵士を倒さなければならない。

その前に、確認しておくべきことがある。

この時のフォルテは冷酷に問いを投げかけていた。

逆にそれが恐怖心を煽り髭面の男の口を開かせる要因にもなっただろう。

町長の家以外にいたであろうマホトラスの兵士は、アトリとフォルテの手によって一人を残しすべて倒された。




「貴方たちは何故ここに来たのですか」




「我々の存在を知って斬り込んできたのだろう?ならば答えるまでも無い」





目的など決まっているだろう、と言わんばかりの態度であった。

フォルテは髭面の男に剣を向けながら話を聞いていた。流石に男も観念したような顔で話をしていたが、アトリには既にこの者たちの目的が分かっている。

ポーラタウンは、王国領に属さない独自の施政権を持つ、小規模な自治領地と言える。

とはいっても、100人未満の集落など他の自治領地からすれば「ただの町」でしかない。

そのため、この町の住人も確かに自分たちですべてを営んでいるとはいえ、自治領地などという大それた呼称を用いることは無いと言う。

だが、そんなところにもやってきたマホトラスの兵士たち。

彼らにとって、その町にある利用価値のあるものはすべて確保しておきたい。

それがたとえ人口の少ない町であったとしても。

アトリは王国領の北西にあるヤヴィノスクに派遣されていた時から、大陸西側沿岸部の存在価値について考える機会があった。

中央部や北東部などと比べれば、王国領の西側や大陸の沿岸部は人が少ない。

町もこのポーラタウンのように小さなものばかりで、それを狙うマホトラスの目的とは何だろうか、と。

だが、理由はいたって単純明快。

そこに町や村、役に立ちそうなものがあれば、手中に収めてしまえばいい。




かつてあの黒剣士が、争いの時代を鎮める為に争いを起こす、と言ったように。

マホトラスという国が出来、その管轄に領土を拡大させていけば、自分たちの色で戦争を無くすことが出来る。




それが、正義?

そうすることが世界にとって正しいこと?







「あくまで占領を第一としているはず。土地に価値はあってもこの町の住人に価値など求めていないはずだ」



「ほう、流石によく分かっていらっしゃる。そんな直球で言われると、下手に否定も出来ないな」




アトリがそのように言葉を交わすと、男は流石はウェールズの兵士と言わんばかりに笑みをこぼしながらそう答えた。

既にこの男には自分の存在が知られている。

ならばこちらも隠す必要はあるまい。

だが、今ここでこの町や周辺に自分がいることを知られてはならない。





「若い衆が皆武器を持って抵抗するものだから、兵士としても放っておく訳にはいかない。ところが、たった数日でこれだ。しかも、町に住んでいない輩に制圧されるとはな」





この町に在住する自警団や町長を押さえるのはそう難しいことでは無かっただろう。

そして、この二人さえ目の前に現れなければ、マホトラスの兵士たちを止めるという決断をしなければ、町を占領し資源を得ることなど容易いものであっただろう。

だが、町に住まないこの二人に、その目的は容易く阻まれてしまう。

まだ町長の家に残りの兵士たちが監視として残っているだろうが、恐らくすぐに殺されてしまうことだろう。髭面の男は仲間を思いやる気持ちなど持ち合わせてはいなかった。

そのようなことをしても、無駄だろうと。




「今貴方たちはどこまで侵攻しているのですか」



「それは答えられない。だが、何となく察するものはあるのでは?」



「………?」




髭面の男はアトリの方を見る。

言われなくても、たとえこの男と遭遇しなかったとしても、現実味のある予測は出来る。

そのすべては、彼にとっては悪い考えにしかならない。

どうしても好転するものとは思えないものがある。

地図を見れば確認できることだ。

マホトラスの兵士たちが大陸の西側、王国領外にも進出しようとしている理由は、物資の確保以外にも何らかの形であることだろう。

そして、この位置は王国の象徴たるウェールズ王城から西側にあたり、ポーラタウンより東北東に進むことで王城に辿り着くことが出来る。

それが意味するところが、彼には分からない訳では無かった。

聞くだけ無駄だろう、とこの髭面の男は自分たちに投げかけていたのかもしれない。

既に想像がついている、その末路を知っていることだろう、と。




「さて、どのみち先は長くないこの命。無駄には出来んから、もう少しだけ……」





この髭面の男は魔術という現実離れした世界観を目撃した、数少ない人間である。

アトリでさえ驚いた、自身の魔力で武器を創造し現実に投影するという芸当。

そのようなことが出来るものとは思わず、そしてそれを見ていた髭面の男はそれが明らかに現実のものでないと悟ったものだ。

フォルテからすれば、そのような姿を見られた相手は仕留めなければならない。

魔術師としての掟、決して表舞台にあがることのない秘密裏の約束事ではあるが、それを破ることは出来ない。

魔術師は、魔術師であることを隠す。

見られてしまった相手は、倒す。

もちろんこの男とて例外ではない。

武器を持って買い物に出ることのないフォルテにとって、この町の状況は緊急事態であった。

予測できたかと言えば否定は出来ないのだが、そうでないと信じていた結果、裏切られた。

状況は既に悪化どころか展開し終えていて、町としての姿が失われた直後のことだった。

それでも、この町のすべての人を逃がすためには、この町にいるマホトラスの兵士を倒さなければならない。

そのためには、ここで武器を表世界に出すこと以外、打つ手は無い。

それが彼女が戦うと決めた以上、残された唯一の選択肢であり決定であったのだから。




まだ聞きたいことはあった。

だが髭面の男が自ら死期を悟り、抗うことなく受け入れる。

せめてもの致命傷を、相手に与えるために。





「っ………!?」





男は、突然動き出した。

黙って大人しく話を聞いている、または言葉を交わすだけの相手ではなかった。

一瞬でその場の空気が凍り付く、そんな感覚に陥った。

男は自分の左手で突然上着を力強く剥ぎ取り、そして懐に忍ばせていたものを瞬時に彼女に向けた。

何か光り輝く物に見えなくもなかったが、それが刃の短いナイフだと先に気付いたのは、アトリ。

フォルテはそれが何なのかを視認した時には、反応が遅れてしまっていた。

男の懐から出てきた物を右手で掴み、そしてフォルテの心臓目がけて一閃する。

本当に一瞬の出来事だっただろう。

ただ上着を破いただけでは気付かないのも、想像し辛いのも無理はない。

予想外の出来事に彼女はその場から動くことなく、そして短くも厚いその刃が、彼女の胸に―――――――。





「………!!!」




「なっ………」






―――――――刺さることはなかった。

男の一閃も瞬時に繰り出され、風を奔るような一撃だっただろう。

命中すればたとえフォルテとは言え無事では済まない。

だが、そんな一瞬さえ凌駕する、風のように奔る一閃よりも遥かに早く、先に刃物の存在を確認したアトリの腕が動いていた。

男の一閃が彼女の心臓部を貫く、その一瞬。

彼が咄嗟に出した左腕にその攻撃は遮られ、代わりに彼が出した左腕にその一撃が命中する。

腕の皮膚、筋肉が瞬く間に抉れ、鋭い刃はその骨さえも断ち貫通する。

刃の縁に沿って流れる赤い血。

その光景を間近で見たフォルテは、驚いたのだ。





驚いたのは、彼の傷に対してではない。

彼の行動に対してのこと。

自分に間違いなく刺さっていたであろう、その一突きを防いだ彼の行動。

心臓をやられてしまえば確定したと言ってもいい、自分の死への直行道。

だが、それは何ともあっという間に回避された。

もはや、その動作は彼が俊敏なだけでは説明することが出来なかった。

少なくともこの時の彼女には、そう思えた。





彼は、無言で右手に持つその剣を奔らせる。

ただの一撃。だがそれが致命傷を超え、絶命に至らせる一撃。

彼女の手によって作られたその剣を、彼は髭面の男の顔面に向けて奔らせた。

両目、両耳、そして頭の上部へと至る斬撃。

もはやそれは人間の顔を維持することが出来ない、獣のような末路であった。

男は無言で倒れ、そして二度と目覚めることはない。

元より、この一撃は相手の目を真っ二つにしてしまうものであったのだから。




「………」




アトリは、無言でその剣を地面に置き、そして自分の左腕に突き刺さった刃を、勢いよく抜く。

一緒に出血も多くなったが、今の彼はそんなことを気にする前に――――――。




「大丈夫ですか、フォルテさん」




――――――と、一言彼女に確認をしたのだ。

彼は彼女の顔をこの時確認したのだが、彼女の顔はどことなくひきつっているように見える。

驚いていたことは窺える。だがそれ以上にそう思う何かがあった。

結果的にフォルテはアトリにこの場を助けられた。

彼女が油断していた訳では無いが、予想外の出来事に予想外の対応を見せた彼の行動に、驚きと疑念とを感じていた。

アトリの左腕は肩から下がり、今はもう力が入らない。

腕から指先、爪にかけて血が流れ続けている。

地面はアトリの流すそれなりの量の血と、男が流した多量の血とで混ざり合う。





「………す、すみません。今、治癒をかけますので」





更に、彼女はやや取り乱したような格好で、すぐに彼に向けて魔術を行使する。

それが咄嗟に出た反応というものだったのだろうか。

彼が右手に持っていた、魔力により出来た剣は跡形もなく消え去る。

右手に持っていた剣の柄の感覚が急に消える違和感を手で感じながら、彼は彼女の支援魔術を受けた。

左腕の治癒。

支援魔術を会得し活用できる彼女で、しかも彼の命を過去救ったことがある者からすれば、腕の治癒など大したことはない。

彼の左腕は即時に治らないにせよ、痛みを無視できるほどには瞬時に回復される。

彼もまた礼を言い、そしてすぐに歩き始める。





「行きましょう。まだ敵が残っています」





彼女は、彼の表情を見た。

歩き出し、こちらの様子を窺っているようにも見えたその表情は、どことなく温もりを感じることが出来る、そんな優しさを見せる表情だった。

彼は先に歩き出し、彼女は内心で戸惑いつつもそれについていく。

昨日話していたことがある。

彼は自らの体内に魔力が備わっていることを、気付くことが無かった。

にも関わらず、自分の身体では到底出来ないような、外部からの力の作用があったことを打ち明けた。

それは、間違いなく体内の魔力が反応したに違いない。

彼が言うその瞬間は、自分の身体に攻撃が直撃しそうになった時、という。

立場は違うが、状況は似ていると思った。

彼女自身、あの鋭い一撃が命中していれば只事ではない、と思っていた。

攻撃は間違いなく命中することが確定されていた。

しかし、それを彼女ではなく彼が防いでくれた。

身を呈して、護ってくれた。




人を護るための剣。

人々が窮地に立たされているのなら、その窮地を救う為に戦う剣。




だが、彼の示すその意志、その行動は、まるで自分の命や身体がどうなったとしても、

自分自身で決めたそれを決して崩さず貫こうとするものに見える。

あまりにも固い信条。

そのような感情も意志も、普通の人間であれば耐えられないほどの重圧があることだろう。

穢れてしまったこの世の中で、決してこれだけは譲れまいと貫こうとする、その素直さ。

人を殺さなければ人を護ることが出来ないという汚点が蔓延るこの世の中で、それを理解し受け入れてしまいながらも、必死に抗い続けるその姿。





『私がこの眼で見た者たち、この手で届く限りの者たちを、護り続けたい。その結果が、私の求めているものと言えるでしょう。』





彼はまだ、その結果は訪れていないと自分で語ってくれた。

そして、その結果が実現するまでの時間がとてつもなく長く、険しい道のりだということを知っている。

もしかしたら、そのようなものは求めてはならないのかもしれない。

そのような結果のために、そのような覚悟を持ち続けてはならないのかもしれない。

彼はそう、自身の信条にかけて結果が現れるまでは、決して斃れてはならない存在。

自分の命をかけてそれを貫こうとしているにも関わらず、自分の命を落としてはならない存在。

彼女は、この瞬間にこそ強く感じることが出来た。

この町の人たちを助けると、彼女自身が強く抱いた意志がある。

それは、この町の人たちが自分たちの日常に深く関わってきた縁があるという理由もある。

だが、それ以外にも、人々を護るための剣を貫く、その少年の立場を経験してみたかった。

これで思い知った。充分に思い知らされた。




あまりにも過酷なその運命が、いつ彼に牙を向けるかは分からない。

だが、それでも彼はその姿であり続けるのだろう。




よほどのことがない限りは。







「な、なんだおま………ぐわっ!!」




それからのことは、あっという間に終わってしまう展開であった。

マホトラスの兵士たちを排除しなければ、この町の住人を助けることも逃がすことも出来ない。

ならば、そうする以外に手は無い。

再びフォルテは剣を創り出し、そして町長の家の中へ突入する。

外にいた兵士は見回りなどをしていたのかもしれないが、家の中にいた兵士は無防備であった。

当然のことだろう。まさかこのような小さな町に襲撃があるとも思わないだろうから。

恐らくは家の居間である一ヵ所に彼らは固まっていて、二人が突入した時には時すでに遅し、であった。

誰にもこの二人を止めることは出来ない。

はじめの一人が一瞬にして絶命したその瞬間を目撃した、マホトラスの兵士誰もがそう思ったことだろう。

まず、武器を持たない自分たちに勝ち目はない。

せめてあと1分あれば臨戦態勢を取ることも出来ただろう。

だがそのようなことを相手が許すはずもない。

元より自分たちは侵略者、それを取り返しに来た見知らぬ顔と思えば、この行動も理解できる。

外敵による占領は決して理解され寛容に受け入れられるものではない。

それは、かつてのウェールズ建国と今のマホトラスの存在が物語るように、このポーラタウンにおいても全く同じことであった。

短時間で兵士を全滅させた、その家の中は荒れた血の海と化してしまった。

人間の生臭さが永遠と残り続け、もうこの家に誰も住むことは出来なくなるだろう。




いや、それ以上に、もうこの町に人を必要とする時は、永遠に来ないのかもしれない。




「町長………」




マホトラスの兵士たちを殺したのは良い。

だが、本来助けるべき存在、護るべき存在を目の前にして、その目的のすべてが果たせなかったことを二人は知る。

アトリの言う結果を生み出すことも、導くことも出来ず、自分たちが来るよりも前から、その運命は決まっていたことを目の前で証明されてしまう。

あの髭面の男が若い衆と言った自警団の兵士たちは、この家の中に捕えられていた。

生きていれば解放出来たものだが、既にその身は亡骸となり目を開けることが無い。

数多くの傷跡が残り、腹部にはまるで抉られたかのような激しい損傷が見受けられる。

両手を縛られ、柱に腹をロープで巻かれ、完全に身動きの取れない状況だった。

それは、恐ろしい瞬間であっただろう。たとえどれほど恐怖の念が自分の身体に襲い掛かったとしても、目の前の恐怖から逃れることは出来ない。

ただ純粋に道具と化したその物の扱いなど、マホトラスの男たちに委ねられてしまった。どうしようと彼らの勝手である。

その結果、生かすことを否定し、拒否し、斬殺したのだ。

自警団の若者たち、そして町長は既にこの世を去っていた。



もう。

この町には僅かな人しか残されていない。






「………、これが貴方の言う、死地というものですか」




「………」






その問いの答えは期待していなかった。

知りたくも無い、だがそれを知ってしまった気持ち。

否定したいが肯定するしか他に証明する術が無い、ただの事実。

たとえどう抗おうともそれが事実であり、その事実を前に覆すことなど不可能。

そうか、彼はこのような場面を、幾つも幾つも幾つも渡り歩いてきたのか、と。

いつも無表情で感情を表に出さない彼女だったが、彼女自身でこれらの光景に全く何も感じないなどということはない。

たとえこれが偽物の彼女であっても、本当の自分を封じ込めている偽物の姿であったとしても、このような光景を前に「これが当たり前の結果」などと考察する訳が無い。

でなければ、あの場面でこの町の残された人々を護るために、危険な渦中に身を飛び込ませることはしないだろう。




彼女は知ってしまった。

目の前の命を護ることが出来なかった、その結果をもたらすことのない、彼の信条を。

この眼に映るすべての人を護り、助け、自由で平等で幸せな日々を送ってもらいたい。

それが果たし得ぬもの、尊き理想でありながら、矛盾にまみれた現実であることを、知った。


彼女はその気持ちを理解してしまった。

誰かを護るためには誰かを消さなければならない。

『正義』という存在を語るためには、その正義を成り立たせるための『悪』が必要なのだと。

そして、必要悪を排除しなければ、自身の信条が永遠に果たし得ぬということを、知った。


彼女はその生き方を見てしまった。

彼の言う死地にある者たちを護るために戦い続けてきた、その少年の姿。

多くの人々を護ってきた事実を前にしても、それを成り立たせるために誰かを犠牲にしてきた。

それが世の中にとって必要なことで、彼の信条を存在させる為に必要な現実だと、知った。




彼は、このような光景を何度目にしただろうか。

私であれば到底耐えることなど出来ないだろう。

目の前から護ろうとした大切な人々が、失われていく。

尊い命が一瞬にして儚い運命を辿る、その瞬間。

誰かを救いたいという願いは果たせても、誰かを護るという結果を成し得ない、その有り様。

特定の誰かではなく、幸せという席から零れ落ちる者たちすべての人の為になりたい。

そう思う彼の生き方を、彼自身は受け入れてしまっている。

それを否定すれば、彼の生き方そのものを否定することに他ならない。




彼が歩むと決め、歩み続けてきたその『時間』を否定することになる。




誰かの為になる、その理由を果たすためには必要な悪を必要な分排除しなければならなかった。

だからその立場に彼は進んで受け入れ、愚直なまでに努力し、それを果たそうと今も戦い続けている。




私には、受け入れ難い。

この人はこの町に何の思い入れも無かっただろう。

何の時間も過ごさず、何の記憶も共有せず、ただそれでも誰かの為になろうとする。

いや、あるいはそれが彼の本質であっただろう。

誰であろうと関係ない。必要悪に苛まれる者たちであれば、悪から護ろうと戦うのだから。




片膝を落とし、蘇ることの無い亡骸を前に、無言でその無力さを悔やむ彼。

その背中にどれほどの運命を背負わされてきたのか。

その重圧に、私は耐えられそうにもない。





フォルテは、その背中を見つめながら、そのように思ったのだ。






3-18. 本質






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