3-13. 魔術鍛錬(Ⅱ)
魔術を行使させるためには、それとなるものを頭の中でイメージする。
そのような話は、王城の宝物庫にあった記録文書で、それとなく似たようなことが書かれてあった。
あの時は、何をイメージして何を表出させるのか、見当もつかなかった。
具体的な物が思い付かない限り、魔力を表出させたとしても物体を実体化させることが出来ない。
まさか自分が前から魔力を持っていたなどと気付くはずもないし、知っていたとしてもそれを活用できたかどうかは分からない。
だが、思う。
もしあの時、魔術を使える人であったとしたら、
あとどれほどの人が苦境から護ることが出来ただろうか。
彼は、彼女に言われたように、まずは具体的な物を描くことなく、
ただ体内にある魔力を外に出すという手段で鍛錬を行うことにした。
彼は右手を前に出し、手のひらを広げ、そして目を閉じ念じるように集中力を高めて行く。
昨日、フォルテの施した魔力の措置が、この鍛錬と大きく関わっているという。
アトリの身体の奥底に眠り続けている魔力に魔力で干渉し、刺激を与える。
そうすることで、嫌でも彼の中にある魔力が体内で発動し、術者に強烈な刺激を与える。
だが、これで彼の体内にある魔力は休眠状態から目覚めた。
本来流れていた本流がより手の届く位置に近づいてきたのだ。
それを切り替えることで、外へ放出させるものと、中で貯蔵するものとを使い分けることが出来る。
フォルテが施したものは、所謂通常の状態と特質とを切り替えやすくさせるものである。
あとは言われたように、切り替えて、切り替えて………。
「………」
汗をかいているのが分かる。
服を着ていても、それを侵食してくるのがよく分かる。
逆に考えよう、こうすることで自分は自分の意志で魔力と干渉し合っているのだと。
今までは出来ていなかったことが、今は少しずつ近づいている。
届き得ぬモノと思っていたものが、この手に近づきつつある。
「……はぁ……っ……」
頭の中では冷静に、と分かっていながらも、それを実行することが出来ない。
そんなものは、とっくに経験している。
死地へ派遣されるようになり始めてから経験した戦闘は、多くがそのようなものだった。
だが、それでも自治領地にいる自警団の人たちよりは、遥かに立ち回ることが出来ていた。
初めての戦闘を終えた後は、筋肉が硬直しかけて空き家で倒れそうになった。
それも、慣れてしまった頃には、身体が戦闘に適応していた。
そうだ、同じようにこの鍛錬にも、経験を積んでいけば………。
「……ぐっ……」
その時。
フォルテが彼の左肩に手を添え、すぐ近くで――――――。
「一度、止めて下さい」
と話す。
彼はあまりに集中していたためか、その場を移動していたフォルテにさえ気付かなかった。
肩を叩かれ、逆に集中力が削がれたことで、その存在に気付き、彼も元の状態に戻した。
身体の至るところに汗が出ており、息も荒くなっていた。
果たしてどのくらいの時間、集中力を高めていたのだろうかと、道場の中にある時計を確認してみる。
が、結局分かったのはほんの数分程度であったということ。
これが戦闘であれば全く余裕のないことだ。
「お疲れ様です。まだまだですが、それでも確かに発動は出来ています」
「本当ですか………?」
「はい。驚きました、いきなりなので全く効果が出ないものと思っていましたが、僅かにでも結果が現れているのなら、既に大多数の人間から少数の人間へ移り変わったも同然です」
フォルテ曰く、今の数分間でアトリが出来たことは、確かに魔力の放出で切り替えも出来ているという。
ただし、全くのアンバランスで、しかも魔力の波が高く落ち着きが無かったために、自分が思う以上の魔力が放出されてしまっているのだと言う。
実際に物体の投影や強化に使う時には、それに見合った魔力の量や強さを送らなければならない。
彼にはまだそのイメージがついていない。
そのために、まずは魔力を放出させようと言う気持ちが前面に出過ぎてしまい、魔力の放出だけで多くの魔力を消費してしまっている。
だが、今はそれが正しいとフォルテは言う。
この瞬間から、彼は普通の人間とはかけ離れた、ごく少数の人間の仲間入りをしたことになる。
たとえ魔力のみを外部に放出するという単純かつ基本なことであったとしても、普通の人間には想像もつかないし届くことのない絶対的な領域。
魔術師としての能力を磨くということを受け入れてしまったことにもなる。
覚悟はしていたことだから、もう元の人間には戻れないことを後悔することは無い。
「今の調子を、もう少し落ち着けて何度か取り組みましょう」
「はい」
初日の魔術鍛錬は少しだけ、と彼女は考えていたはずだが、
彼の適応は予想以上に早いものであった。
ニ三度目こそ、全く安定せず必要以上に魔力を浪費してばかりであったが、五度を超えた辺りから発動に落ち着きが見られるようになった。
現実的には、ただ体内の魔力を体外へ放出することなど、殆ど役に立つものでもない。
しかし、それも工夫を施すことで、戦闘に扱えるようなものにもなり得る。
彼女から見れば、初日にしては適応が早すぎるくらいであった。
剣の腕、魔術の適応の早さから見ても、彼は恐らくかなり強い兵士であるだろう。
この人が調子を戻し、万全の状態で鍛錬をすることが出来れば、より早く習得を目指すことも出来る。
調子が戻った時の彼の姿が気になるところではある。
何かしらの魔術に生身の身体が干渉すると、やはり戦場で戦うのと同じで疲弊は厳しく付きまとうものではある。
ただ、それでも今は実戦で使っている訳ではなく、鍛錬という形で使用している。
今日考えていた時間よりも多くの時間、この鍛錬に集中してしまったが、それが彼の為であるのなら、間違いと言うことは無いだろう。
「どうですか。自分の中にある魔力は感じられますか」
「まだ、ハッキリとは……しかし、集中して意識するようになれば、意外と分かるのですね」
「はい。普通の人にはそのような意識を持ち得ないため気付きませんが、今の貴方には心配なさそうですね。もし自分の中で自分の魔力を感じられるようになると、今自分がどれだけ魔力を貯蔵しているのかが分かりますから」
はじめは不安定だった魔力放出も、数度の経験で安定させて見せたアトリ。
その適応の早さはフォルテも内心で驚くほどのものであった。
自身の魔力貯蔵量を意識して分かるようになると、実戦や使用する場面で魔力量を気にしながら魔術行使を行うことが出来る。
場合によっては制御することも出来るし、余裕があればより行使することも出来る。
初日であるからそのように意識することは出来なかったかもしれないが、それもすぐに理解し自分で操ることが出来るだろう。
それがフォルテの考えであった。
その日の鍛錬はそこで終了することになった。
「今日はこの辺にしましょう。明日も同じように、同じ時間でお願いします」
「分かりました。またよろしくお願いします」
「明日は少し難度を上げてみます。では、また後ほど」
次に会うのは、数時間後の夕食時だろう。
彼は彼女に一礼すると、彼女もそれに応えて小さく頭を下げた。
今日の鍛錬は、午前中に激しい打ち合い、午後に予想より長くなった魔術の行使を学ぶという内容であった。
彼にとっては驚きの一日。
一つには、兵士でも無い彼女の力量が、自分以上ではないかと思えるくらい強いものであったこと。
そしてもう一つには、彼自身が魔術行使に必要な魔力の放出をたった一日で成し遂げたということ。
自信を持つ訳ではないが、これで彼は常人からかけ離れた存在となった。
たとえ無自覚でも魔力を有している人や、石に触れても行使が出来なかった人に比べれば、遥かに先の階段を進んだことになる。
そのことに対し、後悔もないし躊躇いもない。
それがいつか鍛え上げられた末に、他の人に役に立つのだから。
彼は、道場を去る。
「………」
道場に残された彼女は、一息ついた。
まさか自分がここまで集中して付き合うものになるとは思っていなかった。
というよりは、彼の底なしのやる気や強い意志に押されてしまったのだろう、彼女自身がそう思っている。
私は違ったが、大体の人間は魔術師になる過程でそれなりの恐怖を覚えるはず。
分不相応の魔術は身を滅ぼす。
少なからず魔術を行使するということは、その人間の身体に特別な力を有しながらも、確実に傷を負わせるもの。
だが、彼はそれを理解していただろうに、進んで受け入れ、今日の鍛錬に必死になっていた。
そうまでして、自分でこの力を得たいのか。
その意志はあまりに強かった。彼女もそれに押され、真剣に付き合った結果が今日一日であった。
彼女自身も疲れを感じる。
しかし、このような疲れは石が取ってくれる。
何も気にする必要は無い、あの人が必要だと思うことをしてあげられれば、それでいいだろう。
彼女は外にある井戸水を汲み、
それを道場の中まで持ってきて、道場の床を一人で掃除し始める。
本当ならあの方にも手伝ってもらっても良かったのだから、恐らく見た目以上に疲労が蓄積しているだろうから、無理はさせられない、と彼女は何も言わなかった。
そう思える理由も、彼女が彼の人となりを見る一つの要因が関係している。
道場の床を掃除し終わった後は、隣の自宅へと戻り、本棚から一冊の本を取り出した。
他にも何種類もの本があるが、それらには目もくれずに取り出したその一冊。
表紙にはタイトルも何も書かれていない、ただ薄汚れた厚紙が貼り出されているだけ。
その理由は、中身にある。
所謂、彼が宝物庫の中で見ていたような、魔術に関する記録文書であった。
いつの日、誰かがこれを残したのかも分からないものを、彼女は持っている。
彼女自身の物ではなく、パトリックが保管していたものだ。
「……防御魔術……」
彼と今日打ち合い、彼の戦闘スタイルがよく見えた。
あの人は積極的に相手を狙いに行くのではなく、防御姿勢を取りながら、その隙を突いて攻撃をしようとするスタイル。
今日は彼女の攻撃に彼がついていない様子も見られたが、それも慣れればすぐに適応してしまうだろう。
あの体勢、あの剣捌きから見ても、防御魔術に型がつくのは理解できる。
寧ろ、他のものでなくて良かったとさえ、彼女は思う。
防御魔術は、支援魔術同様に術者が少ない少数派の型である。
防御に特化したところで、根本的な攻撃力は本人の能力譲りなところがある。
つまり、防御魔術では攻撃に関する力の底上げをすることは難しい。
それ故に、戦闘では必ず攻撃を行わなければならない性質上、防御魔術を使う者はそう多くはなく、伝承もされなかった。
支援魔術とも違い、攻撃魔術とも違い、中途半端と言うような評価を受ける防御魔術。
だが、防御魔術にも他の魔術行使よりも凌駕する点はある。
特に身体に対しての強化は、他の何の魔術にもない大きな利点だ。
適性があればこそ、それをより重点的に活かしきれるものだろうが、彼の場合はその適性が見当たらない。
見当たらないにも関わらず、魔術行使は出来る。
ということから考えても、防御魔術と何らかの適性が適合していると考えて良いだろう。
本当であれば、私もその基本を彼に見せてあげられれば良いのだが。
そう思いながらも、防御魔術の記録を見続ける彼女。
支援魔術を持つ者も、基本的な構造を持つ他の魔術であれば、無適性でも発動させることは出来る。
無論、それについてのペナルティは大きいものとなるし、防御魔術を主体とする人たちに比べれば、遥かに効力や効果時間は短くなる。
それでも、ごく基本的なものであれば、彼もそれを目の当たりにすることで、イメージできるのではないだろうかと、彼女は考えた。
今日見せた魔力の塊、あの球体は彼もそのうち作れるようになるはず。
結局はあれも体内の魔力を外に放出しているだけで、ただその形をイメージしていただけに過ぎない。
今でこそ難しいと思えるのかもしれないが、いずれはあらゆる魔術をこなすだろう。
ただ、それでも魔術に対する教育は絶対的に必要なものである。
世の中には自ら探究して魔術を開発した者も多くいるだろうが、彼女やパトリックはその類ではない。
元からあるものを取り込んだだけのこと。
それは誰かの教えを受け、その結果発動できるようになったものだ。
少なくとも、彼が自ら開発するようになったとしても、それは今ではないし今必要なことでも無い。
気付けば、本を手に取り30分も経過していた。
彼女はようやく他の魔術型に干渉する基本的なもので、なおかつ彼にもすぐ取り組めるだろうものを選び、そして自分で実践する。
目の前に用意したのは柔らかいゴム。
資材としても使われる、ごく一般的な小さいものである。
「………」
彼女は、そのゴムに人差し指と中指で触れ、
静かに魔力を通し始める。
彼女の中で、身体の内、中心から右肩、右手に向かって波が流れて行く。
右手に伝わる魔力の感触を確かめ、いつも以上にその量を増やしながら、それをゴムに表出させていく。
手に触れられたゴムもまた少しずつ光り出し、その魔力を受け入れて行く。
その過程がおよそ10秒。
それですべての過程は終了し、結果が目の前に現れる。
柔らかく伸縮性のあるゴムは、その10秒ほどで全く違う性質、とても固い物質に変わってしまった。
「………これなら」
その結果が分かった時点で、彼女は一つ頷きその結果を解除した。
つまり、魔力を通していたゴムへの魔力放出を止め、物体から魔力を引き抜いた。
物体は元のゴムへと戻される。
これなら初心者の彼も鍛錬するにはもってこいだろう、と彼女は思った。
だが、ゴムがそれほど多くある訳でも無く、彼女はそれに代わるものとして、木の枝を選ぶ。
手元にあれば一番なのだがそうもいかず、自分の手で採取するために外へ出る。
既に時刻は夕刻へと向かい始めている。
太陽は西の海へ沈み始めている。もうすぐあの真っ赤に染め上げられた空が見られることだろう。
そして夕食の準備もある。
彼女は少し足早に枝を取りに行く。
パトリック、フォルテ、そして今はアトリが住む彼らの家の北には、大きく深い森がある。
アデナウの森。
森と言うからには沢山の木が生えている訳だが、流石に彼女もそのような遠出はしない。
彼らの住む家の近くに、小高い丘の上に立ち続ける一本の大きな木がある。
彼女はそこへ向かい、木の根元に溜まる枝を回収する。
樹齢が既に高齢で、沢山の葉を広げながらも散っていく毎日。
十数本の枝を両手で抱え、それを自宅まで持ち帰る。
明日はこれを使ってもらい、もし強化に成功したら、魔術の型は確定と見て良いだろう。
急ぐ必要は無いが、彼の為にも次々と過程を踏ませることも大切だろうと、彼女は思い帰宅する。
明日彼に挑戦してもらうものを準備し、それを整えたうえで、
彼女はパトリックの家に向かい、夕食の手伝いをする。
「………」
夕食時は、いつもと変わらないと言うべきか、彼女の様子は静かそのものであった。
調理をしている時も冷静に、必要以上の会話を交わすことなく、淡々とこなしていた。
まるで鍛錬をしている時とそうでない時とでは、違う人のようであった。
鍛錬中に必要な情報を彼に与えるために、彼女は普段の数倍もの会話量をこなしていたことだろう。
一日分、あるいはそれ以上の会話量を済ませてしまったかのように、無表情で黙っていた。
食事中も、食事後の片付けも。
食卓は実に静かそのもので、パトリックが少し疑いを持つくらいであった。
彼女はその後、いつものように湯船へと行き、自身の身体を洗い始める。
一方、彼はまた縁側に出て、静かな弱い風に当たりながら、夜の空を眺めていた。
「………」
月が見える。
この辺りは夜空を遮るような光るようなものは一切なく、天の川まで見えると言うが、今は月の明かりがそれを防いでいるようであった。
だが、それでも星々が綺麗に映るこの夜は、少しばかり寒く綺麗なものであった。
ホッと一息つき、今日の疲れを癒す。
体力は今も続いているが、身体が疲弊しているのはよく分かる。
魔力に生身が干渉し操ろうとしたのだ、無理もない。
そんなとき。
「やあ。ちょいと話さないか?」
縁側で休んでいたところに、パトリックがやってきた。
今日はこれまでの三日と比べると、農作業などの手伝いをしなかった分、パトリックと話す機会が少なかった。
これからはフォルテとのやり取りが多くなるだろうと予想してはいる。
それはパトリックとて同じ予想を立てている。
だからこそ、こういった時間を有用にしたいと考えるのが、パトリックの内心だ。
「今日はどうだった?」
「驚きの連続です。あれほど剣に優れた女性を見たことがありません」
「ほう、そうか?国には女性兵士もいるのだろう?」
確かに、クロエのように男性よりも強い女性兵士は少ないがいるだろう。
だが、フォルテのそれはクロエの時に受けた衝撃以上のものがあった。
最早男性と戦っているのと何ら変わりのない、それほどまでに卓越した腕を持っている。
少なくとも彼が受けた印象はそうであった。
もしこの人が戦場にいれば、たちまち敵は殺されてしまっただろうと。
「んー……ということは、普段フォルテは俺に手加減をしているのか………?いやぁそんなことはないはず」
「時々鍛錬にお付き合いしているようですね」
「おうよ!歳はとっても身体は動かさんとな~」
立ち話もなんだから、とパトリックはアトリの隣に座り、同じように空を眺めた。
彼が今日彼女と色々な話を交わしたことを、彼の話から聞き取る。
彼女に聞くのではなく、彼の経験からそれを得る。
パトリックは今日過ごした彼らの時間経過を話から得る。
剣の鍛錬、魔術の鍛錬。
それを真剣に打ち込む彼の姿が容易に想像できる。
それに対し、彼女も真剣そのもので彼に向かっていったということが、分かった。
「そうか。フォルテがその調子なら良かったよ」
「?何かあるのですか?」
「え?ああ、いや、今日殆ど会う機会が無かっただろう?だから少し気にしていたんだ」
保護者としてなら当然の考え方か。
しかし、それはパトリックなりに色々な意味合いを含めた心配なのだろう、と彼は思う。
長い間彼女と共に生活してきたのだから、自分には分からないそれなりの理由があってもいいはずだと。
今日は慣れないことをしていると思うから、きっと彼女も疲れていることだろう。
パトリックは彼女が今日上手く進められたことを確認すると、少しだけ笑みを浮かべた後、今度は彼がその表情を真剣にさせる。
「なぁ、アトリくん。率直に聞かせて欲しいんだ」
「?」
「君は、フォルテのこと、どう思う?他人の目からでも良いし、ここ数日共に過ごした経験からでも良い。俺は今までフォルテと長い間過ごしていたから分かるが、第三者の目からお話を聞きたい」
彼女のこと。
その存在について彼が思っていること。
様々な思惑がパトリックの中にはあるのだろうが、彼女について直球で知りたいと言うことに変わりはないようだ。
それは、彼自身も同じ考えを持っている。
彼女の剣の腕や魔術の腕だけではない、あの服装や人となりの在り方など、気になるところはある。
それを知る機会は、そうあるものではないだろうと思ってはいた。
だが、パトリックは真剣に、彼に何かを語ろうとしている。
そしてそれを彼も肌身で感じ取る。
彼は、パトリックの問いに、答える。
………。
3-13. 魔術鍛錬(Ⅱ)




