4-2. 来襲
あと3日、4日程度で目的地まで辿り着くだろうか。
それにしても、経験があるとはいえ徒歩は先が遠くなる。
などと、彼は心の中で一人呟きながら、
晴天の空の下、大地の小さな道の上を歩いて行く。
まるで自然の生きた形、それなりに荒れた土地もあれば、美しさを常に表現し続ける大地もある。
見晴らしが良いところもあれば、そうでないところもある。
この数日間、そのような道のような道では無いような、そういったところを歩き続けている。
無論彼らにも休む時間くらいはあった。
だが二人とも出来るだけ先へ進みたいという思いは消すことが出来ない。
特にアトリは、今まで前線から遠く離れていた期間が長い。
その間にあらゆる状況が変わってしまっているのだろうが、更に遅れてしまっては、本当にウェールズという存在そのものが危ぶまれる。
それだけはあってはならないことだ、と彼は思いながら、信じて先へ進む。
今彼らが歩いている周囲にも、転々と集落や小さな町が存在しているが、今日の行程ではそのいずれも通らないつもりでいた。
食事や水分はまだ残っている。
今日は天気も良いし、悪天候に邪魔されるということも無いだろう。
「………」
だが、それでも二人は周りへの警戒を怠らない。
昨日の今日だ。
再びマホトラスの兵士たちが襲い掛かってくるかもしれない。
既に三度も戦闘をした彼らではあったが、まだその生き残りがいる可能性は充分にある。
もしかしたら、自分たちの存在が彼らに、そして彼ら以上の存在に知れているかもしれない。
その時にはある程度覚悟しなければならないだろう。
今の状態、普通の兵士を相手にして、魔力を隠し続けていても勝つことは出来る。
だが、魔術師が現れた場合には、どうなるだろうか。
フォルテはアトリの後ろ、ちょうど人間一人分の歩幅を開ける間隔を作ってついてくる。
道中はたまに会話はするが、基本的には二人とも周囲に気を配っていた。
荒れた土地を通る時も、なだらかな平原を通る時も。
すると。
「アトリ。この先は少し木々が多いですね」
「森………ではないな。天然のようだが、どうする。迂回するか?」
「そうですね………その方が望ましいとも思いますが、全長に対して幅は長いようにも思えます」
フォルテが彼の足を止めてそのように話してきた。
彼らの視線の先に見えるのは、木々が鬱蒼と立ち並ぶ景色。
森とまでは言わないが、天然でまだ人の手が付けられていないものだろう。
この世界には、こうして人の手の及ばない自然地帯というものが幾つも存在する。
家を建てるには木々が必要となり、大体こうした木々は伐採されるものなのだが、
このような場所は世界各地、至る所に存在しているため、いまだ資源が枯渇することもなく、こうして手がついていないものも数多く存在する。
彼らの視界の先に見えている木々は、まるでこの道の番人をするかのように佇んでいる、そんなようにも見えた。
この道は木々の中を抜けるようなルートを通っているようで、横幅が特に長い。
しかし、全長はそう長い訳でも無いので、恐らく10分もあれば抜けられるだろう。
彼はそう読んだ。
逆に木々を避けるために遠回りする方が、安全ではあるがそれなりに時間を取るかもしれない。
彼女はそう推測した。
「ここは………そうだな。このまま行こう。遠回りは時間が掛かりすぎる。ただフォルテ、剣を用意してほしい」
「アトリ………?」
彼の直感が言っていた。
この木々を避けて元の道に戻るには、それなりの時間が掛かる。
木々を抜けるよりも何倍かの時間を有するだろう。
だが、ここを通り抜けるために、何らかの障害があると彼は推測し、彼女にそう頼んだ。
ただ怪しげな空気を持つだけの木々に、彼は既に確信めいた何かを感じていた――――――――――。
………。
ここは、王国領南部に位置するカークスという町。
今は奪われたウェールズ王城から、一週間前後で到着するだろう町。
王国領南部の中でもそれなりに大きな規模を持つ町だ。
港などは持たないが、人の往来は結構ある。
この地に住み着いている人間たちも多いが、今は言うなれば“外来”の人間の方が多いだろう。
理由はただ一つ。
同じ国の者たちでも、この土地を依代にして来なかった国民が圧倒的に多い。
ウェールズとマホトラスの戦争。
戦争が長期化し、ウェールズは自分たちの象徴である王城と城下町を失った。
これほどまでに短期間で激しい戦いが数度重ねられ、その果てに両軍ともに力を失った。
「………!」
そうして、力を奪われた兵士たちと、
かろうじて逃げ延びた民たちとが入り混じり、この町は今同じ国民であっても外来種が増えたと思うほどに様変わりしてしまっていた。
同じ国民であるのだから、何も彼らに対し嫌悪感を抱くものではない。
寧ろ同情する声の方が多かったのも事実だ。
突然襲撃され、領地を奪われ、今まであったはずの時間を奪われた。
中には自分たちの家族や大切な親友を失った人たちもいる。
そういった人たちに対して、反抗的な目で見ることは出来なかった。
それをすれば、まるで自分たちもマホトラスの人間と同様になるではないかと、考えるだけで自分自身に嫌気を覚える者が多かったからだ。
この地にやってきた者たちは、自分たちが逃げ延びたことを嬉しく思う者もいれば、激しく後悔した者もいる。逃げずに死んでいれば、まだ楽だったかもしれない、と。
「っ………!!」
そして、ここはその町の郊外。
歩いて30分ほど離れにある、人里離れた荒地。
町の周囲は環境が行き届いていて綺麗にも見えるが、少し離れただけで景観は自然なままの牙を持つ。
荒れた土地など迂闊に近づくべきでもないし、入るなんてもってのほかだ。
何が起こるか分からないこの世の中では、あらゆる危険性を摘み取ることよりも、あらゆる危険性を避ける方が都合のいい場合もある。
だが、今この場所にいる二人は、その都合を逆に利用して好き放題身体を動かしている。
「はっ………!!」
「………」
一人の少年と、一人の中年。
少年の名は、グラハム。
中年の名は、アルゴス。
決して外界に知られてはならない特別な訓練を、彼らはこの場で実行していた。
荒れた地盤を少年の決して太くはない足が駆けて行く。
岩が崩れ、土埃が舞う。
その中で、少年グラハムは自らの持つ木で出来た剣状のものを、アルゴスと呼ばれる中年男性に向かって振るっていく。
同じようにして、アルゴスと呼ばれるその男も木で出来た剣を盾にして、
少年の剣戟を受け止める。
彼と少年の対峙を見ていれば、それが何をしているのかが分かる。
ある一つの特異な力を表現しなければ、二人は今紛れもなくこの荒れた土地で剣術鍛錬をしていた。
お互いに剣戟をぶつけ合い、少年の気迫に対し彼が後退しながら受け流すという構図。
決して安定した足場でないというのに、アルゴスは地面を見ることもせず、確かな足取りで移動し続けていた。
一方、グラハムには少々周りが見えていないのか、周りの地形に飲まれバランスを崩すこともあった。
「あっ………!」
刹那。
アルゴスは自らの手に瞬時に力を籠め、次の瞬間火球を打ち出した。
人ならざるもの、いや人が普段は間違いなく手にすることの無い特異な力。
その発動に気付いた少年だったが、気付いた時には既に遅い。
身体への直撃コースだし、躱すことも出来ないだろう。
なら、せめてそれを受け流すか弾き返すのみ――――――――――――!!
「………はぁ、くっ………」
だが、頭の中で思い描くものと、実際の行動とは差が出る。
少年はその木の剣を用いて火球を弾き飛ばそうとした。
しかし考えても見れば、木の弱点は火だ。
燃え移ればあっという間に木など燃えてしまう。
それを頭の中ですぐに判断できなかったグラハムに、敗北は訪れた。
火球は木と共に燃え、爆散した。
火の粉が彼にも当たると、身体の所々を火傷してしまった。
「そこまでだ。判断は正しいが状況が汲み取れていないな」
「………はい。すみません」
身体の手当てをするために、
アルゴスは自らの持ち合わせていた救急キットの一部を出し、それをグラハムに授ける。
彼らが行っていたことは、魔術鍛錬だ。
剣術稽古などというものではない。
魔術とは本来外界に放たれてはならない暗黙の了解があり、彼らはそれを守るために人里離れた場所で訓練をしていたのだ。
グラハムは、魔術師となった―――――――――。
かつての戦い、まだこの国が城を象徴として持ち続けていた時のこと。
既に一ヶ月以上も前の話にはなるが、バンヘッケンの戦いでのことだ。
彼らは、追い詰められていた。
マホトラス側に現れた「強力な兵士」により、撤退するか死ぬかのどちらかしか選択肢が無くなった。
普通の人間には、現れたその二人の人間があまりにも強い剣士に見えただろう。
だが、既にある特異な力の素養があるアルゴスやある男から見れば、それらの結果が魔術師によるものだとすぐに見て分かったのだ。
魔術師には魔術師でしか対抗できない。
それは、とある男が今はいないある少年と結論付けたこと。
つまりこの戦いに、元から勝ち目など無かった。
彼らは魔力を隠しながら魔力による加護を受け、強烈な力量を見せつけていた。
普通、魔術師は魔術師であることを隠す。
それがこの世界における隠された当然の掟だ。
彼らもそれを破らなかったし、寧ろその掟を破ったのは、グラハムにそれを授けたある男の方だった。
グラハムは、その男からすべてのものを授かった。
その正体こそが、魔力を帯びた石であった。
それが分かったために、
グラハムはあの戦いの後、この力を使えるようになるために、
既にその素養があったアルゴスに請うたのだ。
少しでも役に立つのなら、その力を自分に教えて欲しい、と。
「………なんとも、“グラウンダー”というのは扱いづらいものだ。お前に授けたその力をその男が使いたがらなかったのも頷ける」
「………どうでしょうね。俺は使っている姿を一度もみませんでしたから」
「それが普通なのだ。本来このような力などあるべきではない。まぁ、もう生まれ出てしまっては仕方が無いし、あるものは使う方が良い」
グラハムが手にした力は、決して外界に触れてはならないもの。
この世界にありふれていて、実は多くの人間がそれを知る機会があるものではあるが、
日常に隠れ過ぎていて意識されることが一切ない、特異な力。
魔術師となるために必要な、魔力を帯びた石。
そしてその石に刻まれていた特性が、五代元素で言うところの“地属性”にあたるものだった。
五代元素における地とは、世界を構成するうえで大地の役割を持つもの。
生まれながらの大地、変わり移ろう大地のそれを言う。
グラウンダーという言い回し方は聞きなれないものだが、確かにそれは事実ではある。
魔術師の中で地属性を扱う者を、グラウンダーと呼ぶ。
それが魔術師であろうと魔術を知った剣士であろうと変わらない。
地属性を扱う者は等しくこの呼ばれを受ける権利があるのだ。
少年が一ヶ月前にもらったこの石には、地属性の適性が含まれていた。
それに触れた瞬間、少年に魔力が備わり、強制的に地属性を有するようになった。
元から魔力を持っていた場合には状況が異なる可能性もあるが、少年は純粋に初めてこの時魔力を得た。
それは生きながらにして持ち得る生命としての魔力ではなく、この世界で特異とされる力、それも大地という世界を構成するうえであまりに不透明な、幅の広すぎる魔力だった。
因みに五代元素の地属性と、五代元素そのものを構成する魔力というものは異なる。
ルーンはこの自然界における源のような力。
それを直接やり取りして扱うルーンの使い手はいない。
魔術師は皆、力と力から作り上げられたあらゆる魔術を使用する。
地属性を持つ少年とてそのうちの一人なのだが、アルゴスが苦悩するほどこの扱いが難しい。
「今のは木の剣であったから悪いとも言えるが、それでも別の躱し方も出来たはずだ。たとえば、岩を用いて攻撃を相殺するなど」
「………それが出来れば苦労はしませんが。確かに地属性を持つ俺なら、岩を作り出して攻撃を防ぐということも出来るでしょうが………」
――――――――――それは、本来の使われ方ではない。
五代元素を含む魔術というものは、基本的に『攻撃型』に限定される。
この場に居ないアトリやフォルテというような人には、この五代元素の概念はそう重要ではない。
何しろ、水属性や風属性といった攻撃をあの二人は繰り出すことが出来ないのだから。
この世の魔術の大半は、攻撃型魔術によって構成されている。
そのために、地属性の持つ魔術も基本的には相手を攻撃するためのものだ。
護りにおいて有効的な手段を取るようなものではない。
アルゴスが言った例えは、火球を地属性の岩で出現させて威力を減少させるか、あるいは火球そのものを破壊出来ないか、ということであった。
だが攻撃型に属する地属性にとって、飛んでくる火球を防御するという使われ方はない。
しかも、岩としての機能をつければ、基本的には相手に向かって飛んでいく飛び道具になるのだ。
つまりこの場合、火球を破壊、もしくは威力減衰させるためには、地属性の持つ岩などを相手の放った火球にぶつけて相殺しなければならない。
そのような高等手段を、グラハムは心得ていない。
地属性の魔術を発動させた瞬間相手への攻撃が確定するというものでもないので、自衛手段に使うことも出来るだろう。
だが、結局根本は相手を倒すために繰り出される攻撃であるために、防御には使い勝手が悪いのだ。
もっとも。
大規模な魔術行使ともなれば、自衛手段を兼ねた地属性攻撃にもなるのだが。
「まぁいい。地属性の乗った剣が通常の剣よりも衝撃が強いと分かれば、時に相手を圧倒できることもあるだろう。魔力を持つということは、それだけで主の基礎能力を高めるということもある。お前は既に、以前よりも3倍もの力を手に入れている」
「………これで、上手く立ち回れると良いのですが」
「それに、魔術を使う機会など無い方が良いに決まっている。世間に知られてはならないのだからな」
そう。
どれほど厳しい状況に立たされても、基本的に周りに無知がいるのなら、この力は発動してはならない。
魔術というものが世間に知れ渡ってしまえば、そんな力があるのかと混沌をもたらすことだろう。
魔術行使をせず、かつ魔力を放出せず体内に循環させて戦わせる。
それで魔力を極限まで抑えることが出来れば、通常よりも戦闘力は桁違いになるだろう。
あの時、マホトラスの魔術師であるブレイズとリッターは、それを平然にやっていたのだ。
魔力は放出させず、体内のみで扱い自らの力を強化させる。
それは、魔力を得てから基礎的な能力が上昇したものとは、また別の力の上乗せだった。
あの二人にはそれが出来てしまう。
優れた魔術師であるのなら、それも可能だとアルゴスも言う。
一ヶ月ほどの訓練で、グラハムも人並みに魔術を使えているように感じているが、それは彼が魔術を行使して良い時に、しかもその力を全開にすることが出来るという条件が積み重なる。
彼らのように、いつでも好きなように扱えるほどの技量は、まだ持ち合わせていない。
もっともその手のことに関して言えば、アルゴスとて人のことをとやかく言うことは出来ない。
彼もまた魔術師で、それを常に隠し続けている。
だがアルゴスはこうも考える。
自らの命と魔術とが天秤にかけられた時、どちらを優先するか。
考えるまでもなかった。
相手を倒すことが出来ない、だが自分は殺されてしまう。
そういった時に、この世の中の掟など優先している場合ではないだろう、と。
「今日は仕舞いだ。戻るぞ」
「はい」
………。
名も無い森のようなところ。
僅か10分もすれば抜けられるだろう、アデナウの森などに比べれば遥かに狭い世界。
だが、狭いが故に密度が濃いようにも感じられる。
あえて強硬策を取ったアトリとフォルテは、行く手に壁のように立ち塞がるその木々の中へと入っていく。
道がここしかない、というのは単なる言い訳に過ぎない。
アトリがあえて迂回せずにここを選んだ理由は、時間を短縮する以外に目的がある。
木々の密度が濃いのと同じように、この空間は何か芳しくない。
アトリの直感じみたものがそう彼自身に訴えていたのだ。
彼は彼女に魔力で編んだ剣を用意するように伝え、そしてそれを受け取った。
いつでも戦闘状態に入れるように。
何故かと言われれば、単に危険な香りがしたから、としか言いようがない。
それを思わせるほどの要因があったかと言えば、無かったかもしれないと言うことも出来る。
だが、彼は今まで歩いてきた道とこことでは、何か空気に淀みがあると感じたのだ。
「フォルテ。何か分かるか」
「いいえ。しかし………気味が悪い場所、ではありますね」
「………ああ。同感だ」
木々の草は鬱蒼と生い茂っているために、地上の光が届きづらくなっている。
薄暗い空間に重々しく感じられるこの空気感。
長年の経験が言っている。“ここは注意した方が良い――――――――――。”と。
彼女はまだ数度しか戦闘経験を積んでいない。
だが、そんな彼女でもこの木々の間を抜けている最中は、いつも以上に気が入る感じはあった。
恐れはない。ただ周囲に気を配るそれが開けたところより鋭いというだけ。
もし戦闘が起こるのであれば、自立して戦闘するもよし、アトリを援護するもよし。
彼女は剣を使えると同時に、弓を扱うことも出来る。
接近戦になれば弓など不要だが、いざとなればどちらの手段を取ることも可能だ。
その点では、経験を積んでいるアトリと同じような機転を利かせられる。
彼は剣だけでここまで極められてしまった存在なのだ。
それに比べれば、自分の技量などまだまだ………。
「っ………!!」
どうやら、そうも言っていられないようだ。
突如“飛来”したそれは、真っ直ぐに標的を捉えて―――――――――――。
「フォルテ、伏せろ!!」
―――――――――――その標的にされた者の声が、木々を貫いて辺りを響かせる。
黒い大きな物体が一直線に、アトリのその懐を狙っていく。
陰のようなものの大きさは人のそれと言えるだろう。
鋭い動作と簡潔で分かりやすいその仕草。
間違いなくその陰が握っている短剣を、アトリの懐を狙って突き刺した一撃であった。
まさか、アトリはこうなることを読んでいたのか。
いや自分にも嫌な予感というものはあったが、アトリのそれはもはや相手が誰なのかさえ推察して、分かったうえでの対応だった。
と、彼女には思えた。
だからだろうか。
アトリの一連の流れが非常に滑らかであった。
陰がその懐を狙って突撃する、その瞬間に身を翻して、更に同時に剣を振るった。
「―――――――――――――!!」
しかし、その陰も流石と言うべきか?
アトリが瞬時に振るった剣は、陰が持ち得るその短剣と衝突して、火花を散らせた。
彼女が伏せ、アトリが二撃目を入れる。
アトリの攻撃は、人型をした陰の懐を鋭く斬り裂く一撃。
だがそれを嫌った陰は、真っ先に回避行動―――――――――彼の間合いから離れ後退した。
「お前………!!」
「………お久しぶりですね。お噂はかねがね聞いております」
木々の隙間から、草の茂みの合間を縫って、光が届く。
その照明にあてられた陰の正体は、マホトラスの変装名人であり魔術師の女性、ゼナだった。
………。
4-2. 来襲




