10人の3つの願いを叶える妖精
①木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「腹が減った、ソーセージが欲しいな。」
すると目の前にソーセージが現れました。家に帰って妻に報告すると、妻はこう言いました。
「なんでソーセージなんか頼んだんですか、もったいない!そんなに好きなら鼻にソーセージをくっつけてればいいんだわ!」
するとソーセージが木こりの鼻にくっついて取れなくなってしまいました。木こりと木こりの妻は最後に木こりの鼻からソーセージを取るように願いましたとさ。
②木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「サッカー選手になりたい、歌手になりたい、宇宙飛行士になりたい」
次の日、木こりはどれか一つでもハードスケジュールな職業を3つも掛け持ちしてクタクタになり、3つともやめてしまいましたとさ。
③木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「無病息災、家内安全、諸願成就」
「あなたは至って健康で、いい家庭もお持ちです。諸願叶っているではありませんか。」
妖精はそう言うと消えてしまいましたとさ。
④木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「1つ目、金の斧が欲しい。2つ目、銀の斧が欲しい。3つ目、その2つを湖の神様に捧げたい。」
⑤木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「I grant three wishes of yours because of your benefactions.」
木こりは答えました。
「アー…ジャパニーズ、オーケー?」
「japanizu?」
妖精と木こりは意思疎通が取れず、妖精はそのまま消えてしまいましたとさ。
⑥木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「你因为积累着善行,能实现三个拜托吧。」
木こりは聞こえないふりをして仕事を続けましたとさ。
⑦木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「可愛い娘が欲しい、大金持ちになりたい、不老不死の薬が欲しい。」
「竹やぶに行きなさい。光る竹の中に全部入っています。」
⑧木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「第一に、お前を人間にしたい。第二に、お前を養子にしたい。第三に、幸せな家庭を築きたい。」
「そんなこと言われたの初めてです。でも、こんなに嬉しいことがありましょうか。」
妖精はまず、自分を人間にしました。すると、妖精だった人間はこう言いました。
「今から私は人間です。あなたの願いを叶えられなくなりました。」
その後、妖精だった人間は自由気ままな生活を送りましたとさ。
⑨木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「そんなご褒美いらない。妖精にはわからないかもしれないがな、人生ってのは自分の力で切り開くものなんだ。そんなご褒美に頼ってことを成し遂げたとしても、達成感もなけりゃ感動もない。」
自分の存在意義を否定された妖精は、しぶしぶ消えて行きましたとさ。
⑩木こりが森で木を切っていると、切り株に妖精が座っているのを見つけました。妖精は木こりにこう言いました。
「これまでのたくさんの良い行いのご褒美に、3つ願いを叶えましょう。」
木こりは答えました。
「叶えられる願いを無限に増やして欲しい。」
「わかりました。ではあなたを私と同じ妖精にしましょう。」
次に木こりが目が覚めたとき、木こりは妖精になっていました。欲張りすぎたために良い行いをしている人を探しては願いを叶えてやるという使命を課せられてしまったのです。それからというもの、木こりは永遠に死ぬこともできずに人の願いを叶え続けましたとさ。