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キミボク  作者: きつねさん
委員長(コロさん)の場合
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クレールの解法

血みどろ失楽園というVRMMO

異世界転生

主人公で召喚士のソニア(要)とネルヴァ(召喚された人化狼メイド)が獣人の国でいろいろ

迷宮都市でスタンピード

地球でのクラスメイト委員長のころさん(千代田一葉)の異世界転移

クレールとの出会い

スタンピード(←今ここ)


スタンピードの対処をするにあたってクレール(偽名)が準備した事は一つ。

スタンピードが来る方に大きな壁を築くことだ。


村長はそのありえない、ともいえる魔法を見て、「これならどうにかなりそうだ」と安堵し、帰った。

他の村人たちもこんな壁を築ける魔法使いがいるなら生き残ることはできるだろう、と思い、

むしろそんな魔法使いを雇うなんてどんな対価を要求されるのか、と不安の方向がシフトしていた。


しかし、この壁、実はただの幻術で実際にはその空間には何もない。

うっとうしい村人たちからこれから自分が行う事を隠すためのものだった。


ちなみに、この壁は幻なので当然触れないのだが、なんとなく触ろうと思わない、程度の思考誘導がある。

そのため、この壁が幻術だと見抜けるのはある程度魔法の才能がある人物だけだが、そんな人物はいない。

そんな者がいないことは確認済みである。


そして、村人が安心と少しの不安を感じながらクレールの指示に従い家に戻っていった後、

その場に残ったのはクレールとクレールがもらっていくといった三人だった。


「さて、眷属たち。あなた達は適当にスタンピードに突っ込んでかき回しなさい。

 パワーレベリングも兼ねてるのだからできるだけ多くの敵に攻撃するのよ。」


スタンピードに一般人を突撃させるという無謀な命令。

しかし、今となってはすでに彼女ら三人はただの一般人ではない。

クレールに改造され、眷属にされたのだ。ずいぶん強化され、クレールの命令に従う存在となっている。

だから、彼女らは恐れを抱かずにスタンピードに突撃していく。


眷属、ゲーム時代ではフレーバーテキストでしかなかったクレール(偽名)の能力である。

ストーリー上ではそういう話や描写もあったが、プレイヤーは眷属の存在自体を気にすることもなかった。

眷属と戦う事もなく、眷属の情報がストーリー上の分岐にも関係なかったために。

そもそも眷属の情報は相当とがったストーリーの進め方をしないと出てこないため知らない者も多い。


「村長には大変だといったけど、別にあの程度群れ、命がけでも切り札を切るほどでもないもの。

 せいぜいあなた達が私の役に立つように活用しましょう。」


そう言いながらクレールは自分の準備を行っていく。

準備をしていてクレールはある事に気づく。


「あら、ここ、室内扱いなのね。魔物の群れを見えなくさせてる結界が家扱いされてるのかしら?

 余計に楽になるわね。というより、結界程度で室内扱いになるなんて私の能力って結構がばがばね。」


室内だと能力が上がるクレールにとってこの判定はありがたいものだった。

もし結界が解けて室内判定が消えた時に備え、対応策も準備しておく辺り準備万端である。


眷属たち三人の戦闘の様子を見てみるにどうも苦戦している様だ。

今も、小さいの(孤児のクク)が腕をかみちぎられたところだ。

普通なら大けがだが、その怪我は黒いもやをまとったこぶしで近くの魔物を殴り倒すと消えた。


「奪命はちゃんと受け継がれてるようね。この調子なら援護はいらなさそうね。

 適当に時間をつぶしてから群れを喰らうとしましょう。

 あまり早くに殲滅してもパワーレベリングとしては微妙で、村人に変に思われるのも面倒だもの。」


この小さな村、どころか都市さえ飲み込んでしまうようなスタンピードに対してクレールは余裕だ。


「・・・・・・暇だし、時間つぶしに実験でもしておきましょうか。」


と、クレールは自身の得意技能である各種状態異常魔法を魔物にかけたり、眷属の三人娘にかけたりして

自身の能力を確かめていっている。急にデバフがかけられる三人娘たちははた迷惑なものだが、

眷属であるゆえにクレールに異を唱えたりしていない。


「状態異常の通りが異常にいいわね。室内、という事を含めても素晴らしいわ。

 こっちの世界ではそもそも状態異常魔法事態の効果が強くなっているのかもしれないわね。」


そんな考察をしながらクレールは待つ。

そして眷属たちがかなりの数の魔物に攻撃をし、もう十分だと思ったクレールによって撤退させられた後。


眷属たちが攻撃に使っていた黒いもやがクレールから大量に吹き出し、魔物達のいる場所を覆っていった。

逃げようとするもの、原因のクレールに突撃しようとするもの、混乱して仲間を攻撃しているモノ。

様々な魔物達が入り乱れる中、靄の量は増えていき、魔物達を完全に覆い外から見えなくなった。






しばらくしてクレールはもやを回収していった。


後には何も残らない。

こちらに迫ってきていたスタンピードはその姿を消した。

そこに魔物の群れが迫ってきていたのだと分かるのは森の木々が倒された後だけとなった。

それも木に擬態する魔物や、地面から急速に生えてきた木や草たちにだんだんと、消されていっている。


眷属の三人娘は震えていた。あれだけのスタンピードを一瞬で消し去った自分たちの主の力に。


そしてクレールも震えていた。

あれだけの規模のスタンピードを喰らいつくしたHP、MP吸収攻撃。

それによって得られたかなりの量のエネルギーに。


「プレイヤーの方がレベルもステータスも高いのにエネルギー量的にはこっちの魔物の方が高いのね。

 プレイヤーから吸う必要性がますます薄れるわね。ただでさえ耐性のせいで吸いづらいのだもの。」


プレイヤーに対する吸収攻撃の効果を思い出して、その効率の悪さ、プレイヤーの理不尽さを

思い出しながら、こっちの世界ではいかに生きやすいのかを理解する。

個人差が大きいのだが、例としてはプレイヤーに対しては数パーセントのHPしか据えなかったのに対し、

今回魔物達に対しては80,90%ぐらい吸えている、と聞けばその差を理解できるだろうか。


「ん・・・・それにしても、高ぶるわね。ちょっと興奮が抑えきれないかも。」


ゲーム時代では決して起こりえなかったHP,MPの限界値を越えての過剰回復。

吸ってみて、何も起こらなかったからよかったものの、膨らみすぎた風船のようにパン、と破裂

する可能性も考えられた。しかし、現実ではいろいろと高ぶってはいるが、体に収まっている。

収まってはいるが、収まっているからこそ困る事もあるわけで。


「あー、もう、本当にどうしようかしら?」


村に戻れば歓迎の宴でも始まりかねない。

そこでいきなり主役が退席すれば何があるのかと要らぬ推測を生みかねない。

別にそれは困る、という程の事ではないのだが、うっとうしい。


そんな風に、高ぶりながらも考えを進めているクレールの視界に三人娘が目に入る。

ある案を思いついたクレールはその案が実行可能かどうか検討し始める。


・・・・・・・可能だ。

少なくともクレールはそう判断した。

幾分、楽観的な思考は入るものの、別にそう完璧にしなければいけない事ではない。

計画を実行に移すことにして、とりあえずこの場は撤収することにする。


魔物達はすべて吸ってしまったので、今回のスタンピードで得られた素材はゼロである。

その反面、解体、という煩わしい作業をしなくていい。

まあ、クレールの場合、解体をする必要があったとしても

ほかの人に任せただろうからあんまり関係のない話ではあるのだが。









宴が行われていた。

一応名目としては三人娘の送別会。

今回、クレールについていく事になったのでその見送りを宴のネタにしてしまおう、という判断だ。

クレールのスタンピード撃退(実は殲滅)を宴のネタにしようとしていた村長だが、

クレールが、それを宴のネタにするなら依頼料を吊り上げるぞ、という脅しに屈し、

宴の進行を任される村長がそういう風に広めたのでみんな純朴に信じたのだ。


さて、みんなが飲み食いし、騒いでいる時、クレールはいったい何をしていたのか。

ただただ、家で待っていた。

おそらく今日帰ってくるであろう存在を待って。


「・・・・・・来た。」


玄関の方で聞こえたガチャリ、というかすかな音に反応して期待を膨らませるクレール。

その足音の重さと装備の触れ合う音でその相手が誰だかクレールは分かっていた。

というより、相手にマーカーとしてクレールの保有する【闇】の一部をつけてたからどこにいても分かる。


「あー、疲れた。ダンジョン攻略があんなに大変だなんて初めて知った。

 あれならもうちょっと準備してから行けばよかった。

 まあ、ダンジョンも攻略できたし、村の人たちも助かるだろうからいいけど。」


そんなことをつぶやきながら相手はリビングに向かっている。


クレールの嗅覚にかすかに相手のにおいが伝わってくる。

金属のにおいと汗とか、いろいろなにおいが混ざった体臭。


「ん、やっぱり我慢できそうにないわね。する気もなかったけど。」


クレールはひそかに行動を開始する。

魔力(MP)を隠し、ゲーム時代では気と呼ばれていたSPを隠し、隠蔽系のスキルで生命力(HP)を隠す。

相手はサーチ系の技能は何も持っていないのは知っているが、念には念を入れ、だ。

そして自分の気配をすべて隠したクレールは相手がベッドに入るのを待つ。


想定ではいろいろとお風呂に入ったりで、なんだかんだ結構時間がかかると想定していたが、

その時は意外と早くにやってきた。

よほど疲れていたのか、対象がお風呂にも入らず、ごはんも食べずにベッドに向かっていったのだ。


「ふふっ」


クレールは人知らず、含み笑いを漏らした。











「あー、疲れた。ダンジョン攻略があんなに大変だなんて初めて知った。

 あれならもうちょっと準備してから行けばよかった。

 まあ、ダンジョンも攻略できたし、村の人たちも助かるだろうからいいけど。」


ころさん、こと委員長ちよだは無事ダンジョンの攻略を終えて帰ってきたところだ。

命の危険的に大変な事はなかったのだが、迷子的な方向や、迷路的な方向で大変だったのだ。


結局一番下にダンジョンコアはあったのだが、そこへ行くためには一度上ってから降りなければ

いけなかったので、正解の道を探しあてるまで、そこそこの時間がかかってしまったのだ。

その間、いつ敵に襲われるか分からないのでずっと緊張しっぱなし。

道順も覚えなければいけないので戦闘そのものの難易度は低くても戦闘中も方向感覚を忘れない様に

しなければいけないので大変。もちろん、道順を忘れない様にすべて記憶していかねばならない。

しかも、周りはずっと代わり映えのない洞窟。

道に迷っているのか、ちゃんと進んでいるのかすらわかりづらい。


そんな極限状態を普通の高校生が経験している訳もなく、耐性は全くない。

そういうわけで頃さんは精神的にかなり参っており、かつ、へろへろだった。


家の扉を開け、リビングに入る。

取りあえず一息つくためにメニューを操作し、装備を解除してソファーにドカッ、と座り込む。


「ふあー。」


疲れからそんな声が漏れる。

ころさんはソファーにゴロン、と寝転がり、だらしないとは思いながらもその状態のまま

インベントリから水筒を取り出し、水をごくごく、と飲みこむ。

飲みにくいうえに少し水がこぼれてソファーを濡らすが、疲れているので気にしない。


そうやって寝転がっていると思わず眠りそうになる。

村の方からにぎやかな宴会の音が聞こえてくるが、その騒音すらも今のころさんには子守歌になる。


「あー、お風呂入らなきゃ。」


元女子高生としてお風呂に入らないことはあるまじきことだ。

しかし、やはりそれすらもおっくう。

そもそも、同居しているクレールがお風呂に入っていたとしても冷め切っているはず。

もう一度沸かし治すのもめんどくさい。


「・・・・・・・・もういいや、せめてベッドで寝よう。」

インベントリからこの村で買った旅館にある浴衣みたいな服を適当に着て寝室に向かう。


もちろん、クレールのいる部屋に間違えて入ることなどない。

もし入ってしまったら何と言われることか。あの毒舌は何気にこたえる。


お世辞にもふかふかとは言えないベッドではあるが、何枚も布を敷けば少しはましになる。

そういった工夫の結晶であるベッドで横になる。


疲れていたので眠りはものの何十秒で訪れた。










「ああ、これからこんなクズと交わるなんて。

 本来なら私のような存在には触れる事すら許されないような存在に。

 しかも私は初めてなのに。

 初めてがこんなクズなんて・・・・・・・・・なんて興奮するのかしら!

 全く、それもこれもスタンピードのせいね。あれで吸収しすぎてうずいているのだもの。

 そう、だからこれは別に私の意思じゃないのよ。」


眠い。誰かの声がする。

自分の腰の上あたりに何か温かいもの重量を感じる。

それからは何やら甘いにおいがするし、眠気も相まってなんだか頭が回らない。


「あら、起きたのね。

 まあ、相手が寝てる初めて、っていうのもつまらないもの、いいわ。

 起きて、これからの出来事を記憶する事を許すわ。」


ああ、わかった。これはクレールの声だ。

けどクレールってこんな濃くて甘いにおいなんてさしてたっけ?シャンプー変えたとか?


「クズはほんとに寝ぼすけね。

 私の裸体を拝めるのだから、たとえ目にと唐辛子を吹きかけていられようが目をかっぴらいて

 記憶に焼き付けようと努力するべきなのよ。」


あれ?クレール、裸?

だんだん、目が覚めてきた。

覚めてきたから気づく。体がほとんど動かせない。


「ああ、無駄よ。今のあなたは状態異常のオンパレードなのだもの。

 知ってた?ステータスって寝ていたり、気を抜いてたらちゃんと発揮されないのよ。

 普段全然通らないくせに無防備に寝てるあなたには気色悪いくらい状態異常が通ったわよ。」


えっ、ちょ、ちょっとまって。これどういう状況!?


「あ、あの、クレールさん?待ちましょう。」


「だめよ。

 私、いろいろあって今、かなりうずいてるの。」


ちろり、とクレールの舌が口から覗く。

すんすん、と鼻を鳴らし、こちらの体臭をかいでくる。

クレールの手が寝間として着ていた浴衣もどきに伸びる。


「まって、いろいろ待って!私初めてだから。そもそもクレールのその体じゃ」


言葉を遮るように口を口でふさがれる。



「あら、奇遇ね。私もよ。

 だから、ね。おとなしく私を楽しませなさい。義兄おにいさん」













ちゅんちゅん


やってしまった。

まごう事無き朝ちゅんだ。なんか鳴いてるし。しかもその相手が、見た目だけとはいえこんな子と。

私が女子高生だけどころさんみたいなゲームキャラに入ったように

クレールも大人の女性がクレールっていうアバターに入ってるんだろうし。

だって、やけに積極的だったし、なんかいろいろ知識もあったしで・・・・・。


というかベッドが臭い。

自分の出したものなんだけど・・・・・。


「あー、もう、なんなの!」


なんかイライラする。

睡眠時間なんてほぼなかったけど「ころさん」の体は高性能だから全然問題ないけど、精神的に。


それもこれもクレールのせいなんだ。

あんな、あんなことするから。


ひっぱたいて、起こして、文句を言ってやろう、とクレールの方を向いた。

慌てて目をそらした。


・・・・・・なんだろう。なんか見ちゃダメな気がする。


目を向けた先に見えたのは布団を半端に被っただけのクレール。

寝落ちした感じだったからもちろん服も着てない。


同性だけど・・・・・いや、元同性か。

元同性だけどなんかクレールがすっごく淫靡なものに見える。




はあ、とりあえずお風呂沸かして入ろう。


「あら、女をほったらかしてどこかに行こうなんてやっぱりあなたはクズね。」

「いや、お風呂絵を沸かしに行こうと思ってたんだよ。」


いやいや、なんで私言い訳してるみたいになってるの。ここは怒るところでしょ。

色々と状態異常をかけられて身動きできない様にして襲われたんだから。


「クレール、言いたいことがあるの。状態異常にかけて襲うだなんて悪いことでしょ!」


怒った顔をつくってクレールにしかりつけるもクレールはちっともこたえた様子がない。

それどころか大きなあくびを一つながらこっちを見ているだけ。

その普段と違って無防備な様子をかわいいと思ってしまうのが悔しい所。

そしてそんな顔をおさめたクレールはとんだ爆弾をなげてきた。


「でもよかったでしょ。」

「・・・・・・ぇっと、そういう問題じゃ無くない?」


カーッと顔面が赤くなるのを自覚する。

今は状態異常にかけて襲った事を怒っているわけで、だから状態異常をかけるのをおこってるんだから、

えーっと、だから何だっけ?


「はいはい、そんな混乱するような事じゃないわよ。全くこれだから童貞は、って今はもう違ったわね。

 それに状態異常、途中で解けてたでしょ。」

「えっ!?」

「呆れた、そんなことにも気づいて無かったの?だから、半分ぐらいはあなたの意思よ。」


えーっと、つまり?


「つまり、今、ここで私が叫べばあなたは性犯罪者、ってことよ。」

「えっ、そのつながり方おかしくない?」

「おかしくないわよ。そもそも、十のうちすべてこっちが悪くてもこういう場合は女の方が強いの。

 さあ、分かったなら初めの予定通りお風呂を沸かしに行ってくれるかしら?

 あなたのせいでいろいろとくさいの。」


元女として釈然としないものを感じるものの、この場から逃げるためにお風呂を沸かしにいく。

お風呂を沸かすのはめんどくさいものの、体が高性能なのでしんどくはない。








ポツン、と残された部屋で一人たたずむクレール


「はあ、全く近接戦闘職の体力をなめてたわね。しかも途中で状態異常が解けるなんて。

 意識のある時は全然状態異常がかからないし。

 こっちが集中できていない状態だったにしてもあのかからなさは何なのよ。

 プレイヤーにしても、って、あいつ、タンクって言ってたわね。

 なら状態異常系に抵抗できるようなステータス構成をしている可能性があるわね。

 全く、その程度にも気づけなかったなんて私も未熟ね。」


そうやってひとしきり愚痴った後で今度は黙り込んで何事かを考える。


「・・・・・・・・・」


そっと、先ほどまでいた男のいた場所に手を置くクレール。

そこにはかすかにぬくもりが残っていた。


「・・・・・過剰吸収で高ぶっていたにしても私はどうしてあの男を、

 別に他の娘でもいいはずなのに。」


ふと浮かんだ、なんで相手にころさんを選んだのかという問い。

しかし、それに答えが出ない。答えが分からない。

そもそも、クレールにとってころさんは選考対象にすら入らないはずだった。


「私は・・・・・」



「クレール、お風呂沸いたよ-!私も早く入りたいからさっさと入っちゃってー」


遠くからちょうどいま考えていた男の声が聞こえた。


「はあ、タイミングの悪い。私の考え事の邪魔をするとは、あとでお仕置きね。」


取りあえずお風呂に入りたいのは事実。

ポイ、と考えていた事を放り捨てて、スッと座っていたベッドを降りてお風呂へ向かう。





「アナタも一緒にお風呂に入るのかしら?」

「はいらないよっ!」


取りあえず今が楽しければいい










お風呂に入ったり、マッタリしたりでそれなりに時間は経っていく。


「で、あなたはこれからどうする予定なのかしら?」

「うーん、村の人に聞いたんだけど迷宮都市っていうのがあるらしくてそこに行ってみようかなって。」

「そう」


などという会話がなされて次の行き先が決定した時にはもう太陽は中点に差し掛かっていた。

そして翌日出発した時になんか三人がクレールについてきていてころさんがびっくりするのはまた別の話。


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