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キミボク  作者: きつねさん
仮想世界と要
3/51

警察 

十月十九日、最後に少し付けたし、少し修正

通報があった。

なんでも近隣の家屋から絶叫が聞こえたとか。

近ごろの若者は困る。周りの人の迷惑を考えないのだから。


ピーンポーン

「はい」

「すみません、警察の者ですが。今はやんでるみたいですが叫んでいたっていう家はどこですか?」

さすがにずっと叫んでいるのは喉がやばい。そして頭も。

幸いそんな事はなく、駆け付けた時にはもう絶叫など聞こえなかった。

それでも一応、注意だけはしとかないと。

もう叫ばないようにって言うのと、もしやけになって犯罪でも犯すかもしれない、両方の意味で。

だが、でてきた主婦の様子はおかしかった。

「ああ、やっと来てくれたのね。あの家、あの家よ。あの家から絶叫が。

 こう、断末魔みたいなあの家のご夫婦の声が。

 それからさっきほかの男の断末魔が。とにかく早く様子を見てきてっ!

 このままじゃ安心できないのっ。」

「っ。」

絶叫ってそっちかよ!

それなら断末魔って言ってくれよ。そうしたら昼間っから飲んだくれて前後不覚になったお姉さんの世話とかほっぽり出してきたし、自転車も全速でこいできたのに。


走って主婦の人が指さした家に行く。

チャイムを鳴らす。・・・・反応はない。やばい、これは本格的にやばい。

庭の方に回る。幸いこの家には縁側があった。

俺は庭に放ってあった金属バッドを思いっきり振り回して窓ガラスを割る。

幸い合わせガラスではなく強化ガラスだったからすぐに割れた。

破片をのけて中に入る。

ところどころに血の跡があった。

何処だ?俺は慌てて探した。そして見つけたのは横たわる四人の姿だった。

「救急車っ、119だ。」

慌てて携帯を取り出し電話する。コール音がうっとおしい。

「はい、こち――」

「救急だ。四人倒れている。大人三人子供一人。」

「状況をご説明ください。」

「血まみれだ。かなりの出血量だ。あ、いや子供から血は流れていない。

 大人三人から血が流れている。」

「場所はどこですか?」

「あっ?ここどこだったか。」

寝室のテーブルに手紙が見えた。この家当ての奴だ。

「住宅街だ。住所を言うぞ―――――――。」

「はい、分かりました。すぐに救急車を向かわせます。

 けが人の状況を詳しく教えてください。」

「状況って、・・・・・ひとりは胸、ひとりは腹、一人は背中が刺されてる。そこから出血している。」

「では、布などで出血部を縛ってください。」

そうだ、応急処置。警察官になる時に学んだだろう。

俺は携帯をスピーカー状態にしてベッドに放り投げる。

布、布、この人たちの来てる分でいいか。とにかく何かで縛らないと。

取りあえず全員布で縛った。

奥さんの分はさすがに脱がすのはどうかと思ったから、腹の傷が見えるところまで服をまくってから、

俺の制服で縛っておいた。

今できるのはここまでか。


次は警察に連絡だ。犯人逮捕には何より初動捜査が大事だ。

「はい――――――――」

「三人が刺されています。犯人は不明。住所は―――――――――」

「ではその場で待機してください。あなたの電話番号と氏名と発見した状況をお教えください。」

「警察官です。柳 透巡査です。近隣住民からの騒音苦情の連絡を受け行った所、発見。

 あっ、救急車が近くまで来たので誘導しますので。」

住宅街ではどこの家がそうなのか分かりづらい。誘導しないと。

電話を切る。




全員助からなかった。

子供はもともと怪我をしていなかったから大丈夫だったが、

他の三人は出血多量で死んだ。
















「分かりません。気づいたら二人が三人に増えていました。」

「そうか、両親の事はつらかったな。」

「いえ、まだ実感がないので。」

「そっそうか。

 それでつらいと思うが・・・・その、あの男を教えてくれないか?」

「お父さん、お母さんが血を流して倒れていました。そこにあの男がいました。

 家の窓のカギはすべて閉まっていました。玄関のカギを開けて入ったのでそこも閉まっていました。」

その少年は虚脱状態と言った状態だった。

質問されたことにただ答えるだけだった、賢くはあったから聴取に問題はなかったが。

むしろ聞きたいことをすべて先に答えてくれた。

質問していた警察官が一回外に出る。


「どうだと思う?」

「ああ、あの男が殺人犯で決まりだな。それであの子があの男を刺した、と。」

「ああ、あとは証拠を集めて決まりだな。それにあの少年も正当防衛になるだろうな。

 あの男がナイフを持ったまんまだったからな。

 あのままだったらあの少年が殺されることになっていただろうし。」


その後少年の正当防衛は普通に成立した。



「ところでお前、ホウレンソウはどうした?」

「ほうれん草ですか。あんまり好きじゃないですね。」

上司が突然ほうれん草の話をしだした。なんなんだろう。

「あー、これ分かってねえな。状況が状況だから許してやろうかと思ってたが。

 よし、お前減給な。それから始末書もかけ。」

「えっ、何のですか?」

「同僚にでも聞け。」


上司に言われた通り同僚に聞いたところホウレンソウというのは報告、連絡、相談の略らしい。

ちゃんと報告したじゃないか、と思ったが家に突入する前に報告しとけよ、と同僚に笑いながら言われた。

そういうことか、と思ったがあの状況では一分一秒を争う。

・・・・・今回は誰も救えなかったが。

はぁ、とりあえず始末書を書こう。



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