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短編ごった煮

その先にあるものは

作者: 白樺 小人



 必要ない、とののしられ


 不要だ、とあざけられ


 お前なんか要らない、と殴られた



 なぜ生きているのか

 なぜここにたっているのか


 なぜなぜなぜ……


 問いは尽きない

 けれど、それでも生きている


 それでも生きたいと思っている?

 いや、生きようと思っているわけではない

 ただ道具として存在しているだけだ

 道具は道具らしく役に立たなければならない

 役に立たない道具は不要だと捨てられるだけだからだ


 役に立つためにここにいる?

 いや、役に立つためにいるわけではない

 道具に意思は無いのだから

 ただ道具は使い手の意思に従うだけ

 口答えをせずただ望みをかなえるだけ



 役に立たない道具は不要だ

 そういって廃棄された道具もあった



 お前の居場所はもうここには無いのだ、と殴られた

 お前の役目は終わったのだ、とあざ笑われ

 お前は必要ないのだ、と捨てられた


 必要の無いお前に居場所も必要ないと言われ

 役に立たないお前は死んでしまえ、と口汚く言い放たれ

 貴様のような道具の代わりはいくらでもある、と笑いながら告げられた


 道具であるから涙も出ない

 道具であるから言葉も出ない

 道具であるから心も動かない

 道具であるから、意思が無い


 道具であるがゆえに、何も思い浮かばない


 どこへ行くのだろうか

 どこへ向かうのだろうか

 どこに意味があるのだろうか


 ある日、一人の少女に出会う

 初めて必要とされた

 初めて手を差し伸べられた

 初めて、笑顔を向けられた


 ……初めて心を知った


 嬉しいこと

 悲しいこと

 憎いこと

 羨ましいと思うこと


 色々な感情を知った

 

 色々なことを学んだ

 色々なことを教えられた


 色々なことを一つずつ学んでいった

 さまざまな事を知っていった


 知らなかった

 今までただ何も望まず何も願わず

 何も知らないまま

 言われるまま言葉に従うだけの人生だった

 だから今、ようやく知った

 学んだからこそわかったことがあった

 理解することができた


 理解したからこそ、恐ろしかった

 理解出来たがゆえに怖くなった


 失うことが怖くなった


 何も無い

 だからこそ恐怖も覚えることは無い

 感情すらないのだから

 だから恐れるものは無い

 知識も無いのだから


 死ぬ、ということは動かなくなること

 死ぬこととは、道具としての仕事がまっとうできなかったこと

 死ねば、全てから解放される


 知識を得た今、恐怖が常に付きまとう

 失うことを恐れる

 手に入れた小さな幸せ

 得たゆえに失う事を恐れる


 初めて必要とされた

 初めて手を差し伸べられた

 初めて、そのままでいいと、いわれた


 初めて、生きていいのだ、と知った


 その思いが恐怖を教える

 その思いが恐れを抱かせる


 それら全てが恐ろしいと感じた


 生きている限り逃れることの出来ない感情

 でも死のうとは思わない

 死ぬことは望まない

 望みたくない


 何を選び取るのか

 何を学び取るのか


 差し伸べられた手

 その手を守るために、選ぼう

 選択する

 何が正しいか

 何が過ちか


 今が選択のとき

 守るために選ぶ

 心を得た今、自分の大切なもののために選ぶ




 選び取った先に何が待つのかは、誰も知らない






遠い昔に書きなぐっていたのをUPです(笑)

昔すぎて手直しする場所がまったく思い付かないという素敵現象。

もうこれでいいんだよ。

……きっと。

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