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異世界旅路  作者: ∀∀∀∀
迷子のぅゎょぅじょっょ(ry
18/21

豪華客船、では無い

投稿が随分遅くなってしまった、せめて一週間に一回は最低でも更新したい物だ


ちなみに今回の文字数は6000文字数位、つ、疲れた

海の上を一隻の船が水面を切り裂きつき進む、広大な海の上にポツンと一つだけ浮かぶ姿はある種の孤独……と言うより閉鎖的な恐怖が掻き立てられる、だがそれを海の透き通る青さが打ち消している、何処までも続く青い海と空、揺れる水面に写る魚達、サンサンと照りつける太陽に船の周りを飛び回る鳥達……


うーん、昼寝してぇ……


ブリッジと言われる場所には俺以外の人影が無く、軽い貸切状態だ、上を見上げれば飲み込まれるような青空と幾つかの浮雲、そしてマストに止まって羽を休める鳥みたいな何か、海の匂いが潮風と共にやって来る


貸切状態って言ったって、港街を出てからずっと貸切状態な訳で、良い加減当たり前の騒音と言う物が恋しくなって来るな、レイチェルは直射日光から逃れる為なのかずっと部屋に引き篭もってるし、俺も部屋に引き篭もってレイチェルとでも話せば良いんだろうが、良い加減飽きてきた、レイチェルとの会話にと言うよりあの部屋に居続ける事にだが、出る時に恨めしそうに此方を見て居たのが印象的だったな……、いや何時もツリ目だったな、微笑みと言うより冷笑を浮かべる事は有るが基本は退屈そうな顔か物憂げな顔か怒ってるのかと思う顔だもんな、以前怒ってるのか聞いた事が有ったが、それ以来ふとした拍子にツリ目とキツく結ばれた口を何とかしようと七面相をしているが、バレないとでも思ってるのかな、笑わないようにするの結構大変何だけど……


レイチェルの顔を思い出して含み笑いをしていると、背後のドアがデカイ音を立てて開かれた、ダダダッと人が走って来たので振り返れば案の定、この貸切状態に10割10分丸ごと隅から隅まで余す事無く疑う余地無く全責任を持つ奴、ユフィが走り寄って来た


この船に乗り込む前に一悶着起こした相手だが、そのそもそもの原因である俺のコイツに関わりたく無いと言う願いが、逆にユフィの何かに触れたらしくここまでやって来やがった、ユフィは何処かの偉い人の子と言う事しか言われなかった、正確に言えば言おうとしていたイケメン、ジンをユフィが止めていた形で聞いていないんだが、親に何か後ろめたい事でも有るのか、それとも家出幼女なのか……


どっちにせよ、この二カッとした笑顔を向けて来るコイツが、怒りに任せて船を丸ごと買い占めて俺達を無料で目的地に送る馬鹿で有る事には些かの違いも出ない訳だが


多少溜息が出るのも仕方が無いだろうさ、なんせレイチェルがやろうとしていた事と同レベルの事を仕出かす幼女だ、まず間違いなく普通じゃない、俺とレイチェルだけは船で連れて行ってくれるそうだが、そもそもお前が船を船員ごと丸ごと買わなけりゃ良かった話なのにと俺は声を大にして言いたい


部屋に引き篭もって居た間は接触が無かったが、一度出ればずっとスタンバッてたのかと思うような速さでエンカウントした、それからはしつこく旅の話をせがんで来たので流石にもう逃げられないし、旅の話をする代わりに条件を出したんだが、果たしてどうだったのかな?




「ふふん、しっかりと許可を取って来たのじゃ、妾に感謝するのじゃぞぬしよ」


「本当に許可を取って来たんだな?

嘘は言っちゃいけないからな?」


「嘘など付いてないのじゃ!

と言うかそもそもこの船は妾が買ったのだからどうしようと妾の勝手なのじゃ、それをなぜ許可など取らねばならんのじゃ……」


「そらお前、流石にいきなり行ったら迷惑極まるだろ


それより許可は出たんだな?」


「バッチリなのじゃ」


「であればちゃちゃっと行くとしようか」


「あ、待つのじゃ妾を置いて行くで無い!」




許可が出たらしいのでユフィが出てきたドアから船内に入る、すると後ろからまたダダダッとユフィが走って来て隣に並んだ、満足そうに笑うとそのまま歩き出した


一体何故にこんなに懐かれたのか謎である、そもそも俺はコイツに無視位しかしてない気がするんだが、そんだけ旅の話が聞きたいのか、だとしても可笑しな話だ、コイツ自身も旅をしていると言っていたのだから他の旅話なんてそこまで興味が出てくるか?


僅かに揺れる船内をユフィと一緒に右に左に進む、その間も忙しなく旅の話を聞いて来るユフィに色んな街の話を聞かせた、そこに住む人達との関わりやその街の独自の品物など、時には逃げ走ったトラブルなどを……


旅の話に驚いたり笑ったり泣きそうになったりと、大きな反応に気分が乗って来て楽しくなって来た時、ようやっと目的地らしき場所に着いた、今までとは違ってそこは階段の少し先にドアが一つ有るだけの場所で、ドアの向こうからは定期的に音が聞こえてくる


さてさて、何かしら身に付く物が有れば良いんだが、例え直接的に得る物が無くても間接的に俺の魔法陣の発展に繋がって貰いたい、まぁ……例え何にも得る物が無くてもそうそう見れる機会何てないし、そういうのを無視して楽しむかな


隣に居たユフィがダダダッとドアに駆け寄って音を立てて開く、開けたままのドアから中に入ると大きな球体が部屋の中央に固定され輝いてる、その周りには設備の為か何人かの人影が見受けられる


何時の間にそこまで走ったのか、光るソレの下ではユフィが胸を張って待っていた




「どうじゃ!

コレがおぬしが見たかったこの船の心臓部、魔動力……発生、いや動力灯生さ…ん?」


「魔道具、魔力灯発生装置な」


「そうそれじゃ!」


「もう覚えられないなら通称心臓で良いんじゃないの」


「それだとつまらんじゃろ」


「専門用語を使いたい年頃か……」


「何か言ったかの」


「いんや何にも」




専門用語を使って頭が良い所をアピールしたいのか知らんが、せっかくの専門用語も言えてなきゃ話にならないな


思ってたより大きいな、通称心臓のそばに行くと改めて大きさが分かる、離れていても隣に並んだユフィの姿から大体の大きさは予想出来てたが


光る魔力灯発生装置に手を乗せると熱を伴って触った所が強く発光した、取り敢えず魔法陣を見たりする前にコレの詳しい説明を聞いといた方が良いかな


左隣のユフィに振り返ると待ってましたと言わんばかりに笑顔を振りまいてる




「説明は必要かの?」


「説明したかったら聞いてやっても良いぜ?」


「な、ぬしよ聞く態度という物があろう」


「確かにあるが、まず大前提として誰から教えてもらったのかは知らないが、お前詳しい内容覚えてるのか?」


「んな!?

それは余りにも失礼じゃぞ!


妾を誰と心得る、あの程度覚えるのに些かの問題も無いわ!」


「んじゃ軽く説明してみ」


「うむ、あの魔力灯発生装置はの、魔力灯を作るのじゃ!」


「ほうほう、それで?」


「以上!」


「短い付き合いだったなユフィ、ばいばーい」


「ぬぉおお待て、待つんじゃあああ!」


「待つのは貴女様です」


「ぬお、ジンお主何時の間に!?」


「ワタルさんも余り虐めないで下さい」


「すまん、程々にしとく」




ユフィで軽く遊んでいると周りに居た人影の中から貴族風の男ジンが出てきた、このタイミングで出て来てくれたのは助かった、ユフィよりはよっぽどマシな説明が聞けるだろう


貴族風の男ジンとはユフィと自己紹介をした時以来会っていないが、ユフィよりは詳しい説明が聞けるだろうしジンに聞いてみるか


未だにユフィと言い争っているジンの肩を叩いて注意を此方に向ける、少し嫌そうな顔をしているがそれでもイケメンは崩れない、そんなに嫌そうなしないでも良くねぇか?




「何でしょうかワタルさん、生憎私は今忙しいのですが」


「いやな、出来ればコイツの詳しい説明が聞きたくてな、出来ないなら他に説明出来る奴を紹介してくれると助かる」


「……それくらいなら構わないですよ」


「おい、説明なら妾がしたじゃろう」


「それで、ワタルさんは何処までコレについて知って居ますか?」


「名前を知ってる」


「こらぁ!

妾を無視するで無い!」


「なるほど、ではこの心臓の主な機能、魔力灯発生について説明しましょう」


「待ってましたー」


「魔力灯とはこの船全体を守ってる光のベールの事です、まだ光が出ている内は分かりませんが、夜になると目視も出来ます


個室の窓からも確認は出来るはずですが、見た事はありませんか?」


「そういや見た事あるな、あの光か」


「アレが魔力灯という物です、アレが有る限り魔物達はこの船に近付く意思を失っていきます、魔力灯発生装置の劣化具合や大きさ、それに作った人の技量によって効果はまちまちですがね


流石に大きな魔物には効果は有りませんが、今進んでいる海路はそんな魔物は今まで出た事が有りません、安心して良いですよ」


「ほぉー、凄い物何だな魔力灯」


「色々と不便な点も有りますが海路を行くには必要不可欠ですね、コレで説明は終わりですが何か聞きたい事は有りますか?」


「いんや、特には無いな」


「そうですか、さてユフィ様コレで満足しましたか?


満足したなら御部屋にお戻り下さい」


「やじゃ」


「ほらいきますよ」


「ずぅぇええったいに嫌なのじゃ!


行くぞキカイジマ!」


「は?

ちょまお前離せッ!?」


「お、お待ちくださいユフィ様ぁああああああああああああ!!?」




完全に油断して居た、ユフィと話し始めたジンから顔を背けて、魔力灯発生装置を観察していた俺の手をユフィが握りしめて走り出した


普通ならこんな小さな娘に引っ張られるなんて事有る訳が無いんだが、無いはず何だが……有り得てしまってる


引き摺られるように部屋を飛び出したユフィについていく、コイツはこんな事しても後で説教の時間が増えるだけだと分からんのか、分からんからやってんのか


さっき来た道を走って戻って行くため、さっきよりは余程速くブリッジについた、ブリッジから見た景色には先程と変わりなく、説明を受けて分かったからと言っても魔力灯が有るようには見えなかった


取り敢えず、深呼吸をしてコイツに文句を言ってやらなきゃな




「ふぅ、いやー参ったのジンの奴には、彼奴あやつの説教は長い上に言葉を変えようとも同じ事を言っているからの、聞くに耐えぬは」


「俺まで走る必要無かったと思うんだが」


「そう寂しい事を言うで無い、妾はまだまだ聞き足りないのじゃ


ん、そうじゃなお主、ちょいとしゃがむのじゃ」


「ん、こうかっておい!?」




しゃがんだ俺の背中にユフィがよじ登ってきた、何の配慮か知らんが靴は抜いである、そんな所に気を使う暇が有ったらまず登るなと言いたい


背中から更によじ登って俺の頭を太腿で挟むと抱くように頭を掴んできた、コレはあれか、所謂肩車か……




「うむ、よし、お主の旅の話の続きを聞かせてくれぬかの」


「おい待てや、何がよしだ、一旦降りってお前何ガッチリ挟んでんの!?」


「ふふふ、妾から逃れようなどと、出来はせぬのじゃ


さぁ大人しく妾にお主の話をき〜か〜せ〜る〜の〜じゃ〜!」


「うお、やめ…や、やめい!」


「あいたっ」




俺の頭を抱き抱えたまま前後左右にユラユラし始めたユフィの背中辺りを叩いておく、船で揺れてるのに更に揺らそうと言うのか、鬼の所業じゃないか


そこまで考えて、ブリッジに見慣れた人影を見かけた、黒い日傘を差して佇む全体的に黒いゴスロリドレス、フワッと広がったスカートには赤いバラの装飾もあり、黄金のように光る金髪は風で踊っていた


間違い無くレイチェルだ、詳しく言うならば、間違い無く機嫌がとてつも無く悪いレイチェルお姫様でございます




「えっと、あの……レイチェル…様?」


「あら、どうかしたかしらキカイジマ?


まるで蛇に睨まれたカエルのようよ」


「何故、そのように怒られておられるのでしょう、どうか、理由だけでも……」


「不思議な事を言うのね、私は別に怒ってなどないわ


あぁ、貴方には私の顔が怒っているように見えるのだったわね?


コレで満足かしら?」


「ぁ、あわわわーー」




お、怒っていらっしゃる、今までに無い程に怒っていらっしゃる!?


瞳に影を残したまま見惚れる程の冷笑を浮かべたレイチェルに身体の震えが止まらない、なんか頭上で騒がしいが構ってられん


ついには日傘をクルクルと回し始めた、一体そのクルクル回した傘でどうしようと言うのか、バラバラにされてしまうんだろうか、それとも粉々にされてしまうのだろうか……


い、いかん…いかんぞ、悲惨な未来しか想像出来ない、このままレイチェルお姫様の機嫌を損ねよう物なら俺に明日は無いかもしれない


何故レイチェルがここまで怒っているのかを考えた時、レイチェルの目線が妙な方向を向いているのが分かった、何処か此方を見ていないと言うか


少し離れた場所から此方を見ているレイチェルの目線は、頭上の空間、そこから目線を動かさない


そうか、そう言う事か、いくら何でもこの格好は話を聞く態度では無い、こんな状態では何をしても馬鹿にしているとしか思えない




「おい、レイチェル様に失礼だろうが、速く降りろ、出来るだけ粗相の無いようにな」


「むぅ……やじゃ」


「……やじゃって、お前俺を殺す気か」


「いつまで私を無視しているのかしら?」


「いえ決してそのような事はございませんです!」


「そう、なら良いの、たしか今日はキカイジマに魔法を教える予定だったわね


取り敢えずは部屋に戻るわよ、……そこの虫もキカイジマから速く降りなさい」


「やーじゃよ!

ふはははは、どうじゃ羨ましかろう!」




やめてぇええええええええ、これ以上レイチェル様の怒りを高めないでぇええーー


そんな心の声が聞こえる訳も無く、レイチェル様とユフィの口論は白熱していく、最早魔法の練習なんてそもそも予定してなかったとか、いつまで俺の頭にしがみ付いてるつもりだとかそんな事を言っている場合では無い、俺がやるべき事は一刻も速くレイチェル様の機嫌を取る事だ


まずは頭の装備品を外そうとして断念、どうやらコイツも見た目と実際の力がまるで違うらしい、ならば必死になって赦しを請うしかない




「レイチェル様レイチェル様、どうか俺の話を聞いてください、実はーー」


「ーーうつくしい」


「そう、うつくしい……うつくしい?」


「その黄金に輝く髪に穢れを一切知らない白い肌、切れ長の目から覗く命の輝きと同じ色の瞳、ああ、ああなんと、なんとお美しい


ああ神よ、私は今猛烈に感動しているのです

あゝ主よ、私はこの為に生まれて来たのです


どうかお願いです、私を貴女の隣に居させて下さい、せめて踏んで下さい」


「……何だこいつ気持ち悪い」




レイチェルに跪き頭を垂れる貴族風の男が居た、もしも俺の記憶に致命的欠陥や損傷が無ければあの頭を垂れてるのはジンと言う名前だった気がする、目に異常が無ければ貴族風の出来る男だった筈の男が頭を垂れてる、耳に異常が無いならば踏んで下さいとか言ってた気もする


……流石に踏んで下さいは聞き間違いか、とにかく現場二番目に混乱しているだろう奴には詳しく聞かないといけない




「なぁ、アレお前の従者だよな?」


「妾に従者などおらぬが、なんならお主が妾の従者になるかの?」


「いや、だってアイツお前の従者じゃなかったらなんだよ、認めろって、あの恥ずかしい奴がお前の従者なんだろ?」


「ぬぉおお、認めぬぞ妾は、あんな恥ずかしい奴が妾の従者などと!」




しばらくユフィと遊んでいると話が終わったのかレイチェルとジンがコッチに来た、ぶっちゃけレイチェルがジンと行動を共にする事は無い、レイチェルが『吸血鬼』ならまだ良かったんだろうが生憎とレイチェルは『ヴァンパイア』である、何でもこの世界でも一二を争う大きさの宗教の明確な敵にさせられた存在だ、俺が共にいるのはただ単にその事を俺もレイチェルも知らなかったのやレイチェルの吸血行動を見た等の沢山の偶然が重なってできた物だ


結果は分かってるが、どう断ったのかだけでも聞いてみようか、断られたとはとても思えない程の爽やかな笑顔のジンと、機嫌良く可愛らしく微笑んでいるレイチェルが此方に歩いて来るのを待っている、気分としては死刑囚だ


……レイチェルがあんな笑顔だなんて絶対やばい事だ、ついさっきまで楽観視してた自分をぶん殴りたい


ついには俺の前でジンが剣を此方に向けて来た




「ワタル君、早速だが


ーー決闘を申し込む!」


「……は、はぁああぁあぁああ!?」


「なんじゃとぉおおおおおお!?」




ああ、何か知らないけど俺物凄ぇピンチで泣きそう

気付けばようやっとマトモな戦闘シーンかもしれない

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