世界で最も古きモノ•前編
前編とか、分ける必要性は気にするな
それよかお気に入りが気付けば20人超えてる、こんなに嬉しい事は無い、期待に答えるかは別として頑張るかな
タング、大きな教会が有る事で此処は有名なんだそうな、教会が有るって事は宗教も有るんだろうが、俺は無宗教な日本人、何かしらの宴が有れば参加するが宗教に入るつもりは無い
そんな訳で、この街の大きなアイデンティティには大した興味が湧かなかった、どちらかと言うと門から真っ直ぐ続く道にある露店の魚やカニ等の物に目が移る
昼過ぎくらいの事だ、レイチェルが最低限の荷物だけを持って露店等を冷やかしに出かけた、見るだけ見るのだがレイチェルの気に入った物は中々無いそうな
どうして城の影の中も調べずに日傘片手にレイチェルに付き添っているのか、それこそ勿論レイチェルのわがままなんだが
宿屋で部屋を取った後、レイチェルのたまにはゆっくりしましょう、と言う何時も真っ先に城の影の中に入って行くレイチェルとは思えない行動に驚いている間にそそくさと出掛ける事になった
「なぁレイチェル、何だか此処等は海産物が多いけど、近くに海でも有るのか?」
「ええ、この街にも無かった場合はこの海産物が取れている港町から王都が有る島へ向かうわ
そう言えば言ってなかったわね、王都フロイドルート、私達が目指している場所よ」
当然王都に行く間に幾つかの街に行く事になるけれど、と言って別の品物を手に取って一通り眺めた後にはまた別の品物を手に取る
このまま黙ってレイチェルに付き合っていても仕方が無い、俺も冷やかしに移るとしようか
レイチェルが見ている露店の隣で開かれている商品を見て行く、レイチェルが見ている露店より品物は良くなさそうだが此方の方が品数が多いし何より商人の元気な声が此方まで元気になりそうである、品物の値段も全てコレなら買っても良いかな?と思わせる絶妙な価格で客足を止めて行く上手い商品の並び
とまぁ俺は何をレイチェルに張り合ってるんだか
それはさて置き捨て置いといて、露店の店長と世間話でもしようか
「何と言うか奇遇だねリオ」
「ホントに、縁が合ったみたいね」
少しおっさんが入っている声でオカマ口調、
その顔は深く被ったフードで伺えないが聞き間違う事など有ろう筈が無い
俺が偶然見つけた露店はオカマの人、もといリオ•モンテグラルその人だ
「こんな所で出会う何てな、ついでだし何か良いの無い?」
「今は途中で拾ったこの綺麗なペンダントとかどう?」
「途中で……拾った……おま、それってパクったのかよ、その上男の俺にペンダント、しかもそれ俺に勧めんの?」
「パクって無い、コレの前の持ち主だって必要ないから捨てたかもしれないじゃん
それにいいじゃん男がペンダントしてても、似合うと思うわよー?」
リオから手渡されたペンダントを見てみれば、薔薇の装飾が施された金色の縁に赤い、と言うより紅い玉のような石がはまっている
ペンダントはチェーンが特殊なのか金属の冷たい肌触りなのに伸び縮みする、非常に軽くて何でできてるのか疑問に思う
そんな気持ちを察したのか、リオが身を乗り出して力説し始めた
「よく聞きなさい、そのペンダントを調べた結果凄い事が分かったの!
ペンダントの金色の部分は信じらんない位硬いの、知り合いに調べて貰ったんだけどドラゴンに踏まれたって大丈夫だって!?
その上紅い鉱石何てコレと似た鉱石が一つとして見つからないのよ、オマケに魔力との相性がバカみたいに良いから杖にだってできそうな位なんだから!」
「あー、分かったからもう良いぞ、買う気は無い、俺は冷やかしだぜ?」
「断言した!?」
ソッとペンダントを露店に戻して他の品物にも手を出す、リオが何か言ってるがいちいち構ってられん、リオの露店は何だかよく分からない物も含めればとてもカラフルだ、赤や黄色青に紫などなど、逆に言えば普通の物で数えれば質素だ
右から左へズラッと視線を動かすが、露店の中には奇怪な物しか見当たらない、良くコレで露店を開こうと思ったもんだ
「何だか良く分からないのばっかだな」
「うぐ、その事には触れないでほしかった、いやー実はね、この前あんたと別れた後にちょっと事件が有ってあたしの荷物が殆どおじゃんになっちゃって
今じゃこんな感じ……
で、そんな感じに困ってるんだけど別に知らない仲って訳でもないし、ここは一つあたしを助けると思って幾つか持ってって欲しいんだけどな?」
「タダなら考えてやんよ」
「この薄情者!
鬼、悪魔、ど変態!」
「どれ一つとして心当たりが無いな、そんな事より幾つか良いか、この剣の事何だけどよ」
鬼に関しては一人だけ心当たりがあるけれど、今はそんな事よりこの剣についてだ、腰から剣を鞘ごと引っこ抜いてリオに手渡す
受け取ってから鞘から引き抜いて様々な角度から眺め出す、どうやら壊れたとでも思われたのか暫くそうして眺めた後に安堵したように此方に手渡した
「どうしたってのよ、別に壊れてはないみたいだけど」
「んなこた知ってるよ、そうじゃ無くってだな、この剣の製作者に会ったら礼を言っといてくれよ
これから先お世話になるだろうし」
「そうね、あんたの事伝えといて上げるわよ、変な客が来たーって」
「おい、どこが変だどこが」
「そんな剣を持ってるだけで変人だって事が分かってない辺りがまさに変人だよね」
「おま、お前がソレ言うの!?
この剣売ってたのってリオだからね!?」
そんな風に商人と客の無駄話に花を咲かせていると、何時の間にか隣に来ていたレイチェルが袖を引っ張ってきた
疑問に思ってレイチェルの方に顔を向けると、少しだけ青ざめた顔で此方を見ている
「キカイジマ……貴方やっぱりソッチの?」
「チゲーよ、怖い事言うな!
コイツはアレだ、あの剣を売ってくれた奴だよ」
「あら、アナタが?」
「ええはい」
「キカイジマにコレを売った事には感謝しているわ
キカイジマ、そろそろ戻るわよ」
「………………」
「キカイジマ、聞いているのかしら?」
「ぁ、ああゴメン行くよ、そんな訳でまた何時かな」
「あたしも店仕舞いしようかな、次はお金持ってきてねー」
リオに手を振りレイチェルと一緒に宿に帰る俺の思考はかなり混乱していた、しかしそれも仕方ない事だろう、なんせレイチェルが『人類に感謝』したんだから
これも、もしかしたら俺との旅で少しでも人類に対する対応を考えてくれたのなら、俺としてはかなり嬉しい、やっぱりいがみ合うより仲良くするのが良いよね
商店街みたいに露店が立ち並んでいる場所を抜けて、人通りが少なくなって来た場所でレンガ作りの宿屋にたどり着いた、この世界では未だに木製の建物が多く見られるが、こんな風にレンガ作りだったり何だかよく分からない作りだったりするのが見られる
暗くなり始めた外に比べ、宿屋の中では魔道具と言われる非常に小さな魔力でも動く簡単な道具によって明かるい、早速自室へ階段を駆け上って入り込んで気を楽にする
ベッドも中々良い物が使われている訳で、早速俺はベッドへダイブした、お風呂とベッドで一日の疲れを癒すのはとても大切な事だ
何時もの如く影に包まれるレイチェルを尻目にベッドの上で力を抜く、確かに外は暗くなって来たが寝るにはまだ速いような気がするし、なによりまだ影の中を探索していない、一体どうしたのかと思考を巡らせていると
その本人が服装が乱れた状態で影から出てきた、しかも何やらかなり必死な形相で……
「キカイジマ貴方私のペンダントを見なかったかしら!?」
……何やらまだ今日は終わらないらしい
所で、文字数ってコンくらいで良いのかな?
もうちょっと増やした方が良いのかな?