次の街へ
自分で書いていてなんだけど、主人公は一体何時戦うんだ?
ていうか、結構書いたのにハーレム要素が未だに出て来てない
ちなみに作者はハーレムとは複数の女性に異性として好かれている状態の事を言うと思ってます
PS.作者の初恋はケモミミおんにゃにょ娘
まだ朝日が昇ったばかりの頃、レイチェルを起こして人形に馬車を動かしてもらっている時だった
魔法薬を吸い込んで魔法辞典を読みふけって居ると、急にレイチェルが操車席に座れと言ってくる、次の街にはまだ距離が有ると言われたばかりだし俺の目にも市壁は影も形も見えない
であればだ、必然的にこの先、もしくは後方から馬車が迫って来ているという事だ
「しっかし、昨日話題に出したが使い魔ってのが居るなら、人形も使い魔って事にすれば良いんじゃないか?
そうすりゃわざわざこうやって乗り換えなくても良いと思うんだ」
「そう上手くいかない物よ、使い魔はある程度意思の疎通が可能だけれど、コレは便利だけれど意思等無いの
だからもし誰かがこの人形に話しかければ違和感を覚えるし、もしそこからコレが人形だとバレたら騒ぎになるわ
生きていないのにここまで精密に動く物はそう無い筈よ、まぁアーヴィング城の中に居た頃の話だけれど」
「わざわざ危ない橋を渡る必要は無いってか、所で話は変わるんだがなレイチェル」
「何かしら」
「アレってもしかしてもしかしないでも襲われてね?」
「どうやらそのようね」
俺達の行く道先で大きな馬車が見るからに魔物っぼいのに襲われてる、遠目で見ての判断だがピンチっぽい、既に何人か死んでしまったのか人の死体っぽいのが伺える
込み上げてくる物を押さえ込んで魔物側を見る、狼型の群にありゃなんだろう、触手にカニのハサミを与えたみたいなのに襲われてる
名前なんざ知りはしないが、数から考えて、そして聞こえる少し焦った声で人側が少し危ないかもしれない
俺は腰の剣を確認してからここ最近その服装(学ラン)だけでは何かと不便だろうと渡された服と一緒に渡された外套を羽織る
「なぁレイチェル、少しーー」
「ーーイヤよ」
「……まだ何も言ってないんだけど」
「言わなくても分かるわ、どうせ助けよう等と言うのでしょう?
イヤよ、如何してヴァンパイアである私が人間なんかを助けなければならないのかしら?」
なんかと来ましたか、やっぱりレイチェルは根本的に人間が嫌いか見下してるみたいだ
そこに例え楽しいからとか言う微妙な理由でも自分が含まれていないのは嬉しいが、この場に限っては彼等にも少しだけ分け与えてくれないと困る
準備したは良いが、ぶっちゃけ俺一人行ってもどうにもならん、複数人の武装集団がもう既にやられてるんだ、俺一人行っても仕方ない、あの状況をひっくり返せる力何てない
だからこそのレイチェルなのだが……
そのレイチェルはもう興味を失ったらしい、影から先程とは違った紅茶が入っている金の装飾が綺麗なポットが浮かんで来た
「頼むよレイチェル、俺一人じゃどうにも出来ないんだ、レイチェルだったら疲れもせずにすぐに終わるだろ?」
「ええ、だけれど疲れる疲れないの問題じゃないのよ、アレを助けても私にメリットがないじゃない
そもそも貴方、何で見ず知らずのアレ等を助けようだなんて思ったのよ、知り合いでもいたのかしら?」
「いや、居ないけど」
「だったら良いじゃない、赤の他人なんでしょう?」
「と言われても、見ちゃったしな……」
流石にコレで無視したら後味悪い
レイチェルは先程入れた紅茶の香りを楽しんで居るのか此方を見ていない、仕方ない、レイチェル餌付け作戦で行くか
「レイチェル、もし彼等を助けてくれたらプリンと言うオヤーー」
「何をグズグズして居るの、行くわよキカイジマ」
レイチェルは壁に掛けて有る襟の立った外套を羽織ると馬車から降りた、元よりレイチェルの餌付けに成功している俺は新しいオヤツを掲示する事で動かせると踏んでいた
それ故に、既に馬車は彼等のすぐ近くに寄せていた
馬車の中から日傘を取り出して外に出ると、もう既に終わっていて、レイチェルが返り血一つ浴びずに悠々と立っている、近くに駆け寄って日傘を差してやる
「流石ですお嬢様」
「当然よキカイジマ」
「さて、そんな事よりそちらさんは大丈夫な感じかな?」
「そんな事より、菓子の事を忘れて無いでしょうね?」
「そんな事より、あんた今杖無しで魔法を……」
「そんな事とは酷いが、菓子は任せろ、杖は隠してるだけだぜ」
腰が抜けたのか地面に倒れている青年を立たせる、青年と言うと何と無く綺麗な顔立ちを想像するが、この青年はそんな事は無いようで素朴な顔立ちに不精髭がオリジナリティを出してる、逆に言えばそれしか無い
青年の話何かはどうでも良いよ、問題は馬車からゴテゴテしたデブが現れてコッチに来る事と、それを見た瞬間馬車に帰ったレイチェルだ
ぇ、俺がアレの対応するの?
「いやぁ危ない所をありがとうございます、所であちらのお嬢様は?」
「あー、アイツには外は少し熱いようで、それよりお怪我が無くて良かった」
「そうなのですか、此方も被害が無くて良かったです」
「……被害が無くて何よりですな、所でその被害に合いそうになったモノは?」
「おお!!、ご覧になられますか!?
何でしたら優遇致しますよ、ささ此方です」
ああ、コイツ俺の嫌いな奴だ
負傷者と死体に目も向けずデブゴテは大きな馬車の荷台に向かって行く、ソイツについて行く途中で護衛の人だろうが黙々と仕事をしているのを見ると何とも言えない気持ちになってくる
こんなデブにこき使われる何て大変なんだな、それとも商人だと皆自分の荷台の中身以外はどうでも良いのが普通なのか?
しかし、どうにも納得がいかない、優遇?、何を買わせる気か知らないがついさっき出会ったばかりの人にそこまでするのか?
少なくとも顔はかなりヤバイ分類だが、いや待てよ俺、確か何処かで悪徳商人に憑依した心優しい一般人の話をどっかで見たような……
デブゴテさんがにやにやと笑いながらとても大きな荷台の天幕の内側を披露された、暗い中が太陽の光で照らされて中の物を映し出す
いや、正確には中の『者』が正しいか
ああ、やっぱり俺コイツ嫌いだわ
デブゴテの荷台には沢山の人達がボロを纏って俯いていた、何人かは此方を見ているが、目が死んでるとは……
そこには首輪を付けたモノ達が居た
「どうでしょうこの中からお一人選んでは?
どれもこれも新品でして、勿論違法な事はしておりませんよ」
「へー」
奴隷に違法もクソも有るのかよ、そう思いながら檻の中にデブゴテと入って行く、檻は全て鉄で出来ているのか靴音が良く良く響いて行く
そういえば、俺は何故呼ばれたんだろうか?
お礼……っていうのはシックリ来ないし
そうこうしている間に檻の最奥まで来て居たのだが、どうにも可笑しい、最奥には鋼鉄の扉が有る、デブが鍵を開けて中に入ったから俺も入ったが、何時の間にやら控えて居た護衛の人が入って来て近くで待機した
その視線の先には、全身を何か鎖で巻かれている人影だった
「……コイツは?」
「はい、実は飛び切りイキの良いのが捕まりまして、コレをどうかと……」
「……いや、どうかとって言うかグルグル巻きじゃん、こんだけするって事は凶暴なんだろ?
こんなの売るとか正気か?」
俺は奴隷なんていらないが、流石に突っ込まざるを得ない、もし奴隷商人ってのがちゃんとした仕事なら、流石に拘束を解いた瞬間襲いかかって来そうなのを売るとは思えないが、なんせ異世界だしな
グルグル巻きに拘束されている人物から少し離れてデブに視線で問いかける
「おや、奴隷は始めてですかな?
ご安心を、未だ売られていないこの状態では対した拘束力も御座いませんが、一度御契約なされば首輪の魔法で主に手を出す事はございません」
「なんつーか他の人もボロしか着てなかったけどーー」
「ああそれで御座いますか、基本は販売する時に見栄えを良くする為に着飾らせたりしますな
勿論お買い上げいただけるならちゃんとした服もセットでお付けいたしますが、まずはお値段の方ですがーー」
「あ、自分奴隷とか要らないんで、そんじゃ」
それだけ言って檻から出る、いやー時間の無駄だったわ、早く次の街に行かなきゃな
レイチェルが待ってる馬車に向かっている最中に後ろからドタドタといった足音が聞こえて来た
「お、お待ちを!
値段の方は勿論定価は御座いますが、相談によっては」
「いらない」
「そんな事を言わずに、相当な身分の方でしょうお二人とも、奴隷の一つも持っていなければ笑われますよ?」
「絶対いらない」
「そう言わずに、何でしたらセットで他の奴隷を付けても構いませんよ!?」
「……何でそんなに必死なん?」
「ぇ、……いや必死?
いやいやそんな事は決してーー」
そう言う奴隷商人は顔から溢れ出す油……ではなく汗をぬぐい続けている
間違いない、コイツ俺に厄介事を押し付けようとしている、そらそうだよなあんな拘束をするぐらい何だから
理由は分からんが奴隷商人はあの奴隷をどうにか処分したいんだろう、そこで現れたのが金持ってそうな旅人、旅人だから今後会う事も無いしオッケーって所か?
「断固お断りします」
「ああ待って下さいお客様!!」
馬車に乗り込むと素早く馬車を発進させる、ここに来てほんの僅かな操縦技術が役に立った
普通の馬車ではあり得ない速さでその場を去って行く、流石は一角獣だよ一角獣はだてじゃない!
可能性の獣を撫でて褒めていると後ろからレイチェルが話しかけて来た
「だから言ったのよ、他人なんて無視してれば良かったのに」
「まぁまあ、確かに奴隷商人だなんて気に食わなかったが
それでも護衛の人達の命も助かったし、あの奴隷商人だって奥さんとか居るかもしれないじゃないか」
「アレに?
私はいる訳が無いと思うのだけれど」
「……うん、まぁ流石に友達位は居るだろうし、終わった事をどうこう言っても仕方が無いだろ?」
人形に後を任せて何時もの定位置につく、魔法辞典を取り出して読みふける、魔法薬を握り潰して消えて無くなるのを確認すると紅茶に手を出す
今はこのタバコ擬きが消える魔法を片手間に調べている、吸殻で馬車を汚れるのを嫌がったレイチェルが付けたしたんだが、コレは土属性に分類されるモノかな?
掌に取り出した魔法薬に魔力を当てると、魔力に反応したのか魔法薬の魔法陣が淡く現れた
そこに現れる魔法陣を見れば俺でも簡単な事は分かる、土魔法で分解しているらしい
そこでチラと気になったのは、魔法陣の『円』、輝くそれは消える様子が見えない、ここ最近の研究を思い出しながらボーっと見詰める
「キカイジマ今日は此処で野宿をしましょう
本来なら次の街に着いて居たのに、そんな訳で貴方の血液をよこしなさい」
「良いけど出来れば風呂の後にしてくれー」
「構わないわ
……良い事、覗いてみなさい、生まれて来た事を懺悔させてあげるわ」
「いやいや、覗かないって、お前は俺を何だと思ってんだよ!?」
「…………」
スッと、胸を隠すように自分を抱いて此方を横目で睨み見てくる……
……アレ?
お、俺なんかしでかしたっけ?
…………胸?
「風呂作ってくる」
「……」
「お風呂を、作って、参ります!」
「……一番は私よ」
「はい!」
停めた馬車の隣に直ぐさま魔法で風呂を作り出す、試行錯誤してドラム缶風呂より良い風呂を今では使っている
レイチェルが溺れた事を考慮して底をドラム缶より浅くレイチェルに合わせた高さ、レイチェルの体を隅々まで伸ばしたいとの要望に答えた広い浴槽、俺の使っていたシャンプー替わりの石鹸を目敏く見付けたレイチェルの望み通り風呂備え付けの石鹸、レイチェルが肌を傷付けたく無い願望によって生まれたタオル、レイチェルの外で裸を晒す何てあり得ないと言う切望で作らされた天幕
あれ、俺の要望が見当たらない……ま良いか
「出来たぜ」
「相変わらず不思議な魔法ね」
「魔法は須らく(すべからく)全て不思議な物じゃね?」
「そういう物ね、入ってくるわ」
「はいよ」
馬車に乗り込んでレイチェルの風呂が終わるのを待ち続ける、女性と言うのがそうなのか、それともレイチェルがそうなのかは分からないが、レイチェルの風呂は長い
俺も男にしては長いかと思うが、レイチェルのそれは俺を普通に超えて行く、お風呂に入る前は魔法で清潔を保っていたそうなのだが、それでも限界は有るそうなので、レイチェルもお風呂が一番だと言っていた
さて、レイチェルがお風呂から上がるまでは魔法の研究をしようか、明日はついに次の街、次の街では何が起こんのかね……
ーー~♪
馬車の外から歌声が聞こえてくる、ああ、今宵のレイチェルはご機嫌な事で、ご機嫌ついでに血を吸うの勘弁してくれないかな……
無理かーー
全然進まない~、次の話でちょっと事件が起こる『予定』、……そう、あくまで予定なのさ