NO.6 七川冷 著 口笛 『寒い時期の口笛』
拝啓
春寒の候、いよいよご清栄の事とお喜び申し上げます。
この度は、私の結婚につきまして温かいご配慮いただき誠にありがとうございました。
わたしにとりましては、願ってもないお話とは存じますが、実は他に心に決めた方がおりますので、今回のお話は見合わせて下さいますようお願いいたします。
折角のご高配に対しても申し訳ございませんが何卒ご了承下さい
かしこ
この手紙は、私と見合いするはずの相手からの手紙である。
見合い相手からして美人で自分とうまくやれそうな感じな女性だった・・・(溜め息)
私は、その手紙をビリビリに破ってゴミ箱に捨てて神社へ向かった。
そこは、落ち込んだ時や、むかつく時に行くと不思議と落ち着くからだ。
~神社~
閑古鳥が鳴いていた、いつものことだけど
手紙の事を思い出して溜め息をついたつもりが・・・
「ピュ♪~」
哀しい音色の口笛を吹いていた。
それを空は感づいたのか雪が降り出した。
私を慰めているつもりなのか、苛めているつもりなのかは分からないけど
何故か、女性に振られて落ち込み気持ちがなくなって
代わりに
「あの人と結ばれるのが私の使命ではないじゃないか!ゆっくりと自分で探そう」
と、前向きな気持ちがあった。
お参りして
それから、家路についている間に口笛で「雪やこんこ」を吹いていた。