血に染まる村
暴力的なシーンやグロテスクな描写を含みますので、御気を付けてください
村の見える場所は紅と鉄の匂いによって覆い尽くされている。
きっと見えない場所もそうなっているであろう、地面も壁も屋根も部屋も家具も井戸も川も岩も砂までも紅に染まりきっている。
近くに点在している紅い水溜りには、丸くて多数の赤い線がついたものが複数浮いており、その一つが動き白いものの中に黒い円が見えた。
村は寝静まっているのか、物音一つさえない・・・・・否、全ての者がたった一人の少女の手によって、無残にも一人残らず惨殺されていた。
それに女子供の見境はなく、全ての者が紅かピンク色の何かを撒き散らし、家の中、村の広場、川の中、燃えた後の車の中、至る場所に紅い液体とどす黒い紅とピンク色の物を出し流している骸が大量に放置されている。
惨劇が起きた村は、年に一度の村祭りで沸き立っていた、そう、最初の異変に気づくまでは・・・最初の異変は、村祭りが始まろうとするほんの少し前だった。
『我を、抜け…ソコの小娘よ』
突然、何処からともなく聞こえて来た声は酷く低いが、何故か少女は聞き取る事が出来た。
「ダぁレ?」
まだ無邪気な少女は、声を辿るようにして神社の境内まで歩みを進めていた。
『我は此処だ、来て、我を抜け』
「神社の中から……かなぁ?」
一瞬躊躇いはしたものの、結局は興味と言う誘惑に負けて、神社の中に入っていった。「宮司さん!た、たたたい、大変だ!ほ、ほ、ほほ、本殿のし、しめ、しめ縄がき、きき、キレ、き、切れてるんだよ!」
「なっ、なんじゃと?それは本当か?」
一瞬にして、先ほどまで冷静だった宮司だとは思えないほど、取り乱し、顔を真っ青に染めていた。
「こ、今年の祭りは中止じゃ、それと全員この村から早急に出て行くのじゃ」
「ちゅ、中止?どうしてだ!この村が始まって、この村祭りは一度も絶やしたことがないんだぞ!」
「わからん奴じゃな!中止と言ったら中止だ!」 突然、男が静かになったかと思うと体が突然寄りかかり、手には毛を生やした玉のような物が当たっていた、その玉をとってみると、それは先ほどの男の頭部であり、顔は先ほどの声を反映させた憤怒の表情であり、寄りかかっている体にもちろん頭部があるわけもなく、宮司の袴を紅く染めていた。
「ひっ!・・・・・・」
叫びを上げようとした宮司は、次の瞬間には頭から股下まで一気に両断されていた。
その後ろには、血に濡れて怪しく光に反射し、紅い光を放ち両断したにも関わらず、一辺たりとも欠けていない刀身の刀を持った少女がいた。
二つの骸を前にして少女は舌なめずりをし、男と宮司の体を更に引き裂き、ピンク色をしたモノを掴み取り、少し舐めた時に口に鉄の味を感じ、口に含んだ瞬間に、鉄の匂いとともに生暖かい感触が口の中に広がり、歯を立てると呆気ない位に内壁は崩壊し、中から粒のような感触をしたものが咽喉
を通り過ぎて行く、少しでは満足できなかったのか、腸から肝臓、胃、膵臓、肺、心臓、食道、ついには頭部を切り裂き若干黄色に染まった液体を、咽喉を鳴らして飲み始め、飲み終わった次に眼を刳り貫き、飴玉のように頬張り、歓喜の表情を浮かべている。
鮮やかな青だった浴衣は、すでに首元をはじめ、胸元から腿の近くまで紅く染まっている、少女が貪る事をやめて顔を上げた、その顔は惨殺による快楽によってか呆けており、眼の焦点は乱れていた。
村はすでに祭りの準備が済み、お祭りのムードに入っており、宮司の到着を今か今かと待ちわびていた。
しかし、待てども待てども、宮司が来る様子は一向にない、宮司が降りてくる神社の階段から下駄の音が響き、全員がそちらに眼を向けた、そこに立っていたのは口元から股までを紅い液体で濡らした少女であった。「う、うわぁ!ばっ、ばばばば!ばけ、化け物だ!」
祭りのムードは一変して、殺人による恐怖が支配をした、さらにその恐怖の感情を高ぶらせるためか、まず少女が行ったのは、自分とあまり変わらないと思われる歳の少女の足に刀を突き刺し、倒れたところで刀を引き抜き、脇腹に刀を突き刺して地面に少女を縫い付けた。
突き刺した場所からは、おびただしい量の血液が吹き出して、少女のおうとつの少ない幼い体を、濡らした、かかった血は髪を濡らし雫となって地面に赤い斑点を作り出している。
少女はまだ生きているのか、少女の首に貪りつく様に咬み付き、首の肉を貪り始めた、突如として動きを止め、刀で慎重に切開すると、未だ拍動を続けている心臓をつかみ出し、拍動を続けている心臓を喰らいはじめた。
微弱な拍動により、顔に血が掛っているが、その生暖かい感じに喘ぎ、身体を震わせている。 しかし、その手にはまだ不骨な刀がしっかりと握られていた。
「こ、この!ば、ばけ化け物!」
手元にあったのか、男が角材で殴り掛かっていたが、惚けた少女は気付いていたようで、殴られる前に角材を男の右腕ごと真っ二つに両断した。
「!う、うう腕が!お、オおれ俺のう腕が!」
それだけでは飽きたらないのか、次は左足を、次に左腕、更に右足と、動けなくし、男が見る前で先ほど切断したばかりの男の手を貪りはじめた。
「ギぃッ、ャァぁぁ!」
すでに少女の顎は多量の骨を咬み折ったためか、砕けて居るがそのような事はお構い無しに、指を骨ごと咬み切り顎から自らの血を流しながらも、未だに貪り続け砕けている顎から来る痛みに喘ぎ、喚起の笑みを浮かべている。
すぐに跡形もなく指を食べ尽すと、興味がなくなったのかそのまま、男を横薙ぎで一太刀のもと両断した。
「血ィちぃチぃぃ!ヒャはッ!ひャはハっハははハハ!」
幼い子供特有の甲高い声で笑ってはいるが、普通では可愛いはずの笑い声は恐ろしい、地獄からの笑い声の様に聞こえた。
「だッ、ダレ、誰か、た、たす、た助けてくれェ!」
遂に恐怖に堪えきれなくなってしまったのか、櫓の上で屈強な男が助けを求めていた。
少女と目が合った瞬間に恐怖が限界に達したのか、股からは液体が滴り落ち、男は身近にあった大きな和太鼓を少女に向かって投げ落とした。
「こ、此なら……」
下の光景を見て愕然とした、和太鼓は完全に斬られゴミと化している、更に次の瞬間に男に浮遊感と共に落下という恐怖が襲いかかった。
落下途中に男は自分の腹部に異物が刺さる感じがして見てみると、櫓の一部だったと思われる杭のとがった部分が刺さっており、男は吹き上がる真っ赤な噴水を見ながら絶命した。
人々は自動車で逃げようとしたが、自動車のタイヤがホイールごと両断されていて、逃げる方法は徒歩か走るしかなかった、後ろから音もなく追いかけて来る少女は全身がすでに真っ赤に染まっており、刀は血の脂によって斬れなくなる処か、斬れ味を増していた、斬るごとに舞う血飛沫は桜の花びらのようで幻想的でもあった。
人々を次々と惨殺し、臓物を貪り無惨な骸と化している。 ついには家の中で震えている家族の目の前に少女は現れた、必死に父親が少女を包丁で追い払おうとしていたが、包丁をもつ左手ごと両断されてしまった、切断面からは白い固形の物が見えている。
「アガガが!がッガぁ、う、ウで腕が!」
腕が斬られた事のショック症状で回りが見えなくなっていた。
少女は自室で震えていた兄弟に刀を振り下ろそうとした時、突然刀の軌道を変えて真後ろを薙いだ。
後ろには子供を守るために包丁を刺そうとした母親がいたが、その右半身はおびただしい量の血の中には白い骨子が見え隠れしている中に崩れ落ちていた。
兄弟はまず耳を削がれ、鼻を落とされ、眼はえぐり取られ、鳴きわめく前で手の指を一本一本を切り落として気絶したらすぐに起こし、喉首を咬みきり、臓物を腹から引きズリだした。
泳ぎが得意な青年が河を渡ろうと飛び込んだ瞬間、少女が背中から刀を突き刺しそのまま川の中に入っていき、そのまま川の中で少年を貪っていた。
川から上がった少女が見たものは、惨劇を見せ付けられ真っ青になった満月だった。
全ての命が消えた後、少女は次の贄を求めて歩き始めた、次にどのような惨劇が起こるかは神のみが知っている。
惨劇は再びやって来る、ソレが何処で起こるのかは全く分からない事だが次に起こるのは貴方の街かもしれない………