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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
98/146

10歳:「見守られているということ(3)」

 

 

「うう、微妙に違うような、フランチャイルド?

 えーと……フライチャンズ、なんか離れた」

 

 

 ああー、喉元まで出掛かっているんだけど言葉が出てこない。

 くしゃみが出そうで出ないみたいにすっきりしない。

 

 

「ふらちゃ……なんだ?」

「いや、私もよく思い出せないのですが、確かチェーン展開なんです」

「ちぇんてんかい?」

 

 

 前世のコンビニとかファーストフードなどで使われていた古典的経営手段の一つだったはず。

 こんなことなら、前世の大学の講義で一般教養の経営学もきちんと受講しておくべきだった。

 人生何が役に立つか分からないよな、ほんと。

 

 

「簡単に言うと、あるお店があったとして、そのお店と同じ商売をする権利を別の人に貸すんです」

「つまり、弟子の1人立ちさせるみたいなものか?」

「似ているようで、ちょっと違うかもしれません。

 権利を借りている方は売り上げに対していくらの割合で、貸している方に報酬を払うんです」

 

 

 確か、そんな感じの方式だったと思うんだよな。

 あとは営業区域を分割するんだっけ?

 

 

「それじゃあ、借りている方は損じゃないか?」

「もちろん権利を貸すだけじゃなくて、お店の運営についてのテクニックや新商品ができた時には全店をサポートなんかもします。

 えーと、本店と支店みたいな関係でしょうか? だけど、各店舗は店長が責任を持って運営して、売り上げが上がっただけ店長の報酬も増えるんです。

 あとは、同じ名前の看板をつけることで、全店のブランドイメージを持たせます」

「ん~~? いまいちパッと分からないな」

「ええ、私の方もちょっと整理する時間が必要っぽいです」

 

 

 説明している私の方もいっぱいいっぱいだからな……。

 

 

「お嬢様、簡単に言うと新しい商売の形なのか?」

「そうですね……まだこの世界には馴染みのない方法だと思います」

「そうなると、組合レベルじゃなくて商人連盟に直接話をする必要も出てくるかもしれないな。

 となれば、これ以上の話は旦那様も交えた方がいい」

「はい、そうします」

 

 

 まず、トルバさんにも話を通さないとな。

 ちょっと新作メニューの開始をうまく調整しないとまずいか。

 

 しかし、話が大きくなってきたな。まぁ、やれるところまでやってみよう。

 

 

「さて、長居をするのもあれだな……そろそろ屋敷に帰るか?」

「はい……それと、一度家に帰って着替えたら、行きたい場所があるんですが」

 

 

 うん、心は決まった。

 こういうのは勢いがあるうちにやってしまおう。

 

 

「行きたい場所?」

「ええ、居住自由区へ……目の見えない少女を救いに」

 

 

 ペルナちゃんとペートに、私が魔術を使えることを告白する。

 そして、そのままペルナちゃんの目を治そう。

 

 

 私は確かにこの世界で魔術というすごい力を手に入れた。

 

 けど、私1人でできることなんて、本当にちっぽけなことだけで。

 

 私には見守ってくれている人、受け止めてくれる人たちがいたから。

 

 ペートを頑張らせているんだ、それを約束させた私もちょっとは格好付けないとな。

 

 

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