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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
97/146

10歳:「見守られているということ(2)」

 

 

「つまりは、まとめると……。

 1つ、スリ少年の姉の目を治す約束をしていてる。

 2つ、そのスリ少年の話を聞いて孤児院の悪事を知り、それをハンスたちに任せた。

 3つ、スリ少年の新しい仕事場として、露店のおやじさんと新しい料理の店を出そうとしている」

「露店のやり方とかについては、まだ少し検討中ですけど」

 

 

 結局、ずるずると一連の流れを全部聞き出される羽目になりました。

 

 

「とりあえず、危険そうなことはハンスたちに任せてるみたいだし、細かいことはお嬢様の意思を尊重してとやかくは言わんが……」

「な、なんでしょう?」

「つくづくお嬢さまの周りには騒動が絶えなくて飽きないな、と思ってな」

「楽しんでいただけているなら幸い、です?」

 

 

 ロイズさんが、生暖かい目で私を見ているような気がするが、気のせいだということにしよう。

 

 

「俺からはいくつか質問と助言がある。

 とりあえず、目の治療はどうするつもりだ? なんなら魔術師の代役は俺がやろうか?」

「いえ、近いうちに私が魔術を使えることを話して、直接治療します」

「……大丈夫なのか?」

「恩を仇で返すような子たちではなさそうなので……ただ、できればロイズさんにも立ち会ってもらえると嬉しいです」

「了解」

 

 

 フェルに私の正体をばらしたから度胸がついたのだろうか。

 それとも、私の見通しが甘いだけなのか。

 出会ったばかりだけど、あの2人を見捨てることはもうできないし、こうなればとことん付き合うつもりだ。

 

 

「それと、料理の方の話だけど……バーレンシア家の名前を使ってでも、軽食組合の方に話を通しておいた方がいいと思うぞ」

「そうなんですか?」

「あえて言うが、お嬢様の料理は“金のキノコが生える丸太”みたいなもんだぞ?」

「???」

「分かってないみたいだから、例えばの話で言うが、もし新しいメニューが流行ったとしよう。

 そうしたら必ず他の店も真似してくるよな?」

「そうですね。そうしたら、店ごとに色々なアレンジがされて楽しいかもしれません」

「……はぁ」

 

 

 あれ? 溜め息を吐かれちゃった?

 

 

「真似っていう言葉が綺麗すぎたか。早い話、レシピを盗まれるんだぞ?

 それだけじゃない、もし、盗んだ相手がうちのオリジナル料理を真似するなと言いがかりをつけてきたらどうする?」

「ええっと……でも、こっちの店が先に作った料理ですよね?」

「でも、それを証明するのは難しいんだよ。証拠がないからな」

 

 

 その場合はお客さんに証言してもらえば……とは思ったけど、きっと向こうも偽者のお客とかを用意してくるか。

 そうなるとお互いに「相手が嘘つきだ」と言い合いの水掛け論だな。

 

 

「じゃあ、どうすれば……」

「そこでバーレンシア家の名前を使って、組合に保証させるんだよ。

 お嬢様がレシピを教えた店がその料理の元祖ですって」

「へぇ……そんなことトルバさんは言ってなかったけど……」

「そりゃそうだ。組合の保証もタダじゃないからな」

「え? お金がかかるんですか?」

 

 

 簡単に言えば、商標登録や特許みたいなもんか?

 確か両方ともなんだかんだで登録料みたいな費用がかかるんだよな。

 

 

「ああ、保証させるには組合の幹部に審査してもらわないといけないからな。その審査料というか手間賃として、いくらか請求されるぞ。

 ただその審査料は、組合の幹部の気分次第だったりするからな。最悪審査料だけとられて保証はできない、とごねられる可能性だってある。

 そこで、バーレンシア家の名前を使うわけだ……そうすれば、向こうも無碍むげにはできず、公正な審査と保証をしてくれる」

「あ~、つまりはお金と権力……」

 

 

 世知辛いねぇ、まったく。

 

 しかし、レシピの保証か……ん? んん~~??

 なんだろう、何かちょっと思い当たることが……。

 

 

「あっ! フラチャイド!」

 

 

 ……だっけ?

 

 

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