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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
94/146

10歳:「お祖父様の事情(3)」

 

 

「ケイン様の軍への入隊と大旦那様の関係ですか?」

 

 

 アギタさんは、困った質問をされたという感じの雰囲気になる。

 ちょっと微妙な反応だな。

 

 

「ん~と、アギタさん」

「なんでしょうか?」

「お父様とお祖父様の不和の原因を知ってますか?

 私が聞いた話だと、お父様が15歳の時に何か仲たがいするようなことがあって、それでお父様は軍に入隊したと聞いているんですが、本当ですか?」

「…………」

 

 

 ここで変に駆け引きをしても通じなさそうだし、ならば正面突破しかないだろう。

 せっかく時間をもらって質問をまとめたんだけど……意味がなかったな。そういえば、こういう目上の人との対人スキルって低いんだ、私。

 ただ奇襲は上手くいったのかアギタさんの表情がちょっと変わった。

 

 

「……ユリアお嬢様は何を考えていらっしゃるので?」

「今回は、一番がリックの幸せ、二番が家族を大事に、三番目に私らしくです」

「ほ?」

 

 

 迷いなく言い切る。先日リックと話したときに決めた基準だ。

 

 って、あれ? 私おかしなことは言ってないよね?

 その割にはアギタさんとロイズさんの表情が笑いを堪えているような。

 

 アギタさんは手元のお茶を口に含んで、笑いと一緒に飲み込む。

 

 いや、笑えばいいじゃん、笑いたいなら……ついでに笑いたくなった理由も話してくれると嬉しい。

 

 

「いや、失敬しました……それで、二番の家族の中には大旦那様や若旦那様も入っているので?」

 

 

 む? 家族の条件かー……。

 血のつながり? でも、同じ家に住んでいる人たちはもう家族と言っていいと思うし。

 

 

「私にとっては、お母様、お父様、リック、リリア、ロイズさん、アイラさん、ジル、お祖父様、お祖母様、カイト伯父様、フラン叔母様……までが家族でしょうか。アギタさんもこれからの対応次第ですよ?」

 

 

 こんなところかな? 指折り数えて11人、賑やかだ。

 

 最後に小首を傾げながら、上目遣いでアギタさんに微笑む。

 ふっ、これぞユリア流少女術七奥義の一つ《小悪魔の誘惑デモニックテンプテーション》だぜ!!

 軽い冗談だけど。

 

 

「ほっほっほ……ユリアお嬢様は大家族でいらっしゃる」

「ええ、ですから、お父様とお祖父様にはぜひ仲良くして欲しいのです」

「さて……そういうことでしたら、微力ながらお手伝いしたいところですが、わたくしも大したことは知らないのです」

「小さなことでもいいので、教えてください」

「ケイン様が15歳の軍入隊前の話と言いますと……大旦那様が、ケインさまを時期当主として任命しようとしたことがありました」

「え?

 それは、お祖父様がカイト伯父様ではなく、お父様をミムスェにしようとした、と言うことですか?」

「仰るとおりです。ケイン様はその直後に軍に入隊し、バーレンシアの屋敷から軍の寮へと移られました。

 その時、大旦那様とケイン様の間に何があったのか、それはわたくしも存じておりません」

 

 

 一応、色々と想定はしてたんだけど、なんだろう、この情報は?

 時系列順に並べると、

 

 お祖父様はお父様を後継者にしようとした。

 お父様はそれを嫌って家を出た。

 お祖父様はお父様の入隊をロイズさんに頼んでいる。

 

 となる。

 こうパズルのピースは最後のピースが見つかって、全部揃ったんだけど、実は別のパズルのピースが混じってるような。

 

 う~~ん?

 

 

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