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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
61/146

10歳:「王都を歩こう(1)」

 

 

「あつつ……はむ、もぐもぐ……」

 

 

 味はホタテのバター焼き、食感的にはヒレ肉みたいな感じかな。

 私は串焼きにした〈グラススネイル〉の肉を噛み締めながら、街道を行く人たちを眺めていた。

 

 

「だめだ、ちょっと塩っ気が強い。おじさん、そこのピンク色の液体って何?」

「これか? これはいくつかの果物の果汁を絞って混ぜたもんだ」

「お酒?」

「違う違う、むしろ、酒が飲めないヤツが頼むもんだな」

「じゃあ、それを……いくら?」

「はいよ、半カップで3シリルだけど」

「なら、1カップ分で……」

 

 

 財布にしている小袋から軽銀貨を1枚渡して、おつりに小軽銀貨を4枚もらう。

 大雑把に露店を見ていた感じ、食品や日用雑貨のたぐいは比較的安く、逆に嗜好品や金属類は割高のようだ。

 嗜好品には香辛料や煙草などが含まれる。お酒はピンキリっぽい。

 

 食べるだけなら、1食辺り軽銀貨で4枚、40シリルもあれば成人男性でもお腹が膨れるだろう。

 自炊をすれば、もっと安く抑えられると思う。

 

 カップを傾けて、一口飲むとオレンジ系をベースにマンゴーとスイカが混じったような味がする。

 サッパリとした味で飲み易い。ちょっとぬるいのが残念だけど、こんな人前で大っぴらに魔術を使うわけにも行かないよなぁ。

 冷したら、もっと美味しそうなのに。

 

 

 ウェステッド村とは違い、王都では様々な種族を見かけることができる。

 

 ローブを着ていかにもといった杖を持っているエルフ、両手剣を背負った鱗族と真剣に話をしている爪族、露店でアクセサリーを売っているドワーフ、布教をするマーマンの司祭などなど。

 

 以前読んだ『人類とその大いなる特徴』と題された研究論文の中身を思い出しながら、串焼きとジュースの残りをお腹の中に収めていく。

 

 

 この世界の人類は大きく、人間種、亜妖精種、獣人種の3種に分けられる。

 

 人間種は生活圏によって髪や瞳、肌の色が異なるが1種族とみなされ、ただ人間と呼ばれる。

 

 亜妖精種は主として、森のエルフ、山のドワーフ、草原のポックル、海のマーマンに分かれ、獣人種は主として、牙族きばぞく爪族つめぞく翼族つばさぞく鱗族うろこぞくに分かれる。

 

 各種族とも、基本的には人間とあまり変わらないが、人間との相違点は大体が次のようになる。

 

 

・エルフ:背が高く痩せ型で耳が長い。魔導の【魔法適性】により魔力の効率が総じて高く、魔術に長けている。

 

・ドワーフ:背が低くがっしりとして、魔導の【炎熱耐性】により火や熱に強い。暗視が利く。鉱石や金属の扱いに長けている。

 

・ポックル:平均身長が最も低い種族で、成体になっても人間の子供と間違えられるくらい。手先が器用で、耳が半円のように丸い。

 

・マーマン:身体の一部に魚のようなヒレや小さい水かきがあり、魔導の【水中適応】により水中でも呼吸ができる。ただし、普段は陸で暮らしている。また他種族に比べ、圧倒的に水の精霊に気に入られやすい。

 

牙族きばぞく:犬のような耳と尻尾を持っており、筋力や持久力に優れている。嗅覚がもっとも鋭い。

 

爪族つめぞく:猫のような耳と尻尾を持っており、瞬発力や敏捷力に優れている。ドワーフと同じくらい暗視が利く。

 

翼族つばさぞく:背中に鳥のような翼を持っており、魔導の【飛空の翼】により空中を自在に飛ぶことができる。エルフ族ほどではないが、魔術との親和性が高い。

 

鱗族うろこぞく:トカゲのような尻尾を持っており、人間で言う毛深さのように個体差はあるが、顔や手足などの皮膚の一部がウロコ状になっている。生存力や耐久力に優れており、食事や睡眠が不足しても長く活動できる。

 

 

 ここまでは『グロリス・ワールド』で作れるキャラクターの種族ともほぼ一致する。

 

 違っているのは、この世界にはそれ以外にも細かい種族がいるらしい。

 残念ながら、そういう希少種は人が大勢集まる場所に出てくることは少なく、まだ見たことがない。

 

 

 串焼きとジュースを食べ終わったところで、店のおじさんにお礼をいって、軽食の露店を後にした。

 

 懐も暖かいし、私は可愛い弟妹とジルのためにも何かお土産を買うべく露店チェックを再開する。

 

 本当なら武器や防具の店も見て回りたかったが、今日の所は店の場所を確認するだけに留めておいた。

 今度、余裕があるときにのぞいてみる予定だ。

 

 

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