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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
53/146

10歳:「王都到着、新しい屋敷(2)」

 

 

 新しい家は、前の家よりは少し小さくなったが、8人で住むには十分な広さだった。

 というか、前世の日本で考えると豪邸と言える広さなんだけどな。すっかり、10年間住んだ屋敷の広さに価値観が狂ってしまっていたようだ。

 

 剣術の稽古をしても、隣家に迷惑にならないくらいの庭もちゃんとある。

 

 

 家の中は、いかにも新築ですという新しい香りに満ちていた。

 

 柱や家具に使われている木材、乾いたばかりの土壁、石のタイルや暖炉のレンガ、油で磨かれた金属……人がまだ住んでいない家の匂いがする。

 

 

「とりあえず、一通り荷物を降ろして休憩したら、日が落ちる前に本家に顔を見せに行こうと思う。

 多分、食事は向こうで取ると思うから、そのつもりで……まずは家の中を説明しようか」

 

 

 お父様が、それぞれの部屋を説明していく。1階には大広間と応接室、食堂、厨房、使用人用の私室。

 ロイズさんとアイラさんが中くらいの部屋を1つ、ジルが小さめの部屋を1つ与えられる。

 そして……、

 

 

「「「おお~~」」」

 

 

 なんと前の家と変わらない、いや、むしろ洗い場が一回り広くなった浴室が完備されていた。

 グッジョブ、お父様! しばらくは甘えたい盛りの娘モードになってあげよう。

 

 

 2階は、両親の部屋と寝室、お父様用の書斎、子供それぞれの部屋、物置、それ以外が客室のようだ。

 双子は、今まで両親と一緒の部屋で寝ていたから、初めての1人部屋に興奮していた。

 

 

「お父さま、カーテンはピンクがいいな」

 

 

 さっそくリリアがお父様におねだりをする。

 

 リックは、ドキドキとワクワクともじもじが混じった様な反応。う~ん、可愛いんだけど、いつまでも甘やかしてばっかりじゃなくて、もうちょっと男の子らしく育てなきゃダメか?

 

 私の部屋は、双子の部屋にはない大きな机と本棚が備え付けられていた。

 好みが分かっているのだろう、全体的にシンプルで機能性を重視したタイプだ。うん、悪くない。

 

 

 

 

 新しい家を一通り探索し終わった後、食堂で遅めの昼食とお茶で一息つくことになった。

 

 さっそくアイラさんが新しい厨房で用意をしてくれたようだ。

 なんでも、かまどが使いやすくて、外の井戸まで行かなくても上水道が厨房の真下を通っていて、内井戸のようになっているようだ。便利になったと喜んでいた。

 上水道か……今度、その辺りもちょっと調べてみよう。

 

 

「あれ? グイルさんは?」

「ああ、借りてた馬車を返しに行かせた。ついでに辻馬車を呼んでくるってさ」

「じゃあ、なんでハンスさんがここにいるの? 馬車は2台あったけど、グイルさんを2往復させてるの?」

「ユリアちゃん……一応、おれって部隊の副長で、グイルをパシリに使っても怒られないくらい偉かったりするんだけど?」

「おうぼーなじょーしは、女の人にもてませんよ?」

 

 

 覚えたての言葉を使ってみたい子供っぽく、可愛らしさ満載な声で言ってみました。

 ハンスさんが精神的にショックを受けているようだけど、人間て心にやましい所があると真実を受け入れがたいんだよな、うん。

 

 

 さて、出発しようとした時、またジルが一悶着ひともんちゃくを起こした。

 ジルも本家に連れて行ってもらえると思っていたらしい。

 

 

「だから、ジルはロイズさんたちと一緒にお留守番!」

「ヤだ! ジルはボスが1番好き! ボスとイッショに行く!」

 

「ジルちゃん、お腹すかない? 良い子でお留守番するなら、すぐにご飯の用意をしますよ?」

「……アイラは2番に好き! ボス、ジルはおうちで良い子でマってる!」

 

 

 アイラさんがジルの扱いに慣れたのか、ジルが単純なだけなのか……。

 

 結果オーライなんだけど、こう、少し釈然しゃくぜんとしない何かがあった。

 

 

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