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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
51/146

10歳:「森の屋敷との別れ(4)」

 

 

 朝起きると全体的に柔らかく温かなモノが、私と一緒に毛布に包まれていた。

 

 特に頭部の辺り、モニュモニュと粘液状樹脂枕を思い出す柔らかさだ。

 人肌くらいの温もりがあり…………ぶっちゃけよう、目の前に程よい大きさのオッパイがある。左右きちんと2つ。

 

 

 おぅけぇ、冷静になろうか、私。

 

 ひとまずベッドから出て観察する。間違いなく私の部屋で、私のベッドだ。

 

 滑らかな白銀色の髪、陶器のような白い肌をした美女がそのベッドですやすやと寝息を立てている。

 身長は170イルチくらいだろうか、お父様とお母様の中間くらいで、140イルチの私よりも頭1つ分以上大きい。毛布の上からでも分かる全体的に均整の取れた、とても素晴らしいプロポーションをしている。

 

 どうやら、私が眠っているうちに毛布の中に潜り込んだと思われる。

 

 

 成人男性なら泣いて喜ぶか、昨夜の記憶を必死になって思い出そうとするシチュエーションに違いない。

 

 しかし、女湯に入れる私は、今更、女性の生裸でうろたえたりはしない!

 ……でも、こんな美女の全裸はちょっとクる。

 

 

 ひとまず、謎の美女を揺り起こしてみようか。害意がある人物だとしたら、間抜けすぎだし……。

 

 

「う~ん、むにゃむにゃ…………ん? くあぁ~~!」

 

 

 全裸の美女が寝ぼけ眼に起き上がり、ベッドの上で四つんいになり、グーとお尻を突き上げるようにして伸びをする仕草がとてもなまめかしい。

 目が覚めてきたのか、キョロキョロと辺りを見回し、私の姿を見つけて、にっかりと嬉しそうに笑った。

 

 

「ボス、お早うゴザいます!」

「はぃ? 誰がボス?」

「ボスがボス?」

 

 

 いまいち会話がかみ合わないが、セリフから推測するに、彼女は私のことをボスと言っているよう聞こえる。私には会社や悪の組織を結成した覚えなんかない。

 

 

「ええと、貴方は何で、ここにいるの?」

「ボスと一緒にオートに行く! だから、ジルは人の姿になるレンシュウした!」

「…………もう1回言ってくれる?」

 

 

 あれ、聞き間違えかなぁ?

 

 

「ボスと一緒にオートに行く?」

「その後」

「ジルは人の姿になるレンシュウした!」

 

 

 「エラい? ホめて?」と言わんばかりに、立派な胸を張って宣言する。私の聞き間違えではなかったようだ。

 

 確かにオオカミは王都に連れて行けないと説明をした覚えがある。

 なるほど、人の姿に変身すれば連れて行ってもらえると、完璧な理屈だね。

 

 

「ジル?」

「なにボス? 狩り行く?」

「いや、しばらくは狩りに行かないよ。ということは、やっぱり、貴女はジルなんだ?」

「ジルはジルじゃないの?」

 

 

 おぅけぇ、冷静になろうか、私。

 

 って、さっきもそんなことを考えたような。これは結構動揺しているようだ。

 

 

「ジル、抵抗しないでね……《心がイド 感じるテレース 其の力をドェ・クト 知るテラール》」

 

 あー、【身体強化】と【人型化】の魔導を持っているんだ。

 【人型化】っていうのは、後天的に成長によって取得するタイプの魔導なのかな。ははは……目の前の美女がジルであることが、ほぼ確定しましたよ?

 

 

 

 

 その日の出発が予定より1刻半(3時間弱)ほど遅れ、王都に向かう馬車の中で、銀髪の美女が嬉しそうな笑顔を浮かべていたことを端的に説明しておく。

 

 

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