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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
学術都市フェルベル編
143/146

15歳:「お嬢様をお迎えしましょう(2)」

  

 

「ようこそ、オースギ寮へラシクレンペ様。あた、じゃない、私が管理人のタマコ・オースギです」

「本日はお招きありがとうございます。マルグリット・ラシクレンペです。

 どうぞ気を楽になさってください。学院に所属している以上、ただの学生として扱ってもらうほうが嬉しいです」

「そう仰られるのでしたら……あたしも楽にさせてもらうよ」

 

 

 マルグリット嬢の一言で、タマコさんがふっと肩の力を抜く。

 

 

「それから、あのタマコさんは、かの“仮面騎士の従者”たるタマコ様ご本人なのでしょうか?」

「ぶふっ……な、なんで、それを……」

 

 

 うわー、なんて言っていいのかわからないけど。

 仮面騎士か……仮面騎士ってことはやっぱり、仮面をつけた騎士なんだろうか?

 

 

「ああ、お名前を聞いてもしかしてと思ったのですが、そうでしたのね!

 わたくし、王都で上演していた『仮面騎士の夜』のファンでしたの!

 学園都市には仮面騎士ゆかりの人物がいると聞いておりましたので、ひそかに楽しみにしていたのです!」

 

 

 こうしてみるとほんとマルグリット嬢も普通の女の子だ。

 あれだよな、前世で言うアイドルに夢中になる女子高生と変わらない。

 

 

「あのタマコさん、“仮面騎士の従者”って……」

「言うな、訊くな、お願いだっ!!」

 

 

 私の質問を察して、タマコさんがとても面白い顔になってるなぁ。

 うん、まぁ、この件に関しては触れない方がよさそうか? これ以上のコメントは控えよう。

 

 

「マルグリット様、こんなところで立ったまま話もなんですから、ひとまず座りませんか?

 軽食を用意しておりますし、お茶でも飲みながら……」

「はっ、そうでしたわね。お恥ずかしい、失礼いたしました」

 

 

 マルグリット嬢が軽く会釈をしてテーブルへと向かう。

 私はそっと椅子を引いて、マルグリット嬢が座るのに合わせて椅子を軽くおす。

 

 うーん、無駄のない動きだ。この辺りは息をするように礼儀作法が身についているのだろう。

 

 

「失礼します也」

「……失礼します」

 

 

 マルグリット嬢が座るのを見てからタマコさんとルノエちゃんが席に着いた。

 ちょうどミロンさんがお茶セットを、セラちゃんがカップケーキを載せたおぼんを持って食堂に入ってきた。

 

 

「ああ、ユリア殿も座っていて欲しい也。あとは我がお茶を入れる也」

 

 

 オースギ寮では、ミロンさんにお茶を淹れてもらうことが多い。

 本人が言うにはお茶を淹れるのは薬品の扱いと変わらないし、本人の特徴として温度に敏感なため、大体のお湯の温度が分かり、お茶を淹れるのは得意なのだそうだ。

 

 ミロンさんに言われて、私も席に座る。

 テーブルは長方形で長い辺に、3人ずつが向かい合わせに座るような配置をしている。

 今回の場合、上座に当たる奥側の中央にマルグリット嬢に座ってもらい、その左右に年長者で館の主人であるタマコさんと一応貴族の娘である私が座る形だ。

 ルノエちゃんは私の前に座っている。

 

 

「……いらっしゃいませ、これ、セーも手伝ったんだよ」

「あら、ありがとう」

 

 

 セラちゃんがはにかむようにマルグリット嬢の前にカップケーキを置いていた。

 うん、何か手伝いたいっていうから混ぜるのと焼き型に流すのを手伝ってもらったんだよね。

 

 この間も思ったけど、こうして並んでいるのを見るとマルグリット嬢とセラちゃんが同い年とは思えないなぁ。

 

 

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