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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
学術都市フェルベル編
138/146

15歳:「市場のちょっとした騒動(3)」

 

 

「えーと、市場に買い物に来たところで、人だかりができているからなにかあったのかなって?

 覗いてみたら、知り合いがガラの悪そうなゴロツキに囲まれて、どうしようかと迷っていた結果、やっちゃた」

 

 

 「てへっ」と可愛らしく誤魔化してみる。

 女の子を15年もやってれば、この程度の芸当は朝飯前よ!

 

 

「てへっ、じゃあありませんわ! そもそも! あなたとは顔見知りとはいえ、理由もなく助け合うような仲ではないでしょう!」

 

 

 もちろん通じない相手には一切通じないけどな。

 

 

「いや、それがね。そっちの子が、うちの子なもので……」

「えっ……あなた子持ちでしたの!?」

「違うっ!! っとと!?」

 

 

 マルグリット嬢の誤解を解く前に、残った2人の男のうち片方が襲いかかってきた。

 私を捕まえようとしたのか、両手を振りかぶってきたのをサイドステップで避ける。

 空気の読めない男は嫌われますよ、っと! すれ違いざまに膝を軽く曲げて、男のボディに叩き込む。

 

 

「ぐふっ……」

 

 

 襲いかかってきた男が体をくの字にまげて、うめき声をあげて崩れ落ちる。

 多少は手加減(足加減?)はしたから、内臓に損傷はないはず。

 

 うーん、思った以上にこのゴロツキどもは弱いな、動きが鈍いし隙が多い。

 これなら多分ペートの方がまだ強いな。肉体的な素早さは、魔術を使っていない時の私より高いし。

 

 ……得物を抜かなかったのだけは評価してもいいか。

 

 

「で? どうします? そろそろ連盟の警備員も到着するっぽいですけど、残って事情説明してみます?

 そろそろ酔いもさめたのでは? 昼間っから飲むからこういうことになるんですよ」

 

 

 もちろん、私には相手がお酒を一滴も飲んでいないことはわかっているが、そういうことにしておいた方がいいでしょう?

 言外にそういったメッセージを込めてみる。

 

 最初に殴った方は、ダメージは残っているみたいだが、立ち上がって私の方を鋭くにらんでいる。

 

 

「正当防衛を主張するつもりはありませんが、この辺りで引き分けませんか?

 私たちは何も気にしていませんから、そちらも気にしないでくださいね」

 

 

 最後通牒として、とっとと去るように視線で促す。

 

 最初に殴った男がくるりときびすを返して人垣を割るように去っていく。

 一撃も食らっていない男があわてて膝蹴りを食らった男を助け起こしながら、その後を追った。

 

 後ろでマルグリット嬢が何かを言いたそうにしていたが、ぐっと堪えたようだ。

 多分、男たちを逃がすことに抵抗感を覚えつつも、私の対応を即座に否定できなかったのだろう。

 

 

「セラちゃん、大丈夫?」

「……だいじょうぶ。ユリアちゃん、強い」

「まぁ、小さいころから体は鍛えてるからね。私とこの子は同じ寮の寮生なんです、マルグリット様」

「……そう」

 

 

 私とセラちゃんが知り合いであることを気にしているマルグリット嬢に簡単に事情を説明する。

 しかし、素っ気ないのがまたそそるな。

 

 

「ひとまず、この場から移動しましょう。このままだと色々と面倒ですし」

「な、ちょっと……」

 

 

 セラちゃんとマルグリット嬢の手を取って、足早にその場を去る。

 マルグリット嬢が一瞬躊躇う素振りを見せたけど、移動することに否定はないようで、黙ってついてきてくれた。

 

 

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