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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
学術都市フェルベル編
136/146

15歳:「市場のちょっとした騒動(1)」

 

 

 オースギ寮では、基本的に管理人であるタマコさんが食事を用意してくれる。

 普段のタマコさんのざっくばらんな性格を見ているとそうとは思えないが、料理、掃除、洗濯、裁縫などの技量には問題なく寮の仕事をこなしている。


 一度、「いいお嫁さんになれそうなのに……」とうっかり口を滑らせてネチネチと絡まれてしまった。

 

 私が寮に入ってすぐのころ、挨拶代わりに料理をふるまったことがある。やはり前世の料理は新鮮らしく、寮の全員にとても喜ばれた。

 特に喜んだのがタマコさんだろう。昔に食べたことがある懐かしい味がするといっていた。

 そのあとも時々料理をふるまっていたのが定例化して、今では3日に1度のペースで何かしらの料理を作ることになっている。

 

 

「えーと、前回はカルボナーラもどきだったから、今日は中華かなぁ。ミロンさんにこの間のお礼も兼ねて、辛い系の料理……川エビのエビチリとか?」

 

 

 ……自分で言っておいてなんだけど、猛烈にエビチリが食べたくなってきた。

 市場に売っている素材でエビチリは再現できるか?

 

 えっと、ケチャップっぽいものはオムレツに使うための作り置きがあるし、この間市場で見かけた川エビなら大きさも十分だろう。

 エビを揚げる片栗粉は小麦粉で代用できるか? ケチャップのとろみは、芋をすりおろして間に合わせるとして……

 

 

「川エビのから揚げチリソースがけ……うわ、美味しそうかも?」

 

 

 芋は常備してあるし、川エビを買って、あとはキノコでも買ってスープを作るかな。

 そんなことをダラダラと考えながら歩いていると、市場に到着した。

 

 と、なんだか大通りの一角に妙な人だかりができている。何かあったのか?

 

 

「……くしを誰だか知っているのかしらっ!?」

 

 

 …………あ、ちょっと聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 壁になっていた人をちょっと押しのけて前へと出ると、3人組の男と2人組の少女が向かい合っていがみ合っている。

 少女のうち片方がもう片方をかばうような動きをしているため、いがみ合いは事実上3対1みたいなものだ。

 

 3人組は傭兵かただのゴロツキかはわからないが、腰に剣や手斧といった得物を下げている。

 普通なら関わりたくないようなタイプだ。いがみ合いを見守っている人々も同じような心境なのだろう。

 騒いでいる5人を遠巻きにしている。

 

 私もよほどのことがなければ、遠巻きに見ておこうかと思ったんだけど。

 ゴロツキに食って掛かっている勇敢な女性こそ、マルグリット・ラシクレンペ嬢その人だった。

 

 

「……それに、なんでセラちゃんが一緒にいるんだろ?」

 

 

 思わずポロリと口から疑問がこぼれる。

 マルグリット嬢にかばわれている少女はマーマンのセララセラこと、オースギ寮のマスコット(私認定)のセラちゃんだ。

 

 

「すみません、これってどういう状況ですか?」

「ん? ああ……その、あの小さい子がゴロツキに言いがかりをつけられているところに、あのお嬢さんが飛び込んで……という状態だね。

 たぶん、誰かが連盟の警備員を呼びに行っているはずだから、すぐに収まるよ」

 

 

 ただ見ているだけの状態に少し罪悪感を感じたのか、いいわけっぽく状況を説明してくれる。

 


 さて、どうしたものかな。

 

 

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