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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
学術都市フェルベル編
116/146

15歳:「オースギ寮の住人たち(1)」

 

 

「……リアちゃん、……」

 

 

 うー、なんだか、とても眠いんだ……あと5刻(約10時間)ほど、寝かせて……。

 

 

「それじゃあ、1日が終わっちゃうよ。ほら、ユリアちゃん、起きて……」

 

 

 ユサユサと私を揺する手を掴んで、クイッとバランスを崩す。

 

 

「わきゃっ!?」

 

 

 私の上に倒れそうになるルノエちゃんの身体を、上手く誘導して毛布の中に引っ張り込む。

 ロイズさんに教えてもらった捕縛術を応用して両手両足で動きを封じ、そのまま抱き枕代わりにする。

 

 

「ユユユ、ユリアちゃんっ!! おっ、お願いだから、目を覚ましてっ!!」

 

 

 うわっ!?

 

 耳元で大きな声を出されたのを切っ掛けに、私の意識がゆっくりと覚醒し始めた。

 んー、窓から日が差し込んでいると言うことは、まだ朝方のはず。

 

 

「つまり、挨拶は、おはよう?」

「お、おはようー……」

 

 

 狭いベッドの中、毛布は一枚、私の手の中にシッカリとハマっているルノエちゃん。

 

 

「ルノエちゃん、朝から人のベッドに入り込むだなんて、大胆だね」

「ちち、違うよっ!?

 ユリアちゃんが、わたしをベッドの中に引っ張り込んだんだよぉっ!?」

 

 

 必死になって無実を主張するルノエちゃん。可愛いなぁ。

 こう思わずホッペをムギューとしたり、抱っこして頭を撫でてあげたくなる可愛さ。

 まぁ、年齢も体格もほとんど同じくらいなんだけどね。

 

 言われてみれば、ルノエちゃんの言うとおり寝ぼけて引っ張り込んだような気がしないでもない。

 

 まぁ、中身はどうあれ私の体は女の子だし、どこにも問題はないね。

 ルノエちゃんをギューと抱きしめても全然問題はありません。

 

 

「ううううう……お願い、そろそろ離して……」

「私、抱かれ心地には自信があるんだけど、どうかな?」

 

 

 リリアとかジルとか、それとリックとかには大絶賛なんだよ。

 というわけで、もう一回ギューと。

 

 

「おーねーがーいー、はーなーしーてーー!!」

 

 

 ふむ、「お願い」っていうのは、ルノエちゃんの口癖の1つだな。

 

 私が手足の拘束を解くと、水を浴びかけられた猫のように、ベッドから部屋の壁際まで一気に逃げ出した。

 そして、おもむろにスーハースーハーと深呼吸をしている。

 

 そんなルノエちゃんを横目に、すっかりと目が覚めた私は、服を脱いで……

 

 

「うあっ!? わ、わたし、先に食堂に行ってるから……っ!!」

 

 

 顔を赤くしてルノエちゃんが部屋から跳び出て行く。

 ふむ、別に全裸になったわけでもないのに、下着姿であそこまで慌てるとは、まったく初心だなぁ。

 

 脱いだ服を扉の近くにある籠の中に投げ入れ、適当にチェストから服を取り出して着替える。

 籠の中に入れておくとあとで寮母さんが回収して洗濯して、また部屋に届けてくれる。

 

 軽く柔軟と体操をして体をほぐすと、私も食堂へと向かった。

 

 

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