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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
114/146

10歳:「仲良しが一番!!」

 

 

「ただいまー」

 

 

 挨拶をして玄関をくぐると、タタタッという音が聞こえる勢いで駆けるリリアが、私の右腕にしがみつくように飛び込んできた。

 

 

「おかえりなさいませ、おねえさまっ!!」

「こらっ、リリア。飛び込んだら、危ないでしょ」

「だって……」

 

 

 とリリアが何か言い訳をしようとした時、今度はダダダッという音、リリアよりもずっと重量感があり……

 

 

「ボースーー!!」

「ジ、ジル待てっ!! うわっ!?」

「きゃあっ!?」

 

 

 ジルがリリアと反対側に飛び込んでくる。

 対格差のせいで勢いを受け止めきれず、リリアを巻き込んで一緒に倒れこんでしまう。リリアが床にぶつからないように、自分の体を下にして、受け身を取る。

 

 

「あたたた……ジル、ちょっとどいて。大丈夫、リリア?」

「はい、だいじょうぶです……」

 

 

 ジルがパっとどいたので、リリアを先に起こして、自分も起き上がる。

 いつつ、こりゃ、背中か腕のどこかが打ち身になっているかも……あとで魔術で治そう。

 

 

「ボス、おかえりなさい!」

「あのね、ジル……」

「何するのよ、このバカ犬!!」

「ジルは犬じゃない!! オオカミ!!」

 

 

 うーー、むーー、と2人が睨みあう。

 

 

「……おかえりなさい、お姉さま」

「ただいま、えーと、あの2人はまた?」

「はい、またです」

 

 

 リックが困ったような顔をして、私の質問を肯定してくれた。

 まぁ、あの2人が喧嘩をする原因なんて、単純なもので……。

 

 

「ボスはリリアより、ジルの方が好きだ!」

「そんなことないもん、おねえさまはバカ犬より、わたしの方がずっと好きだもん!」

「ジルの方がずっとずっと好き!」

「わたしの方がずっとずっとず~~っと好きなの!」

「ジルの方が……」

「わたしの方が……」

 

 

 やれやれ。モテる女はつらいな。

 

 

「はい、2人ともこっちに注目ー」

「何ボス?」「何おねえさま?」


「私は喧嘩する子は大っ嫌いです」


「「っ!?」」

 

 

 口喧嘩に夢中になっていた2人に、とっておきの言葉をかける。

 恐る恐るといった感じに2人が私のほうを見てくる。それににっこりと笑ってうなづく。

 

 そうすると、リリアとジルはお互いにお互いを探るように見つめあい。

 

 

「「ごめんなさい」」

 

 

 そして、同時に謝罪の言葉を口にする。

 

 喧嘩するほど仲がいいって言うし、この2人は、本当に仲は悪くないのだ、きっと。

 

 

 でも、喧嘩するより、仲良しなのが一番いいよね。

 

 


 

 

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