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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
107/146

10歳:「お父様の本音(3)」

 

 

「ユリア、今なんて?」

「え、お父様が軍に入ることをロイズさんにお願いした時、お祖父様はお父様のことをよろしく頼むと、ロイズさんに言ったと聞いています、けど」

「それは誰から聞いた話?」

 

 

 少し真剣な目をして、私に問う。

 

 

「ロイズさんから、直接聞いた話ですけど……?」

「…………」

 

 

 お父様は机の上に肘をつき、組んだ手に軽くあごを当てる。

 色々な思いが渦巻いているみたいな悩ましい面持ちで、考え込みながら遠くを見詰めるような眼差し。

 

 

「……た」

「え?」

 

 

 お父様が、訝しげにボソッと呟く。

 

 

「う、ん……その話は初めて聞いた、と言ったんだ」

 

 

 んん? だって? あれ?

 私はロイズさんから聞いた。

 けど、お父様は知らない話だった。

 ということは、ロイズさんはお父様には話していなかった、むしろ黙っていたということ?

 

 それじゃあ、なんで、私には話してくれたんだ?

 

 

「…………」

「…………」

 

 

 今、この書斎に満ちている空気を調べたら、困惑成分が大量に検出されるだろう。

 

 う~ん、違うパズルのピースが混じっているという感覚があったけどな。

 そもそもどこかで前提が間違えている気がする。

 

 というか、すぐ最近似たような思いをしたような気がするんだけど、なんだっけ。

 

 多分重要なヒントになるはずだ。思い出せー……思い出せー…………。

 

 

「あっ!」

「ユリア、どうしたんだい?」

「ああ、いえ、すみません……ちょっと、喉のつっかえが取れたもので」

「のど???」

 

 

 フランチャイズだ!!

 

 いや、今はもう、これは心底どうでもいい。

 なんでこのタイミングで……結構悔しい……。

 

 ひとまず、フランチャイズのことは忘れるとして……せっかく思い出したのに。

 お父様の疑問だらけの視線も軽く無視する。

 

 

 気になったのは、私の変装とペルナちゃんだ。

 

 私は変装が上手くいっていると思っていた。

 けど、ペルナちゃんは、私のことを最初から女の子だと思っていた。

 

 2人とも自分の考えが当たり前だと思っていたから口にしなかったし、とくに問題にはならなかった。

 だから、今日、ペルナちゃんに最初から私の性別を知っていたと言われた時……私は驚いたし、ペルナちゃんは不思議そうな顔をしていた。

 

 それと同じことなんじゃないだろうか?

 

 

「お父様、お話をしましょう!!」

「ユリア? いったい何の話をするんだい?」

 

 

 さて、お父様と今後の計画について相談しよう、そうしよう。

 

 

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