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【未完旧作】攻撃魔術の使えない魔術師  作者: 絹野帽子
王都ラシクリウス編
103/146

10歳:「ペルナちゃんの秘密(2)」

 

 

「ペルナちゃん、ちょっと魔術を使うけど、心を楽にして受け入れてくれる?」

「はい、わかりました」

 

 

 相手の能力を詳しく探る魔術は、対象が私を信頼してくれていないと【一角獣の加護】によって効果が発生せずに失敗となる。

 対象の名称や体格を知るくらいなら大丈夫なのだが、相手の力を強制的に暴こうとすると攻撃の1種として判断されてしまうようだ。

 

 

「《心がイド 感じるテレース 其の力をドェ・クト 知るテラール》」

 

 

 まず、【魔法適正】、これはエルフの種族的な魔導だな。それから……。

 

 

「【精霊の加護】持ちだね……」

「ほう、それはすごいな。何の精霊の加護を受けているんだ?」

「えっと、石精霊と樹精霊ですね」

「はっ?」

「石精霊は地精霊の1種、樹精霊は森精霊の1種ですね」

 

 

 特定の精霊を除いて、精霊とは同じ種類の精霊に対する分類であり、わかり易く言えば種族のようなものである。

 精霊は大体が6体の精霊王の配下であり、精霊王の配下とその他のそれ以外の精霊に分類される。

 

 石精霊や泥精霊は広義の意味では地精霊とされるが、石精霊と本来の地精霊は存在理由の異なる存在だ。

 地精霊が地面を司るのに対して、石精霊は石や岩などの塊を司る。

 そこに優劣はなく、地精霊も石精霊も等しく地の精霊王の配下となる。

 同様に森精霊は森林を司るのに対して、樹精霊は樹木そのものを司っており、両方とも森の精霊王の配下となる。

 

 その他に分類されるのが、月精霊や太陽精霊などの、精霊王以外で唯一の存在である精霊たちといえる。

 

 さて、ここからは推測となるが、街の中でもっとも溢れている物資といえば石材と木材だろう。

 つまりは、石と樹なのだ。

 これがペルナちゃんが、目が見えなくて周りのものが見えた理由ではないだろうか?

 私の性別がばれた理由にはなってないから、それはもう天性のものなんだろう。シズネさんの観察力と同じだ。

 

 

「いやいやいや!? それは本当か!?

 ああ、お嬢様が嘘つく必要なんかどこにもないのはわかっているが……」

「えっと? もしかして精霊の名称って、そんなに広まっていないのですか?」

「や、そっちじゃなくて……2種類の精霊から加護を受けてるって?」

「はい」

 

 

 『グロリスワールド』に登録されている全種類の【精霊の加護】を取得しようとして頑張っていた先輩がいたなぁ、就活しなきゃとか言いながらゲームをしてたけど、あの人は無事に就職できたのだろうか……。

 こんな風にとりとめもなくふっと前世の記憶がよみがえると、同時に胸が締め付けられるような気分になる。

 最近は起こっていなかっただけに油断していた。

 

 

「あ~、う~……もう、お嬢様だからとしか言いようがないな……」

 

 

 なんか軽くひどいことを言われているような気がする。

 

 

「お嬢様、それとペルナちゃん……【精霊の加護】持ちは【小獣の加護】持ちと比べれば、数は多い、それでも1~2,000人に1人くらいと言われている。普通の人間が精霊と交信できる機会は珍しいからな。

 けどな。2種類の加護をもっているとなると、【精霊の加護】持ちの中でも4~500人に1人、一説によれば、精霊同士の影響力が関係しているらしいが詳しいことはよくわかってない。

 確かラシク王国の人口3,500万人の中で確認されている2種類の加護持ちは、50人もいなかったはずだ」

「もしかして、【霊獣の加護】持ちと同じくらい稀少な存在だったりします?」

「大雑把に言えば同じくらい珍しいな。もっとも【精霊の加護】持ち自体が珍しいわけじゃないから、騒がれにくいけど……」

「え、えっとえっと……どういうこと、ですか?」

 

 

 ペルナちゃんが自分のことを言われているのにもかかわらず、ロイズさんの慌てっぷりがピンときてない様子だ。私も同じだから、気持ちはよくわかる。

 ペートの方も、私が女性だと知ったあたりから、話の展開についてこれていないようだ。

 

 

「ロイズさん、つまり、どういうことですか?」

「……端的に言えば、こうなったも何かの縁だ。この2人はバーレンシア家うちで保護した方がいい」

 

 

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