表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第1話

東亜経済新聞 2035年6月3日(水)朝刊 第一面

【一般用労働代替機、国内累計導入50万台を突破 NEXUS、年内100万台へ増産体制】


NEXUS Labor Systems(本社・カリフォルニア)の家庭用Proxy「NX-7シリーズ」の国内累計導入台数が50万台を突破したことが、同社の発表で明らかになった。2033年の第一世代機発売からわずか2年での達成となる。同社広報は「Proxyの普及が、家族と過ごす時間を人々に取り戻している」と述べた。

政府は来年度より導入費用に対する減税措置を拡充する方針で、市場調査会社は2040年までに全世帯の約30%への普及を見込む。

関連記事(社会面12面)「パパが帰ってくるようになった」 Proxy導入家庭の声




さいきん、お家がきれいだ。ぼくのお部屋は使わないプリントがいっぱい広がってたけど、今はテレビの家具の「こまーしゃる」に出てくるみたいな、ととのったお部屋になってる。


「単純な入力作業をしなくて済むようになった」、「大事な仕事に時間がたくさん使える」、そうお父さんが言ってる。たしかにお父さん、さいきんは元気そう。前は休みの日も疲れてそうだったのに。


「毎日献立を考えなくていいし、なにより料理を作ってくれるってこんなに幸せなことだったのね」、「もう洗濯も任せられる。雨を気にしなくてよくなった」、お母さんはこんな風によろこんでる。お母さんもあんまりイライラしなくなった。


全部理由はしってる。「ぷろきしぃ」という「えーあい」のおかげ。


「ぷろきしぃ」は、学校のともだちのお家にはまだそんなにいない。「ぷろきしぃ」といっしょに暮らしてるともだちは3人だけ。だからみんなうらやましがる。「えー、いいなー、うちにもほしいな。こんど遊びに行っていい?」、みんな新しいロボットを見たがって、よくうちに遊びにくる。


「ぷろきしぃ」は別にいっぱいお話ししてくれるわけじゃない。あしたの天気とか、アニメの放送時間は教えてくれるけど、ちょっとむずかしいこと聞くと答えてくれない。こないだ、学校でけんかしちゃったから仲直りのしかたを聞いたけど、「パパとママに聞いてね」って言われちゃった。「どうして教えてくれないの?」って聞いてみたけど、それ以上はなにも答えてくれなかった。「えーあい」にもわからないぐらい、むずかしいのかな。


「あんまりProxyを困らせないでね。遊び相手じゃないんだよ」、そうお母さんに言われた。


向こうからはお話ししてくれない。でも「おはよう」っていったら「おはよう」って返してくれる。それだけでも、ちょっとおもしろいかもしれない。


今日の夜ご飯はなにかな。台所からお魚が焼けるにおいがする。どんなかんじでに料理してるのかな。ちょっとのぞいてみる。器用におやさいを切ってる。「げ、今日のご飯ににんじん出てくる」。でも、「すごいなぁ、人間みたいだなぁ」と思わずかんしんする。白いアームがまったく同じにんじんをテンポできざんでいる。


そうだ忘れないうちに。ソファーに座ってるお母さんのもとへ向かう。「お母さん、宿題やったから、れんらくちょうにサインして」、呼びかけたのにへんじしてくれない。イヤホンしてる。音楽聞いてるみたい。もっと近づく。のぞきこんで、「ねぇ、お母さん?」、すると少しおどろいた顔をして、「何?」と聞きかえしてくる。「宿題やったから、これ」とわたすと、テーブルにあったボールペンでささっとサインを書く。するとイヤホンをはめ直して、また続きをききだす。その気持ちわかる、最後までききたいよね。宿題終わったし、僕もアニメ見なきゃ。


夜ご飯には、やっぱりにんじんがでてきた。しかもサラダに入ってたから生。においがきらいなんだよね。でもおかずのステーキはおいしかった。テキパキと食器をかたずける「ぷろきしぃ」を横目にアニメの続きをみる。


「もうこんな時間。そろそろお風呂入りなさい、もう9時よ」、今、そう言われてやっと気づく。ほんとだ。アニメに夢中になっていたら、すっかり夜おそくだ。


お湯につかる。ぼーっとかんがえる。明日も学校が楽しみだ。みんなとたくさんお話しできるし、いっしょに遊べる。今日のアニメみんなみたかな。まだ誰にも話してないけど、しゃべりたいことがいっばいある。ちこくしないように早くねよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ