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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat


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第3話

息がもたない。

喉が焼けるように熱い。

肺が悲鳴を上げている。


「っ……!」


足裏に鋭い痛みが走る。

小石を踏み抜いた。

それでも止まれない。

背後から迫る気配は、むしろ距離を詰めてきている。


(速い……!)


木の間を縫うように走る。

だが、地面の状態は最悪だ。

裸足では踏み込みが甘くなる。

バランスも崩れやすい。


「チッ……!」


後ろを振り返る余裕はない。

だが分かる。

――もう近い。

草をかき分ける音が、すぐ背後にある。


「くそっ……!」


視界の先、少し開けた場所に飛び出す。

その瞬間だった。

横から、白い影が飛び出した。


「っ――!」


反射的に身体をひねる。

だが避けきれない。

肩に衝撃が走り地面に叩きつけられる。


「ぐっ……!」


息が詰まる。

視界の端に、そいつが映る。

白い毛並み。

赤い目。

ウサギ――に見える。

だが、大きさも、気配も、まるで違う。


(魔物……かよ)


直感がそう告げる。

ゆっくりと立ち上がる。

距離は、もう数メートルもない。

ウサギは低く身構え、こちらを見据えている。

逃げるか。

一瞬、考える。

だが――


(無理だ)


追いつかれる。

確信があった。


「……やるしかねえか」


拳を握る。

警察官として、最低限の格闘技は叩き込まれている。

だが――


(通用する相手じゃねえ)


それも分かっている。

ウサギが動いた。

地面を蹴る音すら聞こえない。

速い。


「っ!」


とっさに腕で防ぐ。

衝撃。


「ぐっ……!」


そのまま弾き飛ばされる。

地面を転がり、背中を打つ。

痛みが走る。


(……ダメだ)


レベルが違う。

体が言うことを聞かない。

ウサギは間合いを詰めることなく、様子を見ている。

まるで――


(遊ばれてる……?)


背筋が冷える。

立ち上がるものの足が震えて身動きが取れない。


「はっ……」


乾いた笑いが漏れる。

(これで終わりかよ)

警部として、いくつもの現場を見てきた。


だが――

こんな終わり方は、想像していなかった。

ウサギが、再び動く。

一直線に、こちらへ。


(避けきれない)


分かっている。

それでも、手が動いた。

無意識だった。

迫る魔物へ、手を突き出す。


「――ッ、来るなあああッ!!」


叫んだ、その瞬間。

視界が白く染まった。

音が消える。

空気が凍る。


何かが――切り替わる感覚。


「……え?」


気が付くと、静寂だった。

目の前で、ウサギが崩れ落ちる。

ドサリ、と鈍い音を立てて。

動かない。


「……は?」


息を整えることも忘れ、ただ見つめる。

傷は――ない。

だが、確かに倒れている。


(……何が起きた?)


理解が追いつかない。

ゆっくりと近づく。

警戒しながら、足で軽く触れる。

反応はない。

完全に沈黙している。


「……倒した、のか?」


実感が湧かない。

そのときだった。

視界に、文字が浮かぶ。


【魔物を討伐しました】

【経験値を獲得】

【スキルポイントを獲得】


「……ああ?」


さらに表示が重なる。


【レベルが上昇しました】

【Lv1 → Lv3】


「……は?」


思わず声が漏れる。


「いや、上がりすぎだろ……」


一体倒しただけだ。

それなのに、2レベル上昇。

理由は分からない。


だが――


(さっきのスキルか……?)


頭の片隅で、そんな考えがよぎる。

だが、それ以上に。

ゆっくりと、自分の手を見る。

さっき、突き出した右手。

何も変わらない。

見た目は、ただの手だ。


「……今のは、なんだ」


心臓が、嫌な音を立てる。

あの瞬間。

確かに何かが“発動した”。

理解できない。

だが、確信だけはある。


「……俺がやった、のか」


風が吹く。

草が揺れる。

だが、もうさっきの気配はない。

完全な静寂。


「……助かった、のか?」


その場に力が抜ける。

膝をつき、荒く息を吐く。

全身が震えている。

恐怖と――

わずかな興奮。


「……なんなんだよ、この世界」


小さく呟く。

だが答えはない。

ただ一つ、はっきりしていることがある。


「……生き残った」


それだけだ。

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