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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat


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第2話

風が頬を撫でた。

草の匂い。湿った土の感触。遠くで鳴く鳥の声。


「……は?」


目を開けた瞬間、理解が追いつかなかった。

視界いっぱいに広がるのは、見たこともない草原。

空は妙に高く、色もどこか違う。


ゆっくりと上体を起こす。

体は動く。意識もはっきりしている。

だが――


「……なんだこれ」


視線を落とす。


黒いスーツ。

見慣れた、仕事着。

確かに昨夜、これを着たまま帰宅した。

だが足元を見て、思わず眉をひそめる。


「……靴、ねえのかよ」


裸足だった。

草の冷たさと土の湿り気が、直接伝わってくる。

小さな石が足裏に当たり、現実を妙に強く実感させた。


「ここ、日本じゃないな……」


頭の中に、最後の記憶が浮かぶ。


行方不明事件。

現場。

あの“読めない本”。


そして、帰宅して――そのまま眠った。


「……夢、じゃないよな」


頬を軽くつねる。

痛みはある。

現実だ。


「……異世界、ってやつか?」


口に出して、少しだけ苦笑する。

突拍子もない話だが、

今の状況を説明できる言葉はそれくらいしかない。


「……まさに、転生ものだな」


深く息を吐く。


(落ち着け。状況確認だ)


周囲を見渡す。

見通しはいい。隠れられる場所は少ない。

そして――裸足。


「……最悪のコンディションだな」


そう呟いた、そのときだった。

視界の端に、淡い光が浮かぶ。


「……なんだ?」


意識を向けると、それははっきりと形を持った。


【ステータス】


名前:――

年齢:18

職業:村人 Lv1 / Lv50


HP:100 MP:100

STR:10 DEF:5 INT:10 MDEF:5 DEX:10 LUK:5


スキルポイント:100

能力:■■■


「……出たな」


小さく呟く。


ゲームの画面そのものだった。


「……完全に、そういう世界か」


額に手を当て、短く息を吐く。

だが混乱している暇はない。


「……スキルは」


意識を向けると、表示が切り替わる。


■スキル一覧(村人)

・STR微上昇 Lv1(+1%)【5P】

・DEF微上昇 Lv1(+1%)【5P】

・INT微上昇 Lv1(+1%)【5P】

・MDEF微上昇 Lv1(+1%)【5P】

・DEX微上昇 Lv1(+1%)【5P】

・LUK微上昇 Lv1(+1%)【5P】

・採取効率化 Lv1【10P】

・疲労軽減 Lv1【10P】


「……地味だな」


率直な感想が漏れる。

戦闘に直結するようなものはない。

だが、完全に無意味でもなさそうだ。


細かい数値や仕様は、正直よく分からない。


「まあいい。後で考えるか」


今はそれどころじゃない。

視線が、別の項目に移る。


■スキル取得(特殊)

・取得経験値倍加 Lv1【50P】

・取得スキルポイント倍加 Lv1【50P】

・レベル限界突破【100P】


「……こっちは分かりやすいな」


内容は単純だ。


「成長が早くなる、ってことか」


短く考え、すぐに結論を出す。


「なら、こっちだな」


迷いはなかった。


【取得経験値倍加 取得】(消費:50)

【取得スキルポイント倍加 取得】(消費:50)


表示が更新される。


スキルポイント:0


「……よし」


これでいい。

そう思った、次の瞬間だった。

風が、不自然に止んだ。


「……っ」


足元の草が揺れる。

一定の方向へ――押し分けられるように。

視線を向ける。


白い影。

低い位置で、速く動く何か。


(……動物?)


いや――違う。

背筋に冷たいものが走る。


(勝てない)


理由は分からない。

だが、確信だけがあった。

しかも裸足。

まともに戦える状態じゃない。


「……最悪だな」


それでも、選択肢は一つ。


「……逃げるしかない」


地面を蹴る。

足裏に痛みが走る。

小石が食い込む。

それでも止まらない。

背後で、草を踏み荒らす音が迫る。


速い。


「チッ……!」


進路を変え、木の陰へ飛び込む。

足を取られ、体勢を崩しかける。


「くそっ……!」


心臓が激しく鳴る。

呼吸が荒れる。


「冗談だろ……初日だぞ……!」


異世界。転生。チート。

そんな言葉は、もう頭から消えていた。

あるのはただ一つ。


「……死ぬかもしれねえな、これ」

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