候補の波
カヴァーデルがテーブルを軽く叩いて、会議を進めた。
「Sランクはこれで四名確定だ。次は残り六名。Aランク中心に回していこうか」
彼は部屋を見回し、静かに言った。
「Aランクからの候補者はいるか?」
ギルド員ロードがすぐに立ち上がった。
「サイレンが適任と思われます」
ロードは手元の書類を一枚取り出し、テーブルに広げて配った。
皆の視線がその紙に集まる。
サイレンの戦闘実績が、詳細に列挙されていた。
高難度モンスターの討伐数、単独での長時間戦闘記録、チーム支援での貢献度……どれもSランク級の数字が並んでいる。
カヴァーデルが書類を睨みながら、眉を上げた。
「なんでコイツ、Aランクなんだ?Sランククラスの実力あるんじゃないのか?」
ロードは落ち着いて答えた。
「昇格試験を受けてないからです。本人は『まだその時じゃない』と断り続けていまして……」
カヴァーデルはため息をついて、書類を指で叩いた。
「お前、今すぐコイツに昇格試験受けるように伝えておけ。それで、モンスター討伐もこれ……Cランクメンバーと一緒にやってるな?これは、大丈夫だろ。よし、このサイレン加えよう」
彼はロードに軽く頷いて、視線を部屋に巡らせた。
「他いるか?」
エセスは席で息を潜めていた。
心臓が少し速く鳴っている。
(まだAランク候補が出てる……ここでBランクのリスティを出すのは早すぎるかも……でも、性格重視の流れが続いてる今がチャンス……いや、待て。もう少し様子を見て……)
彼女は書類の端を指で強く押さえ、迷っていた。
その時、ギルド員マーレイがゆっくり立ち上がった。
「私からも一人、提案させてください」
マーレイは自分の書類を一枚取り出し、静かにテーブルに置いた。
皆の視線がそちらに向く。
エセスは息を呑んだ。
(まだ……?私の番は、まだ来ないのか……?)
会議は、まだ続いていた。




