表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積み重ねの果てに  作者: 星狼
酒席の決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/22

変わらぬ日常

ーー数日後。


ギルドのカウンターは、いつも通り静かだった。

リスティが扉を押し開け、荷物を下ろす。

今日も依頼を終えての報告に来ただけだ。


「お疲れ様です、エセスさん」


エセスは笑顔で報酬の袋を差し出した。

いつものように、紙コップのコーヒーを添える。


「本日もお疲れ様でした、リスティさん」


リスティは報酬を受け取り、コーヒーを手に取った。

カップの温かさが、疲れた指に染みる。


エセスは一瞬、迷った。

ランク制度の改革は、もう決定事項だ。

リスティの地味な積み重ねが、飲み会のあの夜に火をつけ、ギルド全体を動かした。

彼に伝えるべきか……?


でも、エセスは静かに首を振った。

(……今は、必要ない)


制度は必ず変わる。

リスティはすぐに昇格して、結果が出る。

今伝えるより、変わった後の「いつも通り」の方が、彼らしいと思った。


リスティはコーヒーを一口飲んで、尋ねた。


「明日の仕事、何かありますか?」


エセスは書類の束から一枚を取り出し、差し出した。


「はい、近場の簡単な仕事です。4名のゴブリン討伐。二時間ぐらいで終わると思います」


リスティは書類を見て、軽く首を傾げた。


「えっ、これ近いですし、二時間ですか?こんな仕事でいいんですか?」


エセスは柔らかく微笑んだ。


「はい、王族護衛の任務に出て貰ったので、たまには楽して貰おうと思いまして。それとお礼に……今日、御馳走させて貰えません?」


リスティは少し驚いた顔をした。


「今日ですか?まぁ、明日がこれなら時間取れますけど……」


エセスは頷き、笑顔を広げた。


「はい。今日、他にもサイレンさんとか、ミリアさんとか来るそうなので」


リスティの表情が少し緩んだ。


「あっ、あの時のメンバー来るんですね?それだったら、御馳走になりましょうかね?」


エセスはさらに言葉を続けた。


「ハルキ君も、もうすぐ戻ってくるので、ハルキ君にも声かけようと思ってるんですよ」


リスティは小さく笑った。


「わかりました。じゃあ、明日もいつも通り頑張ります」


彼はコーヒーを飲み干し、書類を丁寧に折りたたんだ。

荷物を肩にかけ、今日は椅子に座る。


エセスはカウンター越しに微笑む。

変わらぬ日常が、そこにあった。

それぞれの小さな積み重ねが、一つの大きな流れを起こした。

それが、このギルドを大きく動かした。


だが、明日も大きく変わらぬ日常が待っている。


エセスは静かに息を吐き、微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
頑張るリスティさんやエセスさん含む多くの人が報われてよかったです…! メインキャラの努力や良い部分にだけ焦点を当てるのではなく、エセスさん以外の人が推薦した人にもそれぞれ良いところや他の人にはできない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ